【有馬記念】Cアナライズでは2強 複数の好走データと前走不利データに合致するエフフォーリアを推奨

貴シンジ

有馬記念過去10年の年齢別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週の朝日杯FSでは推奨したドルチェモアが1番人気1着。完成度が高く、抜群のスタートからすんなりポジションを取るとそのまま押し切って勝利した。これで阪神JF、朝日杯FSと2レース連続で推奨馬が1着と流れがきている。

さて、今回も12月25日(日)中山競馬場で行われる有馬記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「好走&消しデータ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった16頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

好走&消しデータ

◆勝ち馬が出ているローテーションは6つ

ローテーション別成績(主要レースのみ),ⒸSPAIA


最初はローテーション別の成績から見ていく。勝ち馬が出ている前走レースは菊花賞、ジャパンC、天皇賞(秋)、凱旋門賞、アルゼンチン共和国杯、コックスプレートの6レース。中でも菊花賞組は【3-1-2-7】と好成績だ。上位人気に推されそうなジェラルディーナのエリザベス女王杯からは勝ち馬が出ていない。

【勝ち馬が出ていないローテーションの出走予定馬】
・アカイイト
・アリストテレス
・イズジョーノキセキ
・ウインマイティー
・エフフォーリア
・ジェラルディーナ

前走菊花賞組の人気別成績,ⒸSPAIA


菊花賞組は前走着順よりも前走人気が重要となってくる。菊花賞で1番人気だった馬は【3-0-0-2】と勝ち馬が3頭出ているのに対して、2番人気以下だった馬は【0-1-2-5】となっている。菊花賞4着から巻き返したブラストワンピースも前走は1番人気だった。今回は2、3着馬の出走が予定されているが、どちらも1番人気ではなかった。マイナス材料となる。

【前走菊花賞の出走予定馬】
・ジャスティンパレス(4番人気3着)
・ボルドグフーシュ(7番人気2着)

前走JC組の人気別成績,ⒸSPAIA


前走ジャパンC組も前走人気が重要なファクターとなる。ジャパンCで1番人気だった馬は【2-1-0-2】と勝ち馬2頭が出ているのに対して、2番人気以下は【0-1-5-45】と勝ち馬が出ていない。1番人気から勝利した2頭は14年ジェンティルドンナと17年キタサンブラック。いずれもジャパンCでは負けているというのも共通点だ。

対して2番人気以下からは3頭のジャパンC勝ち馬がいるが、有馬記念での勝利はない。ジャパンCと有馬記念の連勝はかなり難しいことの証明だろう。今年3番人気1着だったヴェラアズールには逆風のデータだ。

【前走ジャパンCの出走予定馬】
・ボッケリーニ(9番人気17着)
・ヴェラアズール(3番人気1着)

前走天皇賞(秋)組の着順別成績,ⒸSPAIA


前走天皇賞(秋)組で注目したいのは着順だ。1着【1-1-0-1】、2着【0-0-1-0】、3着【1-0-0-1】と馬券内に好走した馬は有馬記念でも優秀な成績を残している。しかし、4着以下は【0-1-0-10】と奮わない。天皇賞(秋)はジャパンCよりも間隔を取れるため、ダメージを癒す時間は十分にある。素直に好走した馬を評価したい。

【前走天皇賞(秋)の出走予定馬】
・イクイノックス(1番人気1着)
・ポタジェ(8番人気13着)

前走海外組の着順別成績,ⒸSPAIA


前走海外だった馬についても触れておく。海外からの臨戦では前走着順が重要な要素となる。1着馬【1-0-0-0】、2着馬【1-0-0-0】、3着以下【0-1-2-4】となっていて、勝ち馬は海外でも連対以上の成績を残している。タイトルホルダーは上位人気が予想されるが、海外で惨敗後の国内初戦。勝ち切ることは容易ではないだろう。

【前走海外の出走予定馬】
・タイトルホルダー(凱旋門賞11着)
・ディープボンド(凱旋門賞18着)

