【京都記念】ドバイターフに向けた一戦も相手手薄でドウデュース有力 穴は末脚強烈なインプレス
山崎エリカ
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超高速馬場&Aコース使用で内が有利
京都記念が行われる1回阪神開催は、前年の6回阪神からわずか1ヵ月半しか間隔が開いていない。しかし、過去2年は超高速馬場で行われた。昨年は稍重だったが馬場が回復すると超高速馬場だった。また5回阪神6日目以来のAコース使用になることもあり、内を立ち回れる馬が有利だ。
昨年は逃げ馬不在を生かして11番枠からハナを主張した12番人気アフリカンゴールドと、1番枠から3列目の最内を立ち回った8番人気タガノディアマンテがワンツーを決めた。このように内を立ち回れる馬が有利だ。また宝塚記念と同舞台の阪神芝2200mは1角までの距離がとても長いコースだが、早い時点で隊列が決まれば前からの一発も十分ある。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 エフフォーリア】
一昨年は皐月賞、天皇賞(秋)、有馬記念とGⅠを3勝し、年度代表馬に選出された馬。断然の1番人気に支持された昨春の大阪杯は、後方のまま見せ場すらない9着に敗れた。しかし、前走の有馬記念では宝塚記念以来の長期休養明けながら5着に善戦、復調気配を見せた。
本馬が自己最高指数を記録したのは一昨年の有馬記念。同レースは中団馬群の中目から3~4角で外に出しての差し切りだった。本来はこのように末脚を生かす競馬がベストな馬。しかし、昨年の有馬記念は好位中目から3角ではディープボンドをマークし2列目の外、4角から先頭に並びかけるなど、勝ちにいく競馬をしたわりに粘っていた。
昨春の大阪杯は、有馬記念で中団からレースをした後の2.5Fの大幅距離短縮で追走に苦労していた。今年は1.5Fの距離短縮となる。それに加えて昨年の有馬記念は好位でレースをしており、今回が超高速馬場だったとしても、昨年の大阪杯の時より流れに乗れる公算が高い。前走は馬体重プラス12Kgが示すように太目残りでもあった。今回は体が絞れていればより良さそうだ。
【能力値2位 ドウデュース】
昨年の日本ダービー馬。同レースは超絶高速馬場ではあったが、デシエルトが折り合いを欠いて大逃げを打ったことでレースが緩みなく流れた。本馬は13番枠からやや出遅れ、そこからコントロールしてイクイノックスより2列前の後方馬群の中目を追走。3~4角では外のジオグリフの後ろを通り、直線では大外に出された。そこからラスト2Fでグンと伸びて、ラスト1Fで楽に先頭に立つと、最後はイクイノックスの強襲をクビ差で制した。
ダービーは差し馬有利の展開に恵まれた面はあったが、後に天皇賞(秋)と有馬記念を制したイクイノックス、菊花賞を制したアスクビクターモアに勝利したことは評価できる。前走の凱旋門賞は19着と大敗したが、日本ダービーとは真逆の極悪馬場だっただけに、それでも走れたら二刀流の化け物だ。
今回は前走から立て直されての一戦。陣営もコメントしているようにドバイターフに向けての叩きの一戦ではある。しかし、相手が大幅に弱化しているだけにエフフォーリアやユニコーンライオンが本来の力を出し切れなければ、勝ち負けになる可能性が高いと見ている。Aコース使用はマイナス要素ではあるが、直線一気型の本馬には外枠の方が合っている。
【能力値3位 マテンロウレオ】
一昨年のホープフルSではキラーアビリティに敗れ、春のクラシックでも通用しなかったが、復帰戦のアンドロメダSでは強豪相手に勝利し、成長を見せた。3走前のアンドロメダSでは4番枠からまずまずのスタートを切り、外から内に切れ込んできたアイコンテーラーとショウナンバルディを行かせて、上手く2列目の最内に入り追走。3~4角でじわっと前との差を詰め、4角で1頭分外に出された。そこからショウナンバルディを交わし、アイコンテーラーの内から伸びて、ラスト1Fで抜け出し快勝した。
次走の中日新聞杯ではさすがに休養明け好走の反動が出ると見て軽視していたが、同レースでは3~4角で内を通った馬が有利な流れ(詳しくはキラーアビリティの項目で説明)。本馬は大外16番枠からスタートし、1角では好位の中目を追走。3角手前でペースアップしたところで1頭分内に入れて、上手く脚をタメたことで2着に好走した。
