【フェブラリーS】良馬場かそれ以外かで一変する傾向に注意! 有力馬の血統解説

坂上明大

フェブラリーSの傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

2023年、JRAでの最初のGⅠ・フェブラリーS。芝スタート、ワンターンの1600m、コーナー角が緩やか、直線が長いなど12月のチャンピオンズCとは相違点が多く、よりスピードの持続力が求められる条件です。血統面を中心に、フェブラリーSのレース傾向を整理していきましょう。

まず念頭に置いておきたいのは「強い馬が好走するレース」であるということ。東京ダート1600mが紛れの少ないコースだということもありますが、JRAでは2つしかないダートGⅠ競走のため、現役屈指の実力馬が揃いやすいことも要因と考えられます。データからも中央・地方を問わず前走GⅠ組の良績が目立ちますし、GⅡ以下からのローテーションにおいても好走馬のほとんどが前走1着馬という傾向に。本レースに限らず、中央ダート重賞では“格”が最重要のファクターといえるでしょう。

前走距離別成績(過去10年),ⒸSPAIA


また、距離短縮馬が強い点も大きな特徴です。もちろん、同条件からのローテーションも悪くありませんが、格や間隔が合わないことが多いため、複勝率では距離短縮>同距離>距離延長がキレイに成り立つ形となっています。

冒頭に触れた通り、東京ダート1600mは日本のダートコースの中でも特殊性の強い舞台のひとつであり、特に強い前傾ラップになりやすい(東京以外の)ダート1400m以下とはレース質が大きく異なります。距離延長での好走馬全8頭は根岸Sの連対馬で、近年のフェブラリーSは1600m以上での実績馬、あるいは根岸Sの連対馬が上位を占める結果となっています。

前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA


血統面ではNureyevの血に注目。芝とダートを問わない万能血統であるこの血脈は、日本ではキングカメハメハゴールドアリュールなどの血統表に登場します。特に良馬場時の成績は素晴らしく、時計のかかる馬場状態ならNureyevの血を中心に考えるのがよさそうです。

Nureyev内包馬の馬場状態別成績(過去10年),ⒸSPAIA


逆に、雨馬場での高速決着ではStorm Catの血が大活躍。北米血脈のなかでも特に優れたスピードを伝えるこちらの血脈は、高速決着時に無類の強さを発揮します。

良馬場ならNureyev、良馬場以外ならStorm Cat、ここが狙い目です。

Storm Cat内包馬の馬場状態別成績(過去10年),ⒸSPAIA


血統解説

・レモンポップ
大種牡馬デインヒルの全妹Harpiaを母母に持つ名牝系で、母父にはStorm Cat系Giant's Causewayを持つスピード豊かな血筋。長期の戦線離脱を挟んだため出世が遅れましたが、前走の根岸Sで念願の重賞タイトルを手にしました。今年のメンバーであれば一気に頂点まで上り詰めても全く驚けません。ただ、近走のゴール前での失速を見ると、雨馬場の高速決着の方が勝率は高いように感じます。

・ドライスタウト
レモンポップと同じく2歳時に素晴らしいパフォーマンスを披露しながらも、怪我により長期の戦線離脱を挟んだ素質馬。A.P. Indy系らしいキレイなストライド走法で走るため、東京のダート1400~1600mがベスト条件といえるでしょう。対レモンポップの観点では良馬場の方が勝率は高くなりそうです。

・シャールズスパイト
母Perfect Shirlは芝11Fの米GⅠ・BCフィリー&メアターフの勝ち馬で、本馬は父Speightstownからスピードを強化した芝マイルGⅠ馬です。母母父にNureyevの3/4同血の甥Sadler's Wellsが入りますが、父方にはStorm Catの血も入り、全体としてもStorm Catを刺激した配合形。昨年3着馬ソダシなど芝実績馬も数多く走るレースではありますが、本馬にとっては脚抜きのいい馬場状態の方が好走確率は高くなりそうです。

フェブラリーSの傾向と有力馬の血統解説,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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