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【愛知杯】アートハウスが力の違いを見せて完勝! 特殊なペースもなんのその、休み明け3戦3勝

2023/01/16 06:00
SPAIA編集部
2023年愛知杯のレース展開,ⒸSPAIA

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まさに完勝

“荒れる重賞”の代名詞をもって語られるハンデ重賞・愛知杯だが、今年は1番人気のアートハウスが快勝。勝利騎手インタビューの冒頭でレース運びについて水を向けられた川田将雅騎手は、「競馬まで非常に穏やかに迎えられたこと」が勝利につながった、と第一に話した。

我々のような外野はついついレースの2分間にフォーカスしがちだが、そのもっと前から勝負は始まっている。繊細なサラブレッドを扱う競技の本質、その一端をトップジョッキーが示唆してくれたのだから、相応の学びを得なければもったいない。

とはいえ、レースにおけるエスコートも見事だった。逃げ馬不在のメンバー構成で、ハナを切ったのは大外枠のアブレイズ、アイコンテーラーもハナにこだわることはなく2番手。お互いが“共闘”するような形でスローに持ち込み、1000m通過は63.9秒で流れた。

アートハウスは内枠のスタートから好位の外へつけ、いつでも動けるポジションを確保しながら、このペースでも折り合ってみせた。こうなればもう怖いものはない。直線は馬場の真ん中あたりを鋭く伸びたが、どこを通ったか、はさほど関係なかっただろう。上がり33.9秒は次点のマリアエレーナ、ラヴユーライヴより0.5秒も速い。前を行く馬は一蹴し、後ろから追いすがる者はむしろ突き放した。「単なるスローの前残り」とは言わせない、横綱相撲での完勝だった。

これでアートハウスは通算4勝目。新馬戦での1勝に、3か月以上のレース間隔で3勝となった。春の牝馬路線はここからマイルに短縮するか、牡馬との対戦を選ぶかで、レース選択が難しい。個人的な意見としては、ヴィクトリアマイルは毎年のように中距離路線の実力馬が人気になっては苦戦を強いられるレースだから、大阪杯で走りを見たいと思う。ベストの精神状態で迎えたときのポテンシャルなら、層の厚い2000mのGⅠでも見劣りしないはずだ。

不発だったルージュエヴァイユ

それにしても、レース前後半63.9-59.2はとんでもないスローペースだった。過去5走で逃げたことのある馬はアイコンテーラー(アンドロメダS。このレースも通過順としては逃げだが、内を行くショウナンバルディと併走する形だった)だけで、当の本馬は番手でも問題ないタイプ。ましてスタート直後の上り坂のため、ペースが上がりにくい中京芝2000m。これだけヒントが転がっていたのだから、事前に読み切りたかった。反省である。

2着アイコンテーラーはその展開面に恵まれた部分もあるが、左回りでは相変わらず走る。ハンデ戦なら重賞でも戦っていけそうだ。

3着マリアエレーナはもともと上がり勝負を好むタイプではなく、56.5キロのハンデも考慮すれば負けて強しの内容。ただ、今後はどうしてもハンデがつきまとい、ローテーションが悩ましい。

8着ルビーカサブランカはじっくりと構えて差し競馬になるのを待つのが自身のスタイル。今回は展開が向かず、参考外と割り切りたい。

3番人気で12着に敗れたルージュエヴァイユだが、出遅れは想定の範囲内として、その後最内にもぐってしまったのが結果的にはよくなかった。スローペースが分かっていても動けるスペースがなく、4角15番手からの追い込むにかけるしかなかった。ただ、そうはいっても上がり34.9秒では末脚不発と言わざるを得ず、展開だけが敗因ではないだろう。初の関西圏輸送か、それとも渋った馬場は合わないのか。ユートピアSの内容は間違いなく重賞級にあり、東京の上がり勝負で反撃のときを待ちたい。

2023年愛知杯のレース展開,ⒸSPAIA



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