【東海S】これぞマジェスティックウォリアー産駒の得意パターン! プロミストウォリアにみる血統のクセとは

勝木淳

2023年東海Sのレース結果,ⒸSPAIA

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マジェスティックウォリアー産駒の得意パターンは逃げ、まくり、外枠

プロミストウォリアの勝利でマジェスティックウォリアー産駒は2020年エアアルマスに続き東海S2勝目を飾った。米国産エーピーインディ系特有の左回りに強く、またダート中距離に良績がある。JRAで左回りのダート中距離重賞となると東海SとチャンピオンズCが双璧、ここを勝つ産駒は今後も出てきそうだ。

エーピーインディ系はやや極端な傾向をみせる種牡馬が多く、マジェスティックウォリアーも脚質別成績は先週時点で逃げが勝率19.9%、複勝率46.0%超えと逃げれば半数近くが馬券圏内に残る。また、まくりの勝率は逃げに次ぐ高確率で、その複勝率は68.8%もある。流れに乗る先行でも、脚をある程度ためる中団でもなく、戦法の癖が強い。また、枠番別の成績では今回のプロミストウォリアと同じ6枠がもっとも好走確率が高く、5枠から外の成績がいい。

逃げ、まくり、外枠という好走ゾーンはすなわち揉まれ弱さを示し、これはエーピーインディ系の特性でもある。プロミストウォリアの4連勝は逃げ、好位外、逃げ、逃げで揉まれない競馬をしている。控えて勝った競馬も外からまくってきた馬に被されまいとスパートし、抜け出している。得意技が明確なのがエーピーインディ系であり、マジェスティックウォリアーも癖さえつかめば、付き合いやすい種牡馬だ。

そういった意味ではB.ムルザバエフ騎手の継続騎乗も大きかった。前走摩耶Sは逃げて3勝クラス上位馬のシダーに1.0差の圧勝。逃げれば重賞でも戦えるという確信を持って挑んだ。ダッシュを決めたオーヴェルニュも外からきたハヤブサナンデクンもハナに立つ気配はなく、プロミストウォリアにとってこの上ない序盤だった。ムルザバエフ騎手もじっくりハナへ行かせ、難なく進めた。1コーナーから12.8-12.6とペースを落とし、1000m通過1:02.6。残り800m12.2-12.1-11.9-12.4とじわじわ加速させ、勢いをつけるラップ構成もスピードを持続させたい同馬にとって理想的なもの。最大限にプロミストウォリアの魅力がつまったレースった。

反面、枠順やライバルの脚質など揉まれる条件が揃えば、大敗もあるのがエーピーインディ系。プロミストウォリアも見事にハマった東海Sを再現できるかどうかの見極めが大事になる。やはり好走凡走は見抜きやすそうだ。

エーピーインディ系はフェブラリーS得意だが

2着ハギノアレグリアスはカラ馬になったヴァンヤールに最後の直線で絡まれ、進路をカットされたのは不運としか言いようがない。みやこSに続き重賞連続2着は本格化の証。好走条件の幅は勝ち馬より広く、自在性がある一方でその分、パンチ不足の印象もある。とはいえ安定感があるのでこれはこれで付き合いやすい。

3着ハヤブサナンデクンは控える競馬がすっかり板についてきた。それは認めつつも、どうも追い出してから伸びそうで伸びない歯がゆさも感じる。ひとためして味があればいいが、やはり逃げて主導権を握るレースがいいのではないか。

プロミストウォリアの得意ゾーンを考えると、出走権を獲得したフェブラリーSは合うだろうか。スピード優先のコースなのでエーピーインディ系の成績は悪くなく、タピット産駒テスタマッタが勝ち、外国産馬のマジェスティックウォリアー産駒ベストウォーリア、シニスターミニスター産駒インカンテーションは2、3着の実績があり、マインシャフト産駒カジノドライヴは2着と好走馬が出ている。ただこれらはすべて好位、ないし中団に控えてのもの。東京のマイルGⅠとなると、明らかに速い馬も出走してくるので、無理にハナへ行かず控える策がベストだ。プロミストウォリアも外枠で控えても被されないような状況が整えば、可能性が出てくるだろう。

2023年東海Sのレース展開,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

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