【有馬記念】遅咲きの5歳馬、いざ頂点へ 東大HCの本命はヴェラアズール

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6年ぶりのクリスマス開催

今週日曜は中山芝2500mを舞台に、GⅠ・有馬記念が行われる。天皇賞(春)、宝塚記念を連勝し、一躍現役最強馬の座に上り詰めたタイトルホルダー、3歳馬の身で天皇賞(秋)を制し、史上最速キャリア6戦目でのグランプリ制覇を狙うイクイノックスの2強に、エリザベス女王杯を制した超良血ジェラルディーナ、復活を期す昨年覇者エフフォーリア、ダート戦線からジャパンCウィナーにまでのし上がったヴェラアズールなどが挑む。

日本の冬の風物詩といえるビッグレースだが、今年は事実上、年度代表馬の称号を賭けた一戦とあって盛り上がりもひとしお。6年ぶりのクリスマス開催を思う存分楽しみたい。今週も過去のデータを参考に、馬券的中のヒントを探っていく。

「対タイトルホルダー」が焦点

タイトルホルダー出走レースの他馬成績,ⒸSPAIA


<タイトルホルダー出走レースの他馬成績>
逃げ【0-0-0-2】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
先行【0-2-2-13】勝率0.0%/連対率11.8%/複勝率23.5%
差し【1-3-3-28】勝率2.9%/連対率11.4%/複勝率20.0%
追込【0-0-0-24】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
※データは2021年菊花賞以降、国内のみ

レースの鍵を握るのはタイトルホルダー。先行押し切りという自らの型を確立し、今年の天皇賞(春)と宝塚記念では他馬に影を踏ませることすら許さない圧勝を決めた。今回も他に徹底的な逃げ馬が不在で、必然的に流れを支配することが予想される。そこで、昨年の菊花賞以降タイトルホルダーが出走した国内5レースにおける、他馬の脚質別成績を確認する。

逃げ馬(ともにパンサラッサ、有馬記念13着・宝塚記念8着)は全滅。タイトルホルダーの3歳シーズン以降、同馬の前を走って3着以内に好走した馬はセントライト記念のソーヴァリアント(2着)だけだ。ブレークアップがハナを取り切る可能性はゼロではないが、結果を出すのは至難の業といえそう。

先行勢は4頭が馬券になっており、内訳は日経賞2、3着のボッケリーニ、ヒートオンビート、天皇賞(春)2、3着のディープボンド、テーオーロイヤル。前者はペースが緩んで番手の馬が比較的恵まれる展開、後者はそもそもメンバーレベルの問題で後方勢が脱落しての結果。淀みないペースになった昨年の有馬記念、今年の宝塚記念では好走していない。唯一、宝塚記念で4着と惜しい競馬をしたディープボンドの存在は気になるが、同馬は有馬記念史上3着以内が一度もない8枠16番に入ってしまった。

差し馬は比較的好走例が多く、タイトルホルダーの存在が味方する脚質といえる。昨年の有馬記念、今年の宝塚記念で好走した馬たちは上がり3ハロン35秒後半~36秒前半をマーク。一瞬のキレというよりは息の長い末脚が求められる(分析対象5レースで父サンデーサイレンス系【0-3-0-40】という結果は、そのひとつの示唆といえるかもしれない)。

といっても悠長に後方で構えていては勝負に参加できず、追込馬は好走がない。4角10番手以下は【0-0-0-35】で、簡単に止まらないタイトルホルダーを捕まえるにはある程度のポジションを確保しておく必要がある。

遅咲きの5歳馬が頂点に立つ

◎ヴェラアズール
前走のジャパンCはムーア騎手の見事な騎乗がクローズアップされるが、指示に応えて一瞬で伸びた馬の能力もまた非凡。たった1ハロンでダービー馬シャフリヤールをねじ伏せた内容は強いの一言だ。

しかしそれを見てなお、この馬のベストレースは5走前のサンシャインS(中山芝2500m・3勝クラス)という見立てで揺るがない。中盤が緩み、掲示板を確保した馬のうち4頭が4角5番手以内という前残り決着の中、3角から大外を回って進出して上がり3F34.0秒の豪脚を披露、3着に入った。過去の中山芝2500m戦で上がり3ハロン34.0秒以内を使って3着以内に入った馬は27頭いるが、レース上がりとの差が1.5秒以上あったのはこのヴェラアズールと2006年有馬記念のディープインパクトしかいない。京都大賞典の内容も含め、右回りでこそ真価を発揮する馬とみる。

同期のコントレイルがダービーを圧勝した日、雨の京都でダートの未勝利戦を走っていた遅咲きの5歳馬がいまスターダムに立とうとしている。ライバルに不足なし、年度代表馬に名乗りを上げる万感の走りに期待したい。

◯タイトルホルダー
天皇賞(春)は稍重馬場の中、ペースをほぼ緩ませることなくタフな阪神芝3200mを逃げ切り、宝塚記念はレコードを記録。スピード・スタミナ・操縦性・(国内における)馬場適性の全てにスキがない馬に成長。歴代のスーパーホースに比肩する力をつけている。凱旋門賞大敗については大雨のロンシャンが全く合わなかったことに尽き、度外視でよいだろう。

1986年以降の有馬記念において、同年の天皇賞(春)と宝塚記念をともに制していた馬は1988年タマモクロス(2着)、1989年イナリワン(1着)、2000年テイエムオペラオー(1着)、2006年ディープインパクト(1着)で【3-1-0-0】。連系馬券の相手筆頭として評価したい。

▲イクイノックス
過去5戦全てで高い能力を見せてきた馬。パンサラッサを捉え切った天皇賞(秋)、大外枠からドウデュースにあと一歩のところまで迫った日本ダービーはともに持続力のある末脚を繰り出しており、早めにペースが動くことの多い有馬記念でも大きくパフォーマンスを落とすことはないだろう。3歳で天皇賞(秋)を制し、有馬記念に出走したのは2頭。2002年シンボリクリスエス(1着)、2021年エフフォーリア(1着)ともに勝利している。

鞍上のルメール騎手はディープインパクトを破った2005年のハーツクライ(4番人気1着)をはじめ、2011年エイシンフラッシュ(7番人気2着)、2012年オーシャンブルー(10番人気2着)、2017年クイーンズリング(8番人気2着)と人気薄での激走も多く、有馬記念を知り尽くしている男。これ以上評価を下げることはできない。

以下菊花賞組のボルドグフーシュ、ジャスティンパレス、好枠を引き当てたイズジョーノキセキにまで印を回す。馬券は◎から印に流す馬連とする。

▽有馬記念予想▽
◎ヴェラアズール
◯タイトルホルダー
▲イクイノックス
△ボルドグフーシュ
×ジャスティンパレス
×イズジョーノキセキ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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