◆6歳以上の連対なし

年齢別成績,ⒸSPAIA


続いて年齢別の成績を見ていく。3歳【4-2-2-16】、4歳【2-5-1-36】、5歳【4-3-6-45】となっていて、勝ち馬は3~5歳のゾーンから出ている。最も成績が良いのは3歳、次いで5歳が良い。6歳以上は【0-0-1-33】となっており勝ち馬はおろか連対馬すら出ていない。一定のフレッシュさは求められるようだ。

【6歳以上の出走予定馬】
・ボッケリーニ
・ラストドラフト

◆非根幹距離(1800・2200・2500)の重賞勝利実績がある馬に注目

非根幹距離(1800・2200・2500)の重賞勝利実績,ⒸSPAIA


続いては好走データを見ていく。有馬記は2500mという距離で行われるため、非根幹距離(1800・2200・2500)の重賞で勝利実績がある馬は好走しやすい傾向がある。該当馬は【10-5-8-67】、勝利するためには必須条件と言えそうだ。今回、上位人気が予想される馬の中ではヴェラアズールがこの実績を持っていない。

【非根幹距離重賞勝利実績がない出走予定馬】
・ウインマイティー
・ボルドグフーシュ
・ポタジェ
・ラストドラフト
・ヴェラアズール

◆注目血統はLyphardのインブリード

Lyphardのインブリードを持つ馬の成績,ⒸSPAIA


血統面ではLyphardのインブリードを持っている馬に注目したい。Lyphardは粘り強さのある種牡馬だ。直線が短く芝が荒れ始め、瞬発力が問われにくい有馬記念においては、有効なインブリードなのではないか。該当馬は【3-2-1-3】と高い好走率を誇っており、要注目のポイントだ。

前走不利データ:宝塚記念のエフフォーリア

データから絞り込みを行い、1着候補として残ったのはイクイノックス、ブレークアップの2頭。しかし、前走宝塚記念組は【0-0-0-1】とサンプルが少ないのでエフフォーリアを加え、3頭で検討していく。

この中で強い前走不利データを持っているのがエフフォーリア。同馬の前走は宝塚記念6着。過去10年で同レース出走馬の前走が大阪杯かつ、0.5秒以上負けていた馬は【0-0-0-9】と馬券に絡んだことは一度もない。エフフォーリアもこのデータに当てはまっており、前走は巻き返すことは困難な状況だった。今回は間隔を空け、立て直しを目指す一戦。状態が上向いていれば、昨年制したこの舞台で復活というシーンもあるだろう。

血統解説:イクイノックス、エフフォーリア

・イクイノックス
日本では4代母ブランシユレインを牝祖としてファミリーが繋がっている。本馬の3代母メゾンブランシュはクイーンS3着の実績があり、最も活力のあるグループだ。元はフランスで繋がっていた牝系で、芝適性は高くスタミナも豊富。持続性能の高い馬が多く、本馬も質の高い末脚を持っており大箱コースがベストだろう。中山もこなせるのは皐月賞で証明済みだが、東京よりは割り引いて考える必要がある。Lyphardのインブリードを持っており、有馬記念とは好相性といえる。

・エフフォーリア
日本での牝祖は祖母ケイティーズファーストだが、3代母Katiesを根幹とし、その他の枝からも勢力を広げているファミリー。Katies自身は愛1000ギニー(GⅠ・芝1609m)を勝利している。牝系の活躍馬にはヒシアマゾンやスリープレスナイトなどがおり、芝特化でパワータイプの馬が多い一族だ。中でも母ケイティーズハートはパワータイプの印象。中山芝2500の舞台は合うとみて、復活を期待するならここだろう。状態面でどれくらい持ち直しているかがカギとなる。

昨年制覇の舞台での復活に期待、エフフォーリア

今回のコンプレックスアナライズではエフフォーリアを推奨馬とする。前走の宝塚記念では中々進んでいかず6着。2走前の大阪杯でもズブい面が出て惨敗した。今回のエフフォーリアは前走不利データを持ち合わせており、中間の動きも春より良さそう。人気が落ちるここは狙ってみたい。

また前走不利データはないものの、好走データと血統データに当てはまるイクイノックスにも重い印を打つ必要がある。そのほかジェラルディーナやブレークアップにも注目したい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統も独自の切り口から分析している。

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