【日経新春杯】斤量改定の恩恵はどちらに トップハンデか軽ハンデか

佐藤永記

斤量54キロ以下の成績(昨年比),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

中京開催の傾向よりもチェックしたい斤量増の影響

京都競馬場のリニューアル工事ももうすぐ終わり。京都の重賞が阪神や中京で行われてきた変則開催もあと少しだ。今週の日経新春杯も中京代替3回目で、来年から京都に戻る。

今年は場の問題だけではなく、斤量ルールの改定があり、古馬戦の全体的な負担重量が1kg増となった影響をどう見るべきか、という問題がある。日経新春杯はハンデ戦だが、ハンデを考慮する前のベース斤量が増たため、58kgや59kgといった重ハンデを背負う馬がいる一方、最軽量が54kgとなっている。過去のハンデ戦といえば51kgあたりをお目にするのが当たり前だったことを考えると、斤量のベースが増量されているのは間違いない。

まだ今年に入って4日しか開催しておらず、少数のサンプルから傾向を見るのは少し怖いところだが、2022年全体、2022年1月、2023年(1月9日まで)の斤量別成績を単純に確認してみた(※3歳上、4歳上の平地競走全レース)。

まずは重い斤量だった馬の結果から。2022年に57kgを背負った馬は上記条件でのべ6819頭、対して58kgは141頭しかいなかった。だが、2023年の4日間は57kgが146頭に対して58kgが217頭と、ルールなので当然だが58kgを背負うことのほうが当たり前になっている。

斤量57kgの成績,ⒸSPAIA


斤量58kgの成績,ⒸSPAIA


一見、今年58kg<昨年58kgの成績になっているので「重い斤量はやはりきついのだろう」と思ってしまうかもしれない。しかし、昨年までなら57kgだったはずの馬が今年58kgになっている、と考えて昨年の57kgと今年の58kgを比較すると、ほとんど差がないことがわかるだろう。

もちろんサンプルがまだまだ少ないことは承知のうえではあるが、現状を見る限りは重斤量のメインである57kg→58kgの変化ではほとんど成績に影響がない、と当コラムでは結論付けたい。

むしろ影響は軽ハンデの負担重量増

逆に注意したいのが軽い斤量の馬たちの成績だ。54kg以下の成績を見てみると……

斤量54kg以下の成績,ⒸSPAIA


今年に入ってから54kg以下の成績は2022年全体と比べて約半減、2022年1月のみと比較しても約3分の2程度まで勝率~複勝率が落ちてしまっている。「強烈な軽斤量が減った影響」と考えてよいだろう。

斤量54kg、55kgの成績,ⒸSPAIA


ちなみに今年の55kgは【4-8-3-68】で勝率4.8%、連対率14.5%、複勝率18.1%となっており、昨年の54kg【280-262-256-2613】勝率8.2%、15.9%、23.4%と比較してはっきりと落ちている。

この点からは、ハンデ戦であろうがなかろうが、「軽い斤量の底上げは成績に響いてしまうが、重い斤量の底上げはあまり影響を及ぼしていない可能性がある」ということが言えるのではないのだろうか。

59kgの心配よりも54kgの心配をすべき

最軽量が54kgの日経新春杯だが、そう考えると最重量の59kgとなった前走ジャパンカップ3着馬のヴェルトライゼンデにとっては「自らの負担増よりも軽ハンデ馬にとってのデメリットのほうが大きい」という可能性が高く、素直に実績通り狙ってよいのではないだろうか。

今年の日経新春杯は、斤量新ルールに対し競馬ファンが予想する上でどう考えるべきか、の試金石として重要な一戦になるのかもしれない。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

《関連記事》
【日経新春杯】ヴェルトライゼンデ、ヤマニンゼストの重賞実績馬が有力候補 カギは前走中日新聞杯にあり
【京成杯】賞金加算でいざクラシックへ! ポイントは前走からの距離変化にあり
【愛知杯】荒れる牝馬重賞 小倉記念圧勝マリアエレーナ中心、穴候補はエリカヴィータ

おすすめ記事