【大阪杯】逃げ・先行が好成績、川田将雅騎手×先行は複勝率70%超え 東大HCが阪神芝2000mを徹底検証
東大ホースメンクラブ
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コース紹介
今週は阪神芝2000mを舞台にGⅠ・大阪杯が行われる。春古馬三冠の一冠目となるが、単勝1倍台の支持を受けた1番人気馬が2年連続で敗れるなど、波乱傾向が目立つ。
今回は昨年惜しくも牝馬三冠を逃した二冠牝馬スターズオンアース、超豪華メンバーの中山記念を制した勢いそのままに悲願のGⅠ制覇を狙うヒシイグアス、武豊騎手を背に昨年5着の雪辱を誓うジャックドール、遅咲きのエリザベス女王杯覇者ジェラルディーナ、トップハンデをものともせず日経新春杯を快勝したヴェルトライゼンデなど、ハイレベルかつ大混戦のメンバー構成だ。
当該コースの重賞は4レース。今週行われるGⅠ・大阪杯、GⅢでは鳴尾記念や、夏の牝馬限定ハンデ重賞・マーメイドS、出世レースとして名高いチャレンジCが行われる。そんなコースの特徴を過去のデータから分析していこう。(使用するデータは2018年3月31日~2023年3月26日)
まずはコース紹介。正面スタンド前4コーナー出口付近からスタートし、内回りを1周強するコース設定。スタート直後に約120mで高低差1.8mの急坂を登らなければならない。その後は平坦なコースがしばらく続き、3コーナー付近から緩やかに下ってゆく。そして最後の直線では、残り200m付近から再び急坂が待ち受けているというタフな条件となっている。
波乱は圧倒的前有利から
<阪神芝2000m・過去5年の枠別成績>
1枠【23-28-28-186】勝率8.7%/連対率19.2%/複勝率29.8%
2枠【27-25-28-198】勝率9.7%/連対率18.7%/複勝率28.8%
3枠【21-21-25-219】勝率7.3%/連対率14.7%/複勝率23.4%
4枠【25-22-25-229】勝率8.3%/連対率15.6%/複勝率23.9%
5枠【23-32-30-236】勝率7.2%/連対率17.1%/複勝率26.5%
6枠【36-31-30-252】勝率10.3%/連対率19.2%/複勝率27.8%
7枠【38-35-36-270】勝率10.0%/連対率19.3%/複勝率28.8%
8枠【36-31-26-304】勝率9.1%/連対率16.9%/複勝率23.4%
枠別成績はおおむね横一線であり、3~5枠の成績が他と比べてやや落ちるという程度だ。しかし、大阪杯では過去5年でこれらの枠から3頭もの勝ち馬が出ており、枠順によって評価を極端に上げ下げするのは得策ではなさそうだ。
ただし2枠は単勝回収率が146%とプラス域で妙味十分。その2枠では逃げ馬の成績が勝率34.6%、単勝回収率1183%と圧巻だ。しかし、過去5年の大阪杯で1、2枠の成績は【0-1-1-12】と馬券に絡んだ馬は2頭しかおらず、勝ち馬は出ていない。特に激しい先行争いが行われるGⅠの舞台で、内枠はかえってマイナスに働くのだろう。
<阪神芝2000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【50-42-20-125】勝率21.1%/連対率38.8%/複勝率47.3%
先行【102-90-85-513】勝率12.9%/連対率24.3%/複勝率35.1%
差し【49-66-82-599】勝率6.2%/連対率14.4%/複勝率24.7%
追込【19-21-36-637】勝率2.7%/連対率5.6%/複勝率10.7%
脚質別では逃げ・先行勢が圧倒的な成績を残しており、典型的な前有利の傾向が見られる。理由としては、直線が他の競馬場に比べて約360mと短いことや、最後の急坂によって後方待機勢の末脚の勢いが削がれてしまうことが考えられる。これはGⅠでも同様で、過去5年の同コースで開催されたGⅠ(21・22年の秋華賞含む)では、勝ち馬は全て4コーナーを5番手以内で通過している。
