【クイーンC】アスパルディーコら好素材参戦も、ハイレベルだった阪神JFを素直に評価

勝木淳

クイーンCインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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話題多き超良血アスパルディーコ

早めの賞金加算を試みると同時に、現状どのぐらいの実力を秘めているのかを図る。東京マイルという舞台は馬の実力を引き出すのに申し分ない設定なので、今の立ち位置を知る手がかりになる。

一方で、クイーンC組は皐月賞における共同通信杯組と違い、桜花賞では不振が続いた。しかし昨年、クイーンC2着スターズオンアースが牝馬二冠を達成。その風向きは変わるだろうか。今年はクイーンC組のその先まで注目してみたい。データは過去10年間のものを使用する。


過去10年クイーンC人気別成績,ⒸSPAIA


言い訳無用の東京マイル戦らしく、冬場の難しい時期といえど、1、2番人気はともに【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%で堅調。勝ち馬はすべて4番人気以内で、伏兵も7番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%までといったところ。極端な波乱は少ない。今年も阪神JF3着ドゥアイズや良血馬アスパルディーコ、イングランドアイズなど上位人気候補は多彩だ。特にアパパネの仔アスパルディーコは半姉アカイトリノムスメとの姉妹制覇と母の主戦だった蛯名正義調教師の初重賞タイトルなど話題に事欠かない。


過去10年クイーンC上がり3ハロン順位別成績,ⒸSPAIA


同舞台の東京新聞杯でも取り上げたが、冬の東京マイルは上がり3ハロン上位が必ずしも優位ではなく、1位【1-5-2-4】勝率8.3%、複勝率66.7%に対し2位【2-2-1-3】勝率25.0%、複勝率62.5%、4~5位【3-1-3-11】勝率16.7%、複勝率38.9%と1着は上がり最速でなくても問題ない。真冬のDコースは外を回ると末脚全開でも届かないケースが多く、決め手より位置取りがものをいう。


評価の軸になるドゥアイズ

いい位置につけられる上位人気馬には逆らえない。これがひとつのパターンではあるが、キャリアが浅い3歳牝馬限定戦では脚質もはっきりせず、意外とこれらデータでは絞りにくい。そこでキャリアに注目し、具体的に好走候補をあぶり出そう。


過去10年クイーンCキャリア別成績,ⒸSPAIA


まずはキャリア別成績から。1戦【1-2-1-16】は勝率5.0%、複勝率20.0%。このうち好走は前走芝1600mの新馬【1-2-0-11】勝率7.1%、複勝率21.4%で、残り3着1頭は芝1800mから。1戦1勝馬はマイル戦の経験がポイントになる。ヌーヴォレコルトの仔イングランドアイズは芝2000m戦でデビュー勝ち。母は桜花賞3着、オークス1着と距離延長でよさが出た。血統面も含め、慎重に考えよう。キャリア別では3戦【5-4-1-19】勝率17.2%、複勝率34.5%など2戦以上が優勢だ。


過去10年クイーンCキャリア2戦以上組前走クラス成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦以上の前走クラス別成績は前走GⅠ【3-2-3-12】勝率15.0%、複勝率40.0%が目立つ。すべて阪神JFで3着以内【3-1-0-2】、6着以下【0-1-3-9】。12着モリアーナや15着ウンブライルより3着ドゥアイズを素直に信用したい。

リバティアイランドが勝った阪神JFは前後半800m45.2-47.9と落差2秒7もある超ハイペースだった。道中で消耗する厳しい流れのなか、末脚を温存できたか否かがポイントで、後方勢に流れが向いたといった単純な展開ではなかった。しぶとく伸びたドゥアイズは極端なスローペースにならない限り、有力だ。


侮れないミシシッピテソーロ

次に前走GⅢ【3-4-5-19】勝率9.7%、複勝率38.7%について。今年も該当馬が多い前走フェアリーSは【2-3-3-14】勝率9.1%、複勝率36.4%。着順内訳は2着以内【1-2-1-2】、4、5着【0-1-1-4】、6着以下【1-0-1-6】で極力好走した馬を狙いたいところだ。

今年のフェアリーSはキタウイングが内から差して勝利したが、その流れは前後半800m46.3-48.0でややハイペース寄りだった。差して4着ブラウンウェーブより先行した7着ミシシッピテソーロが面白い。同馬は阪神JFで5着と見せ場を作っており、その前の同舞台アルテミスS9着は馬体重12キロ増で余裕があった。やや出走回数が多い点は気になるが、2勝馬なので侮れない。

前走1勝クラスは【3-1-1-42】勝率6.4%、複勝率10.6%。ここは勝った馬が【3-0-0-8】で2、3着は【0-1-1-12】。必ずしも勝っていなくても好走する余地を残す。赤松賞3着ウヴァロヴァイトにも可能性はある。

最後にアスパルディーコやアンリーロードなどの前走未勝利は【0-1-1-19】複勝率9.5%と冴えない。好走2頭はいずれも芝1600mの未勝利戦1着で着差0秒1以上だった。アスパルディーコやアンリーロードではなく、ハーパーがこれに当てはまる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


クイーンCインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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