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【金鯱賞】先行力と瞬発力を兼ね備える中京巧者 東大HCの本命はヤマニンサルバム

2023/03/12 06:00
東大ホースメンクラブ
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2回中京開幕を飾るGⅡ

今週日曜、中京競馬場でGⅡ・金鯱賞が行われる。2回中京開催初週を飾るこの重賞に、中日新聞杯4着から巻き返しを図るプログノーシス、同コースの愛知杯3着から臨むマリアエレーナ、さらにはフェーングロッテン、ディープモンスター、ヤマニンサルバムなどが出走を予定している。1着馬に大阪杯への優先出走権が与えられるこのレースで名乗りを上げ、春の古馬中距離戦線を盛り上げるのはどの馬か。今回は中京芝2000mのコース傾向をもとに検討していく。


逃げ先行有利のコース

中京芝2000m、脚質別成績,ⒸSPAIA


<中京芝2000m・脚質別成績>
逃げ【13-3-2-28】勝率28.3%/連対率34.8%/複勝率39.1%
先行【14-17-15-98】勝率9.7%/連対率21.5%/複勝率31.9%
差し【13-18-19-168】勝率6.0%/連対率14.2%/複勝率22.9%
追込【3-5-6-161】勝率1.7%/連対率4.6%/複勝率8.0%
マクリ【0-0-1-4】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率20.0%

まず、過去5年の同時期・中京芝2000mにおける成績を脚質別に見てみる(18,19,21,22年の2回および20年の1回開催)。やはり前に行った馬の成績が良く、逃げの勝率は28.3%に達する。その中でも上がり3Fが3位以内だと【10-1-0-0】のパーフェクト連対である。一方、上がり4位以下だと【3-2-2-28】複勝率20.0%と見劣りするものの、この中には18年2着のサトノノブレス、20年3着のダイワキャグニー、さらに21年優勝のギベオンが含まれる。メンバーをみるとフェーングロッテンが逃げることになりそうで、逃げ残りに警戒が必要だ。

先行馬(≒おおよそ4角4番手以内)の馬についても、上がり3F3位以内なら【13-10-6-0】と全馬が馬券に絡んでいる。マリアエレーナ、ヤマニンサルバムはいずれも先行しても瞬発力をみせられる馬で、こちらも上位争いに絡んでくる可能性が高いといえるだろう。

対する差し・追込に関しては一見するとやや不利な数字だが、2勝クラス以上に限ると差し【3-4-4-23】複勝率32.4%と十分戦えている。中団からなら実力次第で上位進出可能だ。ただし、追込馬は上級条件に限ってもなかなか届かず、4角10番手以下の馬は勝率わずか1.7%しかない。まして今週は開幕週で前が有利な競馬になる可能性も高く、後方一辺倒の馬は一枚割り引いてもよいだろう。


ディープインパクト産駒が好調

中京芝2000m、種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<中京芝2000m・種牡馬別成績>
ディープインパクト【8-5-12-41】勝率12.1%/連対率19.7%/複勝率37.9%
オルフェーヴル【2-1-0-12】勝率13.3%/連対率20.0%/複勝率20.0%
キングカメハメハ【1-3-3-12】勝率5.3%/連対率21.1%/複勝率36.8%
ブラックタイド【1-2-1-9】勝率7.7%/連対率23.1%/複勝率30.8%
ルーラーシップ【0-0-1-22】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率4.3%

次に同条件で、出走予定馬の種牡馬別成績を確認してみる。ディープインパクト産駒が出走頭数最多ながら勝率12.1%、複勝率37.9%をマークしている。単勝回収率400%はギベオンの一撃に因る部分も大きいとはいえ、妙味という面でも狙えるデータだ。

さらに父ディープインパクト×母父ノーザンダンサー系は【2-2-6-14】で、複勝率41.7%。こちらも単複回収率は100%を大幅に超えている。該当馬はディープモンスター、ポタジェの2頭。特に昨年4着・一昨年3着のポタジェは、近走大敗続きでも押さえておくべき1頭といえるだろう。ただしディープ産駒であっても、追込馬は【0-0-3-12】と3着が精いっぱいなのがやはり気になるところだ。

反対に、はっきりと不調な種牡馬はルーラーシップ(ワンダフルタウン)ぐらい。ほか、マリアエレーナが該当するクロフネ産駒は【1-0-0-2】、サンプルが少ないため傾向を読み取るのは難しい。ヤマニンサルバムのイスラボニータ産駒は、22年に未勝利戦で11着が1回あるのみであった。


初重賞も勝利に期待

◎ヤマニンサルバム
前走白富士Sは前半5Fが59秒9、さらにラスト3Fが11秒2-11秒3-11秒5と、スピードと瞬発力がともに求められる展開。4コーナーでは内で進路を失いかけ一時6番手まで後退したが、間をついて抜け出しを図り、上がり3Fは1位と0秒1差の33秒8を計時。勝ったサリエラから0秒2差、2着ドーブネとはタイム差なしの3着を確保した。初のリステッド競走ながら互角の戦いを演じたと言ってよいだろう。この馬は中京コースで4戦4勝と、キャリアすべての勝利が中京でのもの。さらに金鯱賞において、前走白富士S組から2年連続で勝ち馬が出ているのもプラス。好走条件はそろっており、重賞制覇への大チャンスが訪れた。

◯マリアエレーナ
前々走の天皇賞(秋)は2角で大きな不利を受け、前走の愛知杯はトップハンデ56.5kgと馬場に苦しみ伸びを欠いて3着に敗れた。ただ昨年の小倉記念でヒンドゥタイムズ、ジェラルディーナ以下を5馬身ちぎり捨てたように、その実力は疑いようがない。近2走は本来の力を出し切れていないだけと考えたい。今回は斤量が55kgにダウンすることに加え、松山弘平騎手が継続して騎乗予定なのも心強く、さらに中京芝2000mは【1-1-2-0】複勝率100%と安定感がある。上位争いの可能性は高いだろう。

▲プログノーシス
キャリア7戦中、デビュー2戦目の毎日杯を除いた6戦で上がり3F最速をマークしているように、キレ味を最大の武器とする馬。前走の中日新聞杯でも大外から差し脚を鋭く伸ばしたが4着だった。しかし着差はわずか0秒1で、むしろ外を回されるロスがありながら僅差の4着だったのは立派と言って良い。ただ、ゲートを出るのが不得手で、後方一気にかけざるを得ないレースが多いため、追込に厳しいこの舞台ではやや不安である。また開幕週で前が止まらない可能性もある。その点で3番手評価とした。

以下フェーングロッテン、ディープモンスター、ポタジェまで印を回す。馬券は◎を軸、◯以下を相手の3連複とする。

▽金鯱賞予想▽
◎ヤマニンサルバム
◯マリアエレーナ
▲プログノーシス
△フェーングロッテン
×ディープモンスター
×ポタジェ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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