【東海S】狙うは遅咲き血統のスマッシングハーツ Cアナライズのポイントはローテーション

貴シンジ

東海Sの前走距離別成績(中京開催の直近9年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

京成杯ではセブンマジシャンを推奨したが、4角の不利もあり3着と敗退してしまった。勝ち馬は強く逆転できた可能性は低いが、2着馬との勝負付けはまだ終わってないだろう。ここまでもどかしい競馬が続いているが、2歳時と比べ成長もうかがえるため、今後のクラシック戦線を湧かせる存在となることを期待する。

さて、今回は1月22日(日)中京競馬場で行われる東海Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「好走&消しデータ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、京都開催だった2020年を除く過去9年のデータを使用する。

好走&消しデータ

◆GⅡ、 GⅢ組からは勝ち馬が出ず 安定感のあるGⅠ組

前走レース別成績(一部),ⒸSPAIA


最初は前走レース別の成績から。勝ち馬を輩出しているレースは5レース。最も相性が良いのはやはりダートGⅠ競走でJCD時代を含むチャンピオンズCで【3-3-3-13】、東京大賞典【2-1-0-4】、OPクラスの師走S【1-2-1-16】、ベテルギウスS【2-0-0-19】、3勝クラスの観月橋Sが【1-0-0-0】となっている。意外にもGⅡ、GⅢは【0-2-1-14】と勝ち馬は出ておらず低調な成績となっている。

ハギノアレグリアスは前走がみやこSのため、このデータに当てはまる。GⅠを除く地方レース組も【0-1-1-5】となっており上位人気が予想されるクリノドラゴンにとっては減点材料となるデータだ。またGⅠからの臨戦であれば前走着順は不問も、OPからの臨戦であれば勝ち馬は前走連対以上の成績をおさめていた。

【前走GⅡ、GⅢの出走予定馬】
・アイアンバローズ
・ゲンパチルシファー
・ハギノアレグリアス
・ロードレガリス

【前走GⅠを除く地方重賞の出走予定馬】
・クリノドラゴン
・サルサディオーネ
・ヴァンヤール

【前走OPで3着以下の出走予定馬】
・デルマルーヴル
・ハヤブサナンデクン
・マリオマッハー

◆スタミナが問われる条件 距離延長組は苦戦

前走距離別成績,ⒸSPAIA


続いては前走距離についてのデータ。距離比較では同距離組【6-7-7-72】、短縮組【3-2-0-24】、延長組【0-0-2-11】となっている。

中京ダート1800mはスパイラルカーブであることやスタート地点が上り坂の途中にあること、そしてゴール前でもう一度坂を上る。よって数字以上にスタミナや底力を求められる条件となっている。スタミナよりスピードを武器にしている可能性が高い距離延長組の馬にとっては厳しいデータとなっているのかもしれない。

【今回距離延長となる出走予定馬】
・オンワードセルフ
・ゲンパチルシファー
・サルサディオーネ
・ロードレガリス

◆1番人気の信頼度は高い 穴を狙うなら2着以下か

人気別成績,ⒸSPAIA


最後のデータは人気別成績。まず注目したのは1番人気が【5-1-2-1】と非常に安定しており、勝率も高いこと。単勝回収率、複勝回収率ともに100%を上回っており、1番人気を無視することは的中から遠ざかることになりそうだ。

2番人気【1-2-0-6】、3番人気【0-1-2-6】、4番人気【2-0-1-6】となっており、その他の上位人気の成績も悪くない。5番人気以下は【1-5-4-88】となっており複勝率こそ悪くないが、勝率は1.0%と低調だ。1着候補は人気馬から、穴馬を買うなら2着以下に付けるような馬券が吉となる。

前走不利データ:チャンピオンズCのスマッシングハーツ

スマッシングハーツはチャンピオンズCからの臨戦。同レースは中京ダート1800mで行われた過去8年間のデータを見ると、前走4角9番手以下を回ってきた馬の成績は【0-1-0-24】と壊滅的な数字となっている。

スマッシングハーツは2走前の武蔵野Sは4角14番手、上がり最速34.8秒の脚で追い込むも4着でチャンピオンズCの消しデータに該当していた。武蔵野S以前は3走続けてマイルを使われていたが、チャンピオンズCで距離延長。以前に比べてポジション取りも良くなり競馬の内容も良化していた。1着馬から0.7秒差7着ならここでは十分中心視できる内容、負かしたオーヴェルニュより人気がないのであれば妙味が生まれるだろう。

血統解説

・スマッシングハーツ
日本での牝祖は母の母ハートリープス。競走馬としての実績はないが芝短距離で4勝を挙げ、準OPクラスまで勝ち上がったプリティメイズ(本馬の母)などを輩出した。元々フランスで繋がってきた一族で活躍馬は芝が中心。本馬はヘニーヒューズ産駒ということもあってダートが主戦場だが持続性能が高く鋭いラストの脚はRivermanなど母系に入る血の影響が大きい。

母が晩成だったように成長力のある一族で7歳となるここでも狙いがたつ。昨年アルデバランS(OP・ダート1900m)を勝利しているようにこの距離でも問題ない。ポジションが極端に後ろになり差し届かないというパターンが多いが、前走チャンピオンズCは距離延長でいつもより前のポジションで競馬できたことがここでも後押しとなりそうだ。

・ハギノアレグリアス
日本での牝祖は3代母タニノシーバード。牝系を辿れば8代母が名牝Mumtaz Mahalにたどり着く一族だ。叔父に2002年ダービー馬タニノギムレット、半兄に2014年ダイヤモンドS3着のタニノエポレット(父ダンスインザダーク)、姪に2022年ダイヤモンドS2着のプリュムドール(父ゴールドシップ)がいるというステイヤーファミリーで本馬もスタミナは豊富だ。

また芝でも走れそうな血を多く持ち、ダート馬としてスピード性能も高く、速い脚が使えるのも魅力の一つだ。戦績も安定していて中京コースにも良績がある。データ面での割引は必要だがコース適性は高いだろう。

Cアナライズが導く推奨馬はスマッシングハーツ

今回のコンプレックスアナライズではスマッシングハーツを推奨馬とする。前走チャンピオンズCでは以前に比べて前の位置でレースを運べており、10番人気ながら0.7秒差の7着と上々の内容だった。内々で立ち回る器用さも見せていて、今回内枠を引けばなおさら加点材料となる。1着で固定するような馬券はデータ上組みにくいが、3着以内に来た時には高配当も期待できるため、複勝系の馬券を中心に考えたい。

上位人気が予想されるクリノドラゴン、ハギノアレグリアスはデータ面でのマイナスがあった。しかし1番人気がかなり強いレースのため当日1番人気に支持された馬の抑えは必須だろう。オーヴェルニュ、プロミストウォリアも能力は高くデータ面でのマイナス要素もないため相手には入れたい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統も独自の切り口から分析している。

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