【大阪杯】モズベッロを送り込むダービー馬・ディープブリランテ 産駒の激走条件とは?【マイナー種牡馬応援団】
緒方きしん
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フェノーメノをハナ差しのいでダービー馬に
高松宮記念ではドリームジャーニー産駒のトゥラヴェスーラが13番人気ながら3着と好走。昨年の阪急杯以来となる馬券圏内に入った8歳ベテランのさらなる活躍に期待したい。
さて、今週は大阪杯が開催される。GⅠ昇格を果たしたのは2017年だが、GⅡ時代からキズナやネオユニヴァース、オルフェーヴルなど、種牡馬としても活躍する名馬が通ってきたレース。GⅠ昇格初年度の覇者キタサンブラックも、イクイノックスを輩出するなど早くも名種牡馬の風格を漂わせている。
今年の大阪杯にはジャックドールやヴェルトライゼンデなどが集結。その中で上位を狙う1頭に、ディープブリランテ産駒モズベッロがいる。
ディープブリランテはゴールドシップやジャスタウェイらと同期、2009年生まれの競走馬。父はディープインパクトで、母はラヴアンドバブルズ。バブルガムフェローやザッツザプレンティ、ショウナンパントルらを輩出した名門バブルカンパニー系だ。デビュー前から素質馬として注目を集めた1頭だった。
デビュー戦と東スポ杯2歳Sを連勝したディープブリランテだったが、共同通信杯では気性の悪さを出してしまい、ゴールドシップに差されて2着に敗れる。3着ものちに天皇賞(秋)を制覇するスピルバーグとかなりレベルの高い一戦ではあったものの、そこで順調さを欠いてしまう。次走のスプリングSでは当時「アグネスタキオンの最高傑作か」とも評されていたグランデッツァの2着、皐月賞では再戦となったゴールドシップに再び敗れ3着と、3連敗を喫した。
デビューから鞍上を務めていたのは、岩田康誠騎手。大目標であるダービーを目前に、岩田騎手は入念な調教を通じて気性に難しいところのあったディープブリランテと向き合い、信頼関係を築き上げた。ダービーの最終直線で早めに抜け出した岩田騎手とディープブリランテは、猛然と追い込んでくる蛯名正義騎手・フェノーメノをハナ差だけ凌ぎ切り、栄冠を手にしたのだった。
その後渡英しキングジョージ6世&QESに挑戦するも8着と敗北。帰国後、菊花賞に向けた調整中に屈腱炎が判明し、ディープインパクト産駒最初のダービー馬として種牡馬入りを果たした。早期引退は残念だったものの、管理する矢作芳人厩舎にとっては大きな糧となったはずで、そうした果敢なチャレンジの数々が、現在の『世界の矢作』の活躍に繋がっているのではなかろうか。
重馬場で激走するディープブリランテ産駒たち
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となると、初年度から2年連続で100頭以上の産駒を送り出す。2016年や2018年生まれ世代も90頭を上回るなど一定の人気を集めるものの、2020年生まれ以降は31頭→24頭→40頭と、近年は低迷を見せている。
産駒の活躍馬には、デビューから無敗の3連勝でラジオNIKKEI賞を制したセダブリランテス、かきつばた記念の連覇などダート交流重賞で現在も活躍中のラプタス、阪急杯や函館スプリントSなどマイル以下の重賞で馬券圏内に食い込む活躍を見せているミッキーブリランテなど、芝やダート、距離を問わず手広く実力派が揃っている。
産駒全体の傾向としては芝の短距離~中距離路線での勝率が高い。勝ち星のおおよそ半数が芝の1800m以下に集中していることからも、基本的に得意とする路線はそのあたりと見て良さそうだ。
また、2021年に重馬場の阪神大賞典で9番人気3着と好走したナムラドノヴァン、2020年に稍重の東京HJでブービー人気ながら2着に入ったヒロシゲセブンなど、重い馬場状態の中長距離戦でアッと言わせることも多い。実際、芝の重・不良馬場では【14-9-10-121】で勝率は9.1%。自身の平地全体成績(勝率5.7%)を大幅に上回っている。今回出走するモズベッロ自身も、稍重馬場の宝塚記念で12番人気3着、重馬場の大阪杯で6番人気2着と好走している。
7歳になったモズベッロ。獲得賞金としては既にディープブリランテ産駒の稼ぎ頭だが、できることならGⅠタイトルが欲しいところ。週末の天気はまだ分からないが、馬場状態を味方につけられるだろうか。父が再び多くの繁殖牝馬を集められるように、そして自身の次なるキャリアに向けて、ぜひ良い走りを見せてほしい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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