【有馬記念】「乗り替わり」を狙いたいレアパターンに合致 ヴェラアズールにチャンス到来

佐藤永記

有馬記念の過去10年乗り替わり有無別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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一流馬が集まるからこそ騎手も取り合い

有馬記念過去10年 乗り替わり別成績,ⒸSPAIA


いよいよ有馬記念である。前日に行われる中山大障害・オジュウチョウサンのラストランもありつつ、こちらもタイトルホルダーやイクイノックスなど一流馬が目白押し。年末決戦にふさわしいメンバーが揃い、盛り上がることは間違いない。

そんな一流馬が揃う有馬記念だからこそ、騎手も豪華なメンバーが揃う。そして、お手馬が被るようなことがあれば、より有力な方に主戦騎手が騎乗する可能性が高い。過去10年の状況を見ても、やはり継続騎乗【8-5-4-72】、乗り替わり【2-5-6-58】。前走から騎手が替わらないほうがいいのは当たり前だろう。

だが、この乗り替わり2勝の中身を見てみるとちょっと面白いことがわかる。2014年の有馬記念を勝利したジェンティルドンナはジャパンC4着のR.ムーア騎手から戸崎圭太騎手への乗り替わり。このときのムーア騎手の短期免許は有馬前週までで、乗り替わりはやむを得ないもの。2013年勝利したオルフェーヴルもC.スミヨン騎手から池添謙一騎手への乗り替わりなのだが、そもそもオルフェーヴルの前走が凱旋門賞2着で、この年スミヨン騎手は日本で騎乗していない。

つまり、乗り替わりによる2勝はいずれも、前走で騎乗した外国人騎手が短期免許期間外or来日せずで有馬記念に騎乗できないための乗り替わり、というパターンだった。

ヴェラアズールが唯一のチャンス乗り替わりパターン

そして今年、このパターンの馬がヴェラアズールだ。ご存知のとおり、ずっとダートの条件戦を走っていた馬だが、芝の中長距離路線に転戦してから快進撃が始まり、3勝クラス・ジューンS、GⅡ京都大賞典、そしてGⅠジャパンカップと3連勝で一気にスターダムにのし上がってきた。前走のジャパンカップで鞍上だったのが短期免許で騎乗していたR.ムーア騎手。ジェンティルドンナが有馬を制した際と同じ、ムーア騎手からの乗り替わりとなる。

ムーア騎手は今回の有馬記念前に短期免許期間が終了しており、鞍上は京都大賞典時の松山弘平騎手に戻るわけだが、有馬記念に出ることになった場合に鞍上が戻るのは想定内というわけだ。

名手の手腕で覚醒したヴェラアズール。前走でしっかり仕上がった反動を心配する声もあるが、まだまだ芝では底を見せていないことを考えれば魅力のほうが上回るだろう。かつてダートで揉まれた経験が、冬場の芝でプラスに働く面も期待できる。タイトルホルダーやイクイノックスのほうが人気で上回っているうちに、思い切って単勝勝負してみたいと思う。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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