昨年のエフフォーリアや一昨年のコントレイルなど、後方からレースを進めた単勝1倍台の馬ですら人気を裏切ることも多く、このコースで勝ち切るためには先行力が必須であると言えるだろう。今回のメンバーはスターズオンアースやジェラルディーナなど、後方からの競馬を得意とする有力馬が多く、波乱の予感が感じ取れる。ヴェルトライゼンデやジャックドールなど、これまでに逃げ・先行策で結果を残してきた馬を軸に馬券を組み立てるのが無難だ。
川田騎手が圧巻の成績、逆らうのは厳しいか
<阪神芝2000m・過去5年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【33-31-31-155】勝率13.2%/連対率25.6%/複勝率38.0%
モーリス【5-1-4-29】勝率12.8%/連対率15.4%/複勝率25.6%
ドゥラメンテ【11-10-7-40】勝率16.2%/連対率30.9%/複勝率41.2%
種牡馬別成績では、ディープインパクト産駒が2位のハーツクライ産駒に11勝差をつけてトップを独走している。単勝回収率も95%と優秀で、昨年はポタジェとレイパパレがディープ産駒ワンツーを決め、波乱を演出したのも印象的だ。今年の該当馬はキラーアビリティやポタジェ、ノースザワールド。どの馬も人気にならない可能性が高く、妙味十分。昨年の再現を想定して、狙ってみる価値はありそうだ。
ジャックドールやジェラルディーナなど人気馬の多くが該当するモーリス産駒。その成績は勝率12.8%、連対率15.4%と、ディープインパクト産駒には劣るもののまずまず。しかし、単勝回収率は36%と妙味度は非常に低い。また、モーリス産駒は過去5年の阪神芝2000mで5勝を挙げているが、その全てが逃げ・先行勢によるものである。
対照的に差し・追込勢の成績は【0-0-2-15】とさっぱりで、この点において後ろから競馬を進めるであろうジェラルディーナは割引が必要だろう。逆に前からレースを進める可能性が高いジャックドールやノースブリッジにとってこのデータは追い風だ。
1番人気も想定されるスターズオンアースが該当するドゥラメンテ産駒は、勝率、連対率ともにディープ産駒を上回る優秀な成績を残している。昨年も7番人気のアリーヴォが抜群の末脚を発揮して3着に入り、波乱を演出した。こちらはモーリス産駒とは異なり、脚質が差しの馬でも【2-2-1-9】、勝率14.3%とまずまずの成績を残している。
<過去5年の阪神芝2000m・騎手別成績>
川田将雅【35-17-20-35】勝率32.7%/連対率48.6%/複勝率67.3%
ルメール【9-9-3-24】勝率20.0%/連対率40.0%/複勝率46.7%
岩田望来【8-8-7-62】勝率9.4%/連対率18.8%/複勝率27.1%
騎手別成績トップは今年すでに、中央・地方・海外合わせて重賞10勝と勢いに乗る川田将雅騎手。勝率32.7%、連対率48.6%と圧巻の成績を残している。さらに、先行した場合に限ると【21-11-11-17】で勝率35.0%、複勝率71.7%となり、並の1番人気レベルの数字を叩き出している。騎乗予定のヴェルトライゼンデも先行策で結果を残しており、逆らうべきではないのかもしれない。
1番人気想定のスターズオンアースに騎乗するルメール騎手は勝率20.0%、連対率40.0%となかなかの好成績であるが、単勝回収率は61%と妙味度は低い。また脚質別成績でも、先行では勝率22.7%も、差しでは18.8%まで下がっており、取りこぼしがやや増えていることが分かる。昨年の秋華賞と同様に、ルメール騎手の差し損ねを期待して馬券を組み立てるのも一つの手だ。
また、人気するであろうジェラルディーナに騎乗予定の岩田望来騎手は、逃げ馬に騎乗したときは【2-0-0-3】で勝率40.0%、単勝回収率214%と妙味十分の数字を残している。しかし、差し・追込馬に騎乗すると一転、【4-4-3-39】で勝率8.0%とガクッと数字を落としている。後方一気の競馬でエリザベス女王杯を勝ったジェラルディーナを上手くエスコートすることができるのだろうか。一抹の不安を感じさせるデータだ。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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