前走中山金杯はマイペースで逃げたフェーングロッテンが3着に粘っているように、前有利の流れだった。本馬は1番枠からやや出遅れ、そこから軽く押され好位の内目くらいを追走していたが、外から前に入られ最終的に中団内目を追走。3角では包まれ、4角で中目に持って行くが、それでも進路を作り切れずに直線へ。ラスト1F手前では進路を作れていたが、ジリジリと雪崩れ込むような形での5着。しかし、着差は0.1秒差で大きく負けていない。あまり強調材料もないが悪くもない。外枠だったら消したかったが、開幕週で今回も1番枠となると軽視も出来ない。
【能力値4位 キラーアビリティ】
前走の中日新聞杯で一昨年のホープフルS以来の優勝を飾った馬。ただ前走は前半5F61秒9-後半57秒5と、ラスト5F目から一気にペースアップした。レース最速がラスト4F目(3~4角)となっているように、3~4角で外を回った馬はロスが大きく、内を立ち回った馬が圧倒的に有利な展開だった。実際に3~4角で内から2頭分以内を立ち回った馬が1~3着を独占。12番人気で5着だったハヤヤッコも中団の最内を立ち回った馬だ。
本馬は1番枠から好発を切ったが、3番枠から内に切り込んできたハヤヤッコを行かせ、同馬の直後を追走。同レースは仕掛けが早く、前に行った馬の方が厳しいレースだった。実際、2列目の最内を追走したアイコンテーラーが次走の愛知杯でも7番人気2着と好走した。
つまり本馬の中日新聞杯勝ちは、全てが上手く噛み合っての優勝だった。ホープフルS優勝の実績を考えると、能力の天井がもっと上にある可能性も否定しないが、ここは狙いを下げたい。
【能力値5位 ユニコーンライオン】
一昨年の宝塚記念は1番枠からやや外にモタれて接触したが、行きっぷり良くすぐにハナを取り切り、1~2角でややペースを落としてのマイペース逃げ。3角からじわっと仕掛け、最後の直線序盤ではレイパパレに前に出られたが、そこからしぶとく抵抗した。勝ち馬クロノジェネシスにはなす術もなく差されたが、ラスト1Fでレイパパレを差し返して2着に好走。しぶとさを生かす競馬で自己最高指数を記録した。
しかし、その後に爪不安で約1年の長期休養を余儀なくされた。復帰3戦目となった京都大賞典で行きっぷりに復調気配を見せると、前々走の福島記念ではタフな馬場を逃げて完勝、復活を見せた。同レースは2番枠から好発を切り、押してハナを主張して一気に主導権を取った。そしてハイペースに持ち込んでの逃げ切り勝ちだった。
逃げ切り勝ちは消耗度が高く、前走はそこから中1週の強行ローテーションでジャパンCに出走。予想どおりの16着大敗を喫した。
今回は同厩舎の同型馬キングオブドラゴンとの兼ね合いも気になるが、無理使いをしてしまった点もやや不安である。前走から休ませたことで、どこまで疲れが取れているかが鍵ではあるが、キングオブドラゴンと競り合わなければチャンスがありそうだ。
穴馬は2連勝中の4歳馬インプレス
現在2連勝中の上がり馬。勝った2戦ともメンバー最速の上がり3Fタイムを記録。前走の尼崎Sは前半5F64秒2-後半5F57秒9、ラスト4F目から一気にペースアップし、レース最速がラスト3F目(4角)となっているように、4角で内を立ち回った馬が圧倒的に有利な展開だった。
しかし、本馬は3番枠からまずまずのスタートを切り、馬なりで後方を追走。折り合い重視で乗られ向正面では最後方だったが、3~4角で最内を通り、4角で大外に出されて加速が付くと、一気に前を飲み込み完勝。外差し馬場を考慮しても、ここではトップスピードが一枚上だった。
この後半の速さが本馬を評価したいポイント。また前々走の兵庫特別では超高速馬場にも対応している。今回は重賞でこれまでよりもペースが上がることが予想されるが、それでもこの末脚が引き出せれば通用するはず。前走から3ヵ月休ませたことで成長していればチャンスがあるだろう。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)エフフォーリアの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の下線茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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