【大阪杯】前々で運べる馬に利のあるレース 東大HCの本命はジャックドール

東大ホースメンクラブ

2023年大阪杯脚質別成績,ⒸSPAIA

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春を告げる大阪杯

今週日曜、阪神競馬場でGⅠ・大阪杯が行われる。春の古馬中距離戦線開幕を告げるこのレースに、昨年牝馬二冠に輝き半年ぶりに復帰するスターズオンアース、中山記念を勝ったヒシイグアス、香港C7着から再起を図るジャックドール、エリザベス女王杯を制し有馬記念でも3着に入ったジェラルディーナ、日経新春杯を制したヴェルトライゼンデ、昨年の覇者ポタジェなどがエントリーした。

イクイノックスなど有力日本馬が多数出走したドバイWCデーの翌週でありながら、GⅠ馬5頭をはじめこれまで芝GⅠ戦線を盛り上げてきた面々が集まり、非常に楽しみな一戦となった。果たしてどの馬が勝ち名乗りをあげるのか。今週はGⅡ時代を含む過去10年のデータから検討していく。


前々勝負が有効

大阪杯の脚質別成績,ⒸSPAIA


<大阪杯・脚質別成績>
逃げ【1-1-1-7】勝率10.0%/連対率20.0%/複勝率30.0%
先行【4-5-3-22】勝率11.8%/連対率26.5%/複勝率35.3%
差し【2-3-5-45】勝率3.6%/連対率9.1%/複勝率18.2%
追込【2-1-0-26】勝率6.9%/連対率10.3%/複勝率10.3%
マクリ【1-0-1-2】勝率25.0%/連対率25.0%/複勝率50.0%

過去10年の脚質別成績を確認すると逃げが3度の馬券絡み、また先行馬も複勝率35.3%の高水準となっている。後ろから行く馬は勝った年もあるにはあるが、凡走が多い。

これには前後半のラップが関係してくる。阪神芝2000mを舞台とする大阪杯はスタート直後に急坂があることもあり、前半5Fより後半5Fのタイムの方が速く出やすい傾向にある。実際、13~20年は不良馬場の15年を除いていずれも後傾ラップ。つまり、前半は緩いペースで進み、後半で前が止まりにくいのである。

2018年の勝ち馬スワーヴリチャードはスタートで出遅れたこともあり2コーナーでは15番手だったが、ペースが緩い(前半5F61.1秒)と見るやM.デムーロ騎手が向正面からマクリをかけ、3コーナーで一気にハナに立ち、直線でも脚を伸ばして粘り勝った。馬自体に力があったのは確かだが、早めに動く作戦もズバリはまったといえよう。

ここ2年は前半5Fの方が速くなっているが、それでもタフな逃げ・先行馬に利があることには変わりない。一昨年はレイパパレが重馬場で逃げ切っており、昨年波乱を演出したポタジェも、4角4番手からレイパパレやアリーヴォを押さえ込んで勝っている。やはり安定して前々で勝負できる馬を軸に据えたいところだ。

苦戦傾向の差し・追込馬は上がり3F2位以内だと【4-4-4-7】で複勝率63.2%に達するが、3位以下だと【0-0-1-64】とまったく勝負にならない。押さえるのは前を一気に差し切れるレベルの瞬発力を備えた馬に限りたい。ここは当日の馬場や調子もしっかり加味して考えたいところだ。


仁川で悲願のGⅠ獲りへ

◎ジャックドール
昨年は5連勝の快進撃でこのレースに臨み、連勝中と同じように逃げを打ったはいいが、前半5F58.8秒は13~22年で最速。これで体力を消耗したか、直線では伸びを欠き5着に沈んだ。ただ、アフリカンゴールドを意識しなければならなかった昨年とは異なり、今年はこの馬以外に明確な逃げ馬がいない。自分のペースで楽に逃げられるだろう。

昨年の天皇賞(秋)は難しい展開ながら落ち着いて4番手を進み、0.3秒差の4着に残っているし、前走の香港Cはイレ込んで自分の競馬ができなかったもの。近2走の敗戦を悲観する必要はない。白富士S、金鯱賞を経て臨んだ昨年とは違い、今年はしっかり休養して挑む。準備の整った今度こそ、GⅠタイトル獲得に期待したい。

◯ヴェルトライゼンデ
ジャパンCではヴェラアズール、シャフリヤールに続く3着に入り、勝ち馬との着差もわずかに0.1秒。言うまでもないがこのメンバーでも見劣りしない実力を持っている。日経新春杯は59kgというきついハンデを背負いながら、道中は落ち着いて進み、直線で力強い伸びを見せて重賞2勝目を手にした。2着とはクビ差だが、斤量を考慮すると、力の差は歴然だった。ジャパンC、日経新春杯の2走ともに前で運んでおり、今回も同様の競馬ができれば好走可能だ。

▲ヒシイグアス
レコード決着の宝塚記念では上がり最速をマーク。タイトルホルダーの圧倒的な競馬の前で2馬身差なら、むしろよく踏みとどまったと言える。前走の中山記念も上がり最速の脚で鮮やかに差し切ったように、実力は間違いなくトップレベル。逃げ先行が有利なこのレースでも戦えるだろう。GⅠは4戦2着2回。これまで数々の実力馬と渡り合ってきただけに、ここで出番が回ってきてもおかしくない。

以下スターズオンアース、ジェラルディーナ、さらに前走AJCCのレース内容を評価してノースブリッジまで印を回す。馬券は◎・◯軸、相手▲以下の3連単マルチとする。

▽大阪杯予想▽
◎ジャックドール
◯ヴェルトライゼンデ
▲ヒシイグアス
△スターズオンアース
×ジェラルディーナ
×ノースブリッジ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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