【マイナー種牡馬応援団】大井から米国遠征! 注目のシャンハイボビー産駒・マンダリンヒーロー
緒方きしん
ⒸSPAIA
地方競馬から、史上初の米国遠征
3月6日、大井競馬に所属するマンダリンヒーローがサンタアニタダービーへの参戦を表明。地方馬としては初めての米国遠征とあって、大きな注目を集めている。
マンダリンヒーローが挑戦するサンタアニタダービーはケンタッキーダービーへと繋がる重要なGⅠ競走であり、過去にはサンデーサイレンスをはじめ、ポイントギヴンやアファームドといった歴史的名馬が勝利している。日本に種牡馬として輸入されたアイルハヴアナザーやケイムホーム、カリフォルニアクロームらもこのレースの勝ち馬だ。
大井競馬場とサンタアニタ競馬場は1995年から友好交流提携を結んでいて、ノンコノユメやヒガシウィルウィンらが走ったサンタアニタトロフィーという重賞が大井で開催されている。サンタアニタ競馬場でもTOKYO CITY CUPという重賞が開催されているほか、2011年にはレッドアラートデイという馬が大井競馬に遠征してサンタアニタトロフィーを走ったこともある。
今回、遂に大井競馬から米国へと遠征する馬が登場したわけだが、果たしてマンダリンヒーローとはどのような馬なのだろうか。血統的な観点から紐解いていく。
快速の血が米国で輝くか
マンダリンヒーローは5戦4勝、主な勝ち鞍はハイセイコー記念という戦績。その父は、輸入種牡馬のシャンハイボビーだ。シャンハイボビーは米国で2012年の2歳王者にも選ばれた活躍馬で、サンタアニタ競馬場で開催されたGⅠ競走ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルも制している。米国やブラジルで種牡馬をしたのち、2019年から日本で供用されたため、マンダリンヒーローは日本での初年度産駒にあたる。シャンハイボビーの父は、種牡馬として成功を収めながら14歳の若さで早逝したHarlan's Holiday。日本ではスワンSなどを制した快速牝馬アルビアーノの父として知られる。Harlan's Holidayは母父としても、モズベッロやアリーヴォらを輩出している。
また、マンダリンヒーローは牝系も優秀。母ナムラナデシコのきょうだいには北九州記念の勝ち馬トウカイミステリー、NZTやファルコンSで3着のあるナムラビッグタイム、アイビスSDで3着のタイキメビウスがいる。自身のいとこには阪急杯で3着のドラゴンファング、函館2歳Sで2着のナムラミーティアもおり、快速自慢が多く出ている一族だ。
シャンハイボビー産駒の特徴を中央競馬でのデータから探ってみよう。これまでに中央で20勝を挙げているが、そのうちダート1400m以下が10勝、芝1400m以下が7勝と、短距離を得意とする傾向にありそうだ。米国供用時の産駒で日本に輸入されたマリアズハートも芝1000m戦の韋駄天S、ルミエールオータムDを制して、短距離適性の高さを見せている。
マンダリンヒーローが唯一の黒星を喫した前走・雲取賞は初めての1800m戦であり、同じく1800m戦のサンタアニタダービーはやや距離が長いように感じられるかもしれない。ただ、シャンハイボビーがブラジルにシャトルした際の産駒からは、距離適性の広さを感じさせる馬も登場している。Lamartineは芝2000mのGⅠを制覇、Coconut Bobbyはダート2200mのGⅠを制覇、Keltoiはダート1900mのGⅠや芝2000mのGⅡ・GⅢを制するなど、中距離での活躍も多い。米国でもダート1800mの重賞勝利があって、環境やレース展開によっては中距離への対応力も十分にある種牡馬と言えるだろう。
これまでシャンハイボビー産駒が中央競馬で挙げた20勝のうち8勝が逃げ切り勝ち。スピードの豊富さは米国のレースと相性が良さそうで、さらにマンダリンヒーロー自身は5戦全てが上がり最速であるようにキレる末脚も持っている。展開次第では見せ場も作ってくれるのではなかろうか。地方から米国という新たなるチャレンジを、敬意をもって応援したい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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