【弥生賞】京都2歳Sでトップナイフを撃破したグリューネグリーンが本命候補 穴馬は素質開花に期待のフォトンブルー
山崎エリカ
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先行力と決め手ある馬が優勢
弥生賞の過去10年の平均ペースは、前半5F61秒49-後半5F60秒21。かなりのスローペースが4度、逆にハイペースになったのはマカヒキの差しが決まった2016年のみ。基本的には小頭数のトライアルレースらしく、スローペース傾向だ。
先行馬とメンバー最速クラスの上がりを使える差し馬の活躍が目立っており、2017年8番人気で2着に好走したマイスタイル、2021年4番人気で優勝したタイトルボルダーのように、度々逃げ馬が穴を開けている。今開催の中山芝は昨年同様に高速馬場とは言えない状態だが、前に行ける馬を中心に予想を組み立てたい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 トップナイフ】
前走ホープフルSで2着と好走した馬。前走はまずまずのスタートからじわっと内に切れ込みハナを主張。早い段階でコントロールして後続を引き付けながらの逃げ。向正面でもペースを引き上げなかったが、2列目の外に1番人気のミッキーカプチーノが控えていたことで、後続はそれをマークして動かないまま3角へ。
3~4角からじわっとペースを引き上げ、4角出口で外から並びかけてきたドゥラエレーデとともに2列目をやや離して直線に入った。序盤で追われてすっと後続を離したが、ラスト1Fで食らいつくドゥラエレーデとクビの上げ下げでハナ差2着に惜敗した。
ハナ差の2着に敗れはしたが、行った、行ったの流れに持ち込んでのほぼ完璧な騎乗だった。本馬はここまでキャリアは7戦と豊富で、大きな伸びしろは期待しにくい。またここで皐月賞の優先出走権を手にすることが出来なかったとしても、おそらく賞金が足りる立場である。しかし、今回は相手弱化の一戦、対抗以下の評価にも出来ない。
【能力値2位 グリューネグリーン】
前々走の京都2歳Sを逃げ切り勝ちした馬。前々走は7番枠から五分のスタートを切った後、序盤で狭くなる場面があったが、何とか捌いてそこから楽にハナを主張。序盤で進路が少し狭くなったことで掛かり気味だったが、それをなだめながら追走した。1~2角で外からビキニボーイが絡んできたことで、ペースを落としきれないまま3角へ。
3~4角ではビキニボーイの手応えが徐々に怪しくなるのに対して、本馬は楽な手応えで上がり、4角で2列目勢が上がってくるのを待って直線へ。序盤でしぶとく伸びて食らいつくシュタールヴィントを振り切り、ラスト1Fで抜け出したところを内からトップナイフに強襲されたが、アタマ差で優勝した。
このレースはビキニボーイの4角出口での下がり方が雑で、トップナイフが位置を押し上げようとしたところに、ビキニボーイが内から接触して外に弾かれ、中団まで下がる致命的な不利があった。トップナイフはラスト1Fでしっかり伸びていたことから、この不利がなければ同馬が先着していたと推測され、ホープフルSでは本命に推した。
本馬は前走ホープフルSでは、外からハナを主張するトップナイフなどを先に行かせたことで、好位馬群の中目で包まれてしまった。自分の競馬が出来ず、能力を出し切れなかった。
また中目で包まれたことで折り合いにも苦労していた。行った行ったの流れで前の位置を取れていれば、もっと上の着順が狙えていたと見ているが、決め手を生かす競馬では厳しかった。今回は大外10番枠に入ったことで、逃げ馬を目標にしながら動いて行けるだろう。トップナイフが全力投球でない以上、本馬を本命候補としたい。
【能力値3位 タスティエーラ】
新馬戦から着実に上昇し、前走の共同通信杯では4着と好走した馬。前走は6番枠から好スタートを切り、そこからコントロールしながら控えて好位の中目を追走。道中でやや引っ掛かって最終的には位置を下げ、先頭から離れた中団外目を追走していた。3~4角でも我慢させたが、直線で追い出されても加速はそれほど速くなくジリジリ。しかし、最後までしぶとく伸びて2着馬にクビ+ハナ差まで迫った。
好スタートから速い二の脚で好位を取った時点では、楽にレースの流れに乗れそうな雰囲気だったが、道中で折り合いに苦労し位置が下がっていった。福永騎手が鞍上で、目先の結果よりも折り合う教育をしたと推測されるが、結果的にキレる脚が使えなかった。
ムーア騎手が騎乗した新馬戦のように、持ち前の前進気勢を生かして前にいく競馬のほうが合うようだ。好位でスムーズに流れに乗れれば、勝ち負けしても不思議はない。
【能力値4位 ワンダイレクト】
デビュー2戦目の若駒Sで2着と好走した馬。前走は1番枠からまずまずのスタートを切ったが二の脚が遅く、一旦下がってしまった。そこから掛かりながら2列目の最内まで押し上げての先行策。レースが超絶スローペースだったこともあり、道中は折り合いに苦労していた。しかし、3角では前にスペースを作って我慢させ、4角で外から各馬が一気に上がってくるのを待ち、2列目の中目で直線へ。序盤ですっと加速して先頭列に並びかけ、ラスト1Fでは完全に抜け出した。しかし、外から一気にマイネルラウレアに差し切られ、ハナ差と惜敗した。
前走はわずかに差されたが、好位から勝ちにいってのもの。本馬は新馬戦でもテンに置かれており、二の脚が遅い弱点はあるが、それを挽回して位置を取りにいっても崩れないしぶとさがある。また逃げ馬のトップナイフやゴッドファーザー等がペースを引き上げてくれれば、無理に位置を取りにいく必要もなく折り合えるだろう。スムーズなレースが出来れば、前走からさらなる前進も期待できる。
【能力値5位 レヴォルタード】
10月東京のタイセイクラージュが好指数勝ちした新馬戦で2着だった馬。同馬は新馬戦の疲れが残り、その後は伸び悩みとなっているだけに、本馬は2戦目でどう変わるか注目していた。
前走は2番枠から五分のスタートを切り、枠の優位性を生かして2番手を追走。しかし、引っ掛かってややチグハグな走り。前を行く馬を壁にして何とか折り合う場面もあったが、ペースが上がると折り合いもついた。最後の直線序盤で逃げ馬に並びかけ、ラスト2Fで前を交わして悠々と先頭に立ち、2着馬に3馬身差をつけてゴールした。
記録した指数は1クラス上で通用するもの。ラスト2Fも12秒1-12秒0と減速していない点も評価できる。まだ能力を出し切った走りではないだけに、さらなる上昇が期待できるだろう。一気に重賞となると荷が重い面もあるが、前走から休養させたことで大きく変わる可能性もある。
穴馬は素質開花に期待のフォトンブルー
8月札幌の芝1800m新馬戦ではラスト2F11秒7-11秒4で勝利し、素質の高さを見せた馬。新馬戦で2着だったエルデストサンは次走の未勝利戦でトップナイフの2着。エルデストサンはその後、ダートに路線転向し活躍している。
フォトンブルーは昇級以降の近2走は出遅れ。前々走の黄菊賞はエリザベス女王杯当日で馬場が悪く、前走のエリカ賞は最後方から向正面では2列目の外まで上がっていく競馬。無駄な脚を使った上に、3~4角でペースが上がっていく中を、外々を回るロスが生じた。
今回は立て直されて上昇が期待できる。新馬戦で見せたトップスピードは非凡なものがあった。半兄は種牡馬として活躍しているシルバーステート。ここで一気の素質開花というストーリーもあるかもしれない。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)トップナイフの前走指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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