【日経新春杯】本命は適度に時計が掛かる馬場&長い直線コースが得意のサンレイポケット 穴は長距離適性が高いヤマニンゼスト

山崎エリカ

2023年日経新春杯出走馬のPP指数,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

馬場回復で差し馬有利になる可能性も…

土曜日の中京芝は雨の影響を受けて道悪。タフな馬場状態だったが、けっこう前の内目からでも粘れていた。日曜日は馬場が回復していくが、そうなるともっと前の内目からでも粘れる可能性が高まる。

しかし、だからと言って素直にそれらに食いつけない。外枠から前に行きたい馬がいると、積極的に出して内に切れ込んで行くことになり、前半のペースが速くなりやすい。また、中京芝2200mは最初のコーナー(1角)までの距離が長く、前半のペースが上がりやすい舞台でもある。

今回もキングオブドラゴンやアフリカンゴールドが内に切れ込んで行くことで、前半のペースが速くなることが予想される。内の馬がどこまで抵抗するかにもよるが、ある程度レースが流れ、差し馬有利となる想定で予想を組み立てたい。

能力値1~5位

2023年日経新春杯出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【能力値1位 ヴェルトライゼンデ】
前走はジャパンC3着。同レースは3番枠からまずまずのスタートを切り、2列目の中目を追走。4角で包まれ進路がなかったが、直線序盤でワンテンポ待ち、ハーツイストワールの内の狭いところから抜け出し、ラスト1Fで先頭。外からシャフリヤール、さらに捌いて抜け出して来たヴェラアズールに交わされての3着だった。

最後の直線で抜け出したいタイミングで進路を作れず待たされたのは少し痛かったが、このレースは前半5F61秒1-後半5F58秒0のかなりのスローペースだけに、絶好位で立ち回ることが出来た。ゆえに本馬は自己最高指数を記録。今回はそこから楽をさせての一戦となり、取りこぼす可能性が高い。

ちなみに前走ジャパンC組の好走は、過去20年まで遡っても3着内はゼロ。2005年に前走ジャパンC5着と好走し、1番人気に支持されたナリタセンチュリーも、トップハンデを背負って9着に敗れている。

【能力値2位 ロバートソンキー】
前走のオールカマーは2着。前走は1番枠からまずまずのスタートを切ったが、促されてもあまり進んで行かなかった。しかし、2番枠のジェラルディーナが内に切れ込んできたことで、その後ろの位置を取ることができた。向正面や3~4角でも同馬をひたすらマーク。最短距離を通り、直線でも同馬の能力を信じてその後ろ。ラスト1Fでようやく外に出し、そこからグンと伸びて1馬身半差の2着に好走した。

前走は内を立ち回った馬が1~4着を独占したように、前日の雨の影響を受け、馬場が内側から乾き圧倒的に内と前が有利だった。本馬はペースが遅く、前有利の流れを後方からになったが、最短距離をスムーズに走れたのが好走要因だった。

1~2角ではジェラルディーナと本馬の間に1頭分は楽に入れるスペースがあり、ヴェルトライゼンデがその間に入り込んでいれば、同馬は3~4角で大外を回り7着に終わることなく、2着だった可能性もあったと見ている。

本馬は前々走の日本海Sでも後方外から追い込んで勝利しているように、ここへ来て地力を付けているのは確かだが、前走が馬場&展開に恵まれたものだけに狙いにくい。

【能力値3位 ハヤヤッコ】
レパードSやダ2100mのオープン&リステッド2勝の実績馬ながら、昨夏は芝の函館記念を優勝した馬。しかし、その函館記念は極悪馬場で前半5F60秒1-後半5F63秒5のかなりのハイペース。本馬は1番枠からまずまずのスタートを決め、そこからかなり押して積極的に位置を取り、好位直後の最内を追走した。

道中も前が飛ばす中で徐々に位置を上げ、3角では外から前に並びかけて行くタイセイモンストルの後ろ。3~4角で内の2頭が失速し、4角で先頭に立ったタイセイモンストルに並びかけた。先頭に立ったところでマイネルウィルトスに並ばれたが、しぶとく粘りラスト1Fでは同馬を寄せ付けず、3/4馬身差で優勝した。

