【京都牝馬S】6戦オール連対の名コンビ ララクリスティーヌと菅原明良、春GⅠのダークホースになる

SPAIA編集部

2023年京都牝馬Sのレース結果,ⒸSPAIA

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トラックバイアスの利はあったけれど

阪神芝1400mというのは内外のトラックバイアスが大きいコース設定である。内回りの3・4コーナー付近が緩やかな下り坂、2段階右折のコーナーはスピードに乗りながら回ることになるから、ここで外を追走することには単なる距離ロス以上の意味がある。内の馬たちがバネを縮めるようにエネルギーを溜めて直線のスパートを待つのに対し、外はじわじわと余力を消費しながらついていく。必然的に、最後の脚には雲泥の差が生まれる。

今年の京都牝馬Sも1着ララクリスティーヌ、2着ウインシャーロット、3着ロータスランド、4着フェルミスフィア、5着メイショウミモザの4角進路は内め、最内、最内、最内、最内。枠や展開、進路取りのアヤがあるのは競馬の醍醐味のひとつで、たまにはこういうのも悪くないが……。そろそろ京都開催が恋しくなってきた。

もっとも、勝ったララクリスティーヌの内容にケチがつくものではない。逃げたウインシャーロットは10戦連続連対中(今回で11戦連続)、ターコイズS2着の実力馬。前後半3F35.1-33.9、普通なら押し切られておかしくない展開を差し切った。この点は高く評価したい。

馬自身の充実ぶりもさることながら、これで菅原明良騎手とのコンビでは【4-2-0-0】、オール連対の相性も素晴らしい。前走のキャピタルSでは距離を意識してか直線半ばまで仕掛けを待つ好騎乗でマイルもクリアしており、この馬を熟知した鞍上とともにヴィクトリアマイルに向かうのであれば面白い存在だ。5歳牝馬、おそらくは同期ソダシとの対戦になるだろう。2歳時から檜舞台で輝かしいキャリアを歩んできた白毛のスターに対し、条件戦から一戦一戦踏みしめてきたララクリスティーヌがどのような戦いを見せるのか。春の楽しみがまた一つ増えた。

岩田康誠騎手の鬼気迫るイン突き

2着ウインシャーロットはこれで11戦連続の連対。重賞では2戦連続の惜しい2着となった。ロケットスタートを決めて、石川裕紀人騎手は迷いなく先頭、最内にエスコート。息を入れてトラックバイアスと展開の利を作り上げた。それでも差されてしまったのだから、相手を褒めるしかない。器用で安定感がある反面、ややパンチ不足。ただし、ヴィクトリアマイルというレースは、時計の出る馬場で人気薄の前残りが起こりやすい。勝ち切るイメージは湧かなくとも好勝負の可能性はある。

3着ロータスランドは18番枠に泣いた。が、テン乗りの岩田康誠騎手はこれまでの先行策をかなぐり捨て、後方に下げてでも最内にこだわった。直線でも最内を突いて上がり32.8秒。阪神芝1400mとしては史上最速の末脚だった。誇張でもなんでもなく、馬券圏内に入るにはあの道しかなかったのではないか。「枠が悪かった、展開が向かなかった」では終わらせない、岩田康騎手の鬼気迫る騎乗に賛辞を贈る。

4着フェルミスフィア、5着メイショウミモザはトラックバイアスの恩恵もあったが、距離もよかった。もっともフェルミスフィアはキャロットファーム所有の6歳牝馬。引退が近く、適鞍を使える機会はあってあと1回だろう。

9着ミスニューヨークは外差しに構えてノーチャンス。もっとも、新馬戦以来3年3か月ぶりの1400m戦で外枠から位置をとれというのも無理な話で、この敗戦は仕方ないと割り切っていい。中山巧者なのは戦績から明白で、中山牝馬Sに出てきたら見直しだ。

10着ディヴィーナは直線で大きな不利。ただ、不利も内枠のせいなら、あの地点まで手応えよく回れたのも内枠のおかげ。評価は据え置きたい。

14着ウォーターナビレラは外枠も痛かったが、それにしても伸びなかった。休み明け+18キロが影響した面もあるかもしれないが、これで4戦連続の2桁着順。こうなった牝馬の立て直しはなかなか難しい。

15着サブライムアンセムは大出遅れが全て。フィリーズレビューを勝った条件で、有利な1番枠を引けただけに極めてもったいないが、これも競馬。スワンS、ターコイズS、今回といずれも不完全燃焼な内容で敗れており、どこかで穴を開ける日がきっと来る。

2023年京都牝馬Sのレース展開,ⒸSPAIA



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