Dコースの1回東京は外枠を狙うべし? 東大HCが東京芝1400mを徹底解析

東大ホースメンクラブ

東京芝1400mコースレイアウト,ⒸSPAIA

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コース分析

今週から1回東京開催がスタート。好メンバーが集結した根岸Sを皮切りに、春のマイルGⅠに向けて重要な前哨戦である東京新聞杯、クラシック路線へ飛躍する素質馬が激闘する共同通信杯、年内最初のJRA・GⅠフェブラリーSなど見応えのある番組構成だ。

今回は東京競馬場で施行回数の多いコースのうち、当コラムでまだ取り上げていない芝1400mを扱う。土曜日にはさっそく3歳限定のリステッド競走・クロッカスSが組まれており、紹介するデータを参考にしていただきたい。

このコースを舞台とする重賞は、勝ち馬に安田記念への優先出走権が与えられるGⅡ京王杯SC、朝日杯FSへのステップとなるGⅡ京王杯2歳Sの2レース。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは2018年1月27日〜2022年11月26日)。

まずはコース概要。向正面の中間点をスタートするワンターン設定で、2m弱の上り坂を通過したのちに3コーナーへかけてゆるやかに下っていく。4コーナーから最後の直線525.9mでは緩急のある2つの上りが待ち受けており、特に残り460m地点からの高低差2mの急こう配での末脚比べが勝負なポイントとなる。

1回開催は内枠有利ではない

過去5年の東京芝1400m・枠別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の東京芝1400m・枠別成績>
1枠【31-34-35-341】勝率7.0%/連対率14.7%/複勝率22.7%
2枠【19-26-31-378】勝率4.2%/連対率9.9%/複勝率16.7%
3枠【43-28-27-381】勝率9.0%/連対率14.8%/複勝率20.5%
4枠【34-29-34-403】勝率6.8%/連対率12.6%/複勝率19.4%
5枠【33-32-44-405】勝率6.4%/連対率12.6%/複勝率21.2%
6枠【36-32-28-431】勝率6.8%/連対率12.9%/複勝率18.2%
7枠【34-50-41-505】勝率5.4%/連対率13.3%/複勝率19.8%
8枠【48-48-38-516】勝率7.4%/連対率14.8%/複勝率20.6%

枠別成績はおおむね横一線で、2枠の落ち込みを除けば特に恵まれる枠は存在しない。一般的には評価の上げ下げをするべきファクターとはならない印象だ。

ただ過去5年の1回開催に限定すると、強烈な内枠有利のイメージからか1枠の馬券が過剰に買われており、単勝回収率がわずか24%しかない。実は7・8枠が連対率でワンツーとなっていて、特に8枠は複勝回収率109%と収支プラス域をマークしている。コーナリングの不利が小さくなるDコースという施行条件を頭に入れ、外枠を積極的に買うのが面白そうだ。

過去5年の東京芝1400m・脚質別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の東京芝1400m・脚質別成績>
逃げ【46-32-22-178】勝率16.5%/連対率28.1%/複勝率36.0%
先行【88-107-107-700】勝率8.8%/連対率19.5%/複勝率30.1%
差し【117-109-106-1325】勝率7.1%/連対率13.6%/複勝率20.0%
追込【27-31-42-1153】勝率2.2%/連対率4.6%/複勝率8.0%

脚質別では逃げ>先行>差しで、やはり前のポジションで運ぶ馬が有利ではあるものの、中団から末脚を伸ばすタイプも十分戦える数字。フェアなコース形態で定評のある東京コースらしいデータだ。

こちらも1回東京開催に限定したデータを確認すると、逃げ【4-2-3-26】複勝率25.7%、先行【12-13-11-91】複勝率28.3%、差し【12-11-16-141】複勝率21.7%、追込【7-9-5-140】複勝率13.0%とさらに後ろにチャンスが生まれてくる。例として過去5年のクロッカスSでは差しが【2-0-4-8】複勝率42.9%、5番人気以内に限れば【2-0-4-0】と素晴らしい成績を残しており、キレ味を身上とする人気馬は信頼が置けそうだ。

ロードカナロアが圧巻の数字

過去5年の東京芝1400m・種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の東京芝1400m・種牡馬別成績>
ロードカナロア【32-23-20-143】勝率14.7%/連対率25.2%/複勝率34.4%
ディープインパクト【13-14-12-83】勝率10.7%/連対率22.1%/複勝率32.0%
ダイワメジャー【12-16-18-130】勝率6.8%/連対率15.9%/複勝率26.1%
ビッグアーサー【1-2-1-17】勝率4.8%/連対率14.3%/複勝率19.0%

種牡馬別成績ではロードカナロア産駒が断トツの32勝。2位のディープインパクト(13勝)にダブルスコア以上の差をつけており、このコースでは右に出るものがいないスーパーサイアーだ。重賞で【3-1-4-6】複勝率57.1%、単勝回収率178%、複勝回収率165%の圧倒的成績を残すほか、新馬・未勝利でも【19-8-6-44】勝率24.7%、単勝回収率131%と頼りになる。産駒をくまなくチェックしても損はないだろう。

単勝回収率109%、複勝回収率97.0%と妙味十分なのがダイワメジャー産駒。前走4角5番手以内だった関東馬に限定すると【5-10-8-45】複勝率33.8%、単勝回収率220%、複勝回収率152%とさらに威力が増す。該当条件ではオープンクラスでも2勝を挙げており、合致する馬がいれば馬券を買ってみたいところ。

対照的に数字が伸び悩んでいるのはビッグアーサー産駒。父から受け継いだ圧巻のスピードを生かすイメージが強いが、コース形態上タフな1400mでは厳しい戦いを強いられており、1勝クラス以上で連対したのは稼ぎ頭のトウシンマカオのみ。人気を集めていても消しの一手だ。

過去5年の東京芝1400m・騎手別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の東京芝1400m・騎手別成績>
ルメール【40-24-20-60】勝率27.8%/連対率44.4%/複勝率58.3%
戸崎圭太【22-27-21-94】勝率13.4%/連対率29.9%/複勝率42.7%
田辺裕信【20-14-20-101】勝率12.9%/連対率21.9%/複勝率34.8%

騎手別成績トップは当然のルメール騎手。平均騎乗馬人気1.9、3回の騎乗を除いて全て5番人気以内という事情はあるものの、3番人気以内なら【39-23-18-48】複勝率62.5%と並の1番人気レベルの数字を叩き出している。さらに前走先行馬に限ると【16-9-5-12】複勝率71.4%、単勝回収率110%を記録。条件を満たしていれば逆らうべきではない。

ただ関東総大将の戸崎圭太騎手も負けておらず、全体の複勝回収率103%は堂々の黒字域。2番人気以内では【17-10-10-17】と半数で連対しているほか、同条件の複勝率はルメール騎手を上回る数字だ。さらに前走先行馬に限ると【10-4-1-2】連対率82.4%、単勝回収率182%。該当例を見つければ迷わず買いだ。

上記2人に次ぐ20勝を挙げている田辺裕信騎手は全体の単複回収率こそ80%弱と可もなく不可もない数字だが、前走差し馬で【9-7-7-32】複勝率41.8%、単勝回収率123%とパフォーマンスを上げる珍しいジョッキー。中穴で勝ち切るケースも多く、馬場コンディションが中団からの競馬を許容する際は狙ってみたい。

東京芝1400mのコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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