【ホープフルS】やっぱり今年も東スポ杯組 ガストリック最上位、逆転候補はファントムシーフ

勝木淳

ホープフルSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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GⅠ昇格後は関西馬5連勝

有馬記念が一年を締めくくるお祭りなら、ホープフルSは来春へのプロローグ。未来の希望へ思いを馳せるレースだ。予告編というわけではないが、エンディングのあとにやってくる新たな扉への入り口は、競馬がネバーエンディングであることを教えてくれる。たしかに有馬記念とハッピーエンドC、ファイナルSでおしまいという番組構成もすっきりするが、これはこれでいい配置だと個人的には思う。有馬記念が終わり、力が抜けるところだが、来春クラシックの主役候補はどの馬なのか、結果だけでなく内容まで目が離せない。データはGⅠ昇格後の過去5年分を使用する。


過去5年ホープフルS人気別成績,ⒸSPAIA


GⅠ昇格後の5年で区切ると、1番人気は【4-0-0-1】勝率、複勝率80.0%。負けたのは昨年12着コマンドラインのみ。残る4頭は前走1800m以上の中距離戦1、2着。コマンドラインはマイルのサウジアラビアRC1着から参戦した。前走中距離戦経験の1番人気は崩れていない。相手も4番人気以内が強力で基本は崩れない。8番人気【0-0-2-3】複勝率40.0%などに注意しつつも、上位人気を中心に組み立てよう。


過去5年ホープフルS所属別成績,ⒸSPAIA


東西所属別成績は関西馬【5-4-2-32】勝率11.6%、複勝率25.6%、関東馬【0-1-3-26】複勝率13.3%でここは関西が圧倒的優勢。有馬記念は関東馬も互角に戦えているが、クラシックにつながるここは関西馬がきっちりとる。今年の登録馬は関東7頭、関西12頭(※回避予定1頭)。東京スポーツ杯2歳S1着ガストリック、3着ハーツコンチェルトら関東馬はファントムシーフ、ミッキーカプチーノら関西勢にどこまで太刀打ちできるだろうか。


1分45秒台で乗り切ったガストリック

上位人気堅調、関西馬優勢というデータを素直にとれば、ファントムシーフ、ミッキーカプチーノが好走候補になるが、果たしてこれで大丈夫だろうか。前走クラス別成績から具体的な好走パターンについて掘り下げていこう。


過去5年ホープフルSキャリア別成績,ⒸSPAIA


ワンダイレクト回避で出走予定馬18頭になり、無抽選が決定。1戦1勝馬にも出走枠が与えられることになったが、キャリアには注意したい。キャリア1戦は【0-0-1-8】複勝率11.1%で辛い数字。ただしこの世代の2歳GⅠはここまで2戦いずれも1戦1勝馬が馬券圏内に入り、流れ的にバッサリ行きづらい。該当2頭のレース内容をチェックして損はない。

基本的には2戦【3-4-2-21】勝率10.0%、複勝率30.0%、3戦【1-1-1-11】勝率7.1%、複勝率21.4%、4戦【1-0-1-10】勝率8.3%、複勝率16.7%まで。中心は2、3戦だ。


過去5年ホープフルSキャリア2戦以上組前走クラス別成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦以上の前走内訳は重賞【3-1-1-14】勝率15.8%、複勝率26.3%、オープン・L【2-2-2-6】勝率16.7%、複勝率50.0%が目立つ。重賞でもっとも好成績が東京スポーツ杯2歳S(以下、東スポ杯)【2-0-1-6】勝率22.2%、複勝率33.3%。さらに勝ち馬は【2-0-1-0】勝率66.7%、複勝率100%、2着以下【0-0-0-6】。ダノンザキッド、コントレイルが勝利した。ガストリックは好走データに合致する。

今年の東スポ杯は前半1000m通過58.9と流れ、最後の600m11.4-11.5-12.0、34.9。決着時計1.45.8。馬場やペースが違うので単純に比較できないが、イクイノックス1:46.2より速く、イスラボニータ1:45.9をしのぎ、コントレイル1.44.5に次ぐ第2位。展開不問の府中芝1800mでの記録は信頼が高く、東スポ杯を45秒台以下で勝った2頭はどちらもクラシックを制した。ガストリックも先輩に続きたい。

ほかでは京都2歳Sが【1-0-0-5】勝率、複勝率16.7%。17年タイムフライヤーが勝利した。今年はグリューネグリーンの逃げ切り。前後半1000m1:00.4-1:00.1は記録としては地味にみえる。2歳重賞を逃げ切った馬のGⅠ挑戦の難しさは阪神JF、朝日杯FSを通じて実感したばかり。器用な立ち回りができるかどうかにかかっている。

オープン・Lでは萩S【2-1-0-2】勝率40.0%、複勝率60.0%が有力も、今年は勝ったトップナイフが京都2歳Sを経由。キャリア6戦では手を出しづらい。そのほかではシーウィザードの前走芙蓉S【0-0-1-3】複勝率25.0%、ファントムシーフの野路菊Sは出走なしだが、前走でオープン・Lを着差0.3以上で勝利した馬は【1-0-1-2】。勝ったのは18年サートゥルナーリア。ファントムシーフはこちらに該当する。

前走1勝クラス【0-2-1-17】複勝率15.0%について。ここは前走2000mかつ中4週以上だと【0-2-1-6】複勝率33.3%。葉牡丹賞を勝ったミッキーカプチーノは該当せず、キングズレイン、セブンマジシャンが候補に残る。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


ホープフルSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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