本馬は昨年の日経賞で好位の最内を追走し、勝ち馬タイトルボルダーと0.4秒差(5着)と戦えてはいたが、これは同馬が稍重の中で前半5F63秒6-後半5F59秒0のウルトラスローで逃げ、前残りの展開となったもの。タイトルボルダー自身が本来の能力を出し切れておらず、本馬が得意とする時計の掛かる馬場でもあった。今回はよほど馬場が悪化しない限り狙いにくい。

【能力値4位 プリマヴィスタ】
中京芝2200mで4戦2勝の中京巧者。昨春の中京芝2200m戦の三方ヶ原S(3勝クラス)では、1番枠から好スタートを決め促されてはいたが、徐々に下がり中団の最内を追走。同レースはオレンジペコが大逃げを打ち、前半5F57秒2-後半5F59秒9のかなりのハイペースとなったことで、終始最短距離を立ち回ったことや、後方で脚をためたことで嵌まった好走だった。

しかし、4角でもう先頭に立ったイクスプロージョンの直後から動き、ラスト1Fで同馬を捉えて3馬身差で勝利したことは評価できる。また当時に記録した指数はオープン通用レベルのものだった。

本馬は休養明けの前走・中日新聞杯では6着だったが、勝ち馬とは0.2秒差。前走は内有利な馬場の中で中団中目を走っていた。コース取りで恵まれたわけではないが、不利だったわけでもない。最後の直線で内の差し馬がゴチャついたことを考えれば、中目を捌いてきたことも悪くなかったが、今回での買い材料は乏しい。前走並みと言ったところだろう。

【能力値5位 サンレイポケット】
一昨年のジャパンC4着馬。同レースは前半5F62秒2-後半5F 58秒6と超絶スローペース(ラスト6F目から一気にペースアップ)だったが、12番枠から五分のスタートを切って、好位の内目を追走、最後の直線で徐々に外に出し、中団からしぶとい脚で最後まで伸び3着シャフリヤールとは3/4差の4着。

本馬は息の長い脚を使えることが持ち味の馬で、直線の長いコースに好成績が集中している。また高速馬場では一昨秋の天皇賞4着時のように、内々を通る競馬でないと上位争いに加われておらず、適度に時計の掛かる馬場がベスト。つまり、今の中京芝は悪くないということ。本馬は当初、大外14番枠に入ったことで狙い下げたいと考えていたが、想定どおりに前半からレースが流れてくれれば、この枠も悪くはなさそうだ。今回の本命候補としたい。

穴馬は距離が伸びて良さが出たヤマニンゼスト

ヤマニンゼストは前々走の神戸新聞杯は12番人気とダークホースの立場だったが2着に好走。同レースは6番枠からまずまずのスタートを切った後、最内に切れ込み中団のやや後方を追走。道中も最内を走り我慢の競馬。終始最短距離の競馬から最後の直線も内を捌き、ラスト1Fで馬群を割り、外から差し迫るボルドグフーシュを半馬身振り切って2着に好走した。

確かに前々走は嵌った面はあるが、序盤で窮屈になりながらも怯まず内に進路を取って行けたことや、息の長い脚が使えたことは先を考える上でも強みである。

前走の菊花賞は、前半5F58秒7-中盤5F62秒7-後半5F61秒0と緩みない流れでかなりのハイペース。本馬は中団を立ち回ったことで展開には恵まれたが、3~4角で大外を回るロスを作っていたことを考えると6着も悪くない。また時計が掛かる馬場では、今回が距離短縮の馬に優位性があり、そこも踏まえて本馬の一発に期待する。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ヴェルトライゼンデの前走指数「-24」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.4秒速い
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

《関連記事》
【日経新春杯】差し追い込みが決まるコースで躍動 京大競馬研の本命はヤマニンゼスト
【日経新春杯】斤量改定の恩恵はどちらに トップハンデか軽ハンデか
【日経新春杯】ヴェルトライゼンデ、ヤマニンゼストの重賞実績馬が有力候補 カギは前走中日新聞杯にあり

おすすめ記事