SPAIA競馬
トップ>ニュース>【朝日杯FS】厳しいレースを経験したグラニットに期待 穴は成長うかがえるウメムスビ

【朝日杯FS】厳しいレースを経験したグラニットに期待 穴は成長うかがえるウメムスビ

2022/12/17 17:16
山﨑エリカ
2022年朝日杯FS出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

逃げ馬多数出走も、前残りの可能性

今回はグラニット、スズカダブル、フロムダスク、オールパルフェと逃げ馬が多数出走。しかし、どの馬もコントロールが効くタイプで何が何でもハナに拘るタイプはいない。一方、人気の実績馬はダノンタッチダウンを筆頭に、自ら動ける馬はいない。

ドルチェモアはスタートも二の脚も速いが、前走のサウジアラビアRCでは3~4角でワンテンポ仕掛けを遅らせたことが好走に繋がっている。また1戦1勝馬のレイベリングは新馬戦で大外17番枠からやや出遅れたが、それをリカバリーできるほどの二の脚は見せられなかった。2戦目で変わる要素はあるにせよ、保証はない。

阪神芝は外差しも決まるようになってきているが、完全外差し馬場の昨年とは異なり、内々からでも残れている。自ら動けない馬ばかりが出走したデイリー杯2歳Sで前を残らせてしまったように、今回も同様の展開はあるだろう。「前が残る」というストーリーに賭けて穴を狙うのも面白そうだ。

能力値1~5位の紹介

2022年朝日杯FS出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【能力値1位 オールパルフェ】
新馬戦ではノッキングポイントに離されての2着。次走未勝利戦を好指数で勝利し、デビュー3戦目は大外10番枠からまずまずのスタートを切り、行きっぷり良く先頭に立つと、上手くペースをコントロールしての逃げ。4角で外から並びかけてくるショーモンを振り切り、ダノンタッチダウンの追撃を凌いでの堂々の勝利だった。

本馬が前走で記録した指数は、10月のサウジアラビアRCの決着指数と同等のもの。ただし、前走3着馬は3角3番手のショーモン、4着馬は3角4番手のシルヴァーデュークだったように、前有利な流れだったのも確か。

これまで逃げて3戦3勝。前走も自らレースを作って勝利した点は評価できる。本馬はテンがそこまで速くないので、今回3番枠でも他が控えてくれないと逃げるのは難しいが、これまでのレースぶりを見るに、ハナにこだわるタイプでもない。今回は3番枠。内々を立ち回れる優位性があり、前へ行く馬がある程度ペースを引き上げてくれればチャンスがあるだろう。

【能力値1位 バグラダス】
福島ダ1150mの新馬戦を勝利し、芝でさらに上昇した馬。デビュー2戦目で臨んだ初芝の新潟2歳Sでは、芝と距離延長に対応し、4着と驚きの走り。そして前走は芝1400m戦で、ここまでの2戦のようにすんなり逃げられそうもない点が課題だったが、芝1200mの新馬戦を逃げ切り勝ちした快速馬トレンディスターが緩みないペースで逃げてくれたことで、道中4番手で折り合いもついて、最後の直線ではしっかりと脚を伸ばして快勝した。

本馬が前走で記録した指数は、先に行われた京王杯2歳Sの決着指数と同等で、新潟2歳Sを上回った。指数上は新潟2歳Sで先着したライバルたちをここで逆転したことになる。前走は1勝クラスとしては優秀だっただけに、疲れが残らないかが心配だが、ダートデビューで無理をさせなかった馬というのは、意外な成長を見せることがある。

【能力値3位 ドルチェモア】
新馬戦、サウジアラビアRCを連勝した馬。前走のサウジアラビアRCでは、7番枠からトップスタートを切ったが、1番枠からハナを主張するグラニットに行かせて、2番手を追走。グラニットが大逃げしたため、離れた2番手を追走することになった。3~4角でも前がペースを引き上げて行く中で、ワンテンポ仕掛を待ったこともあり、4角ではグラニットとの差が10馬身はあったが、ラスト2Fでは5馬身差くらいまで詰め、ラスト1Fではしっかりと前を捕らえて1馬身1/4差で完勝した。

ただ先にも紹介したように、サウジアラビアRCとデイリー杯2歳Sの決着指数は同等で指数上の優位性はない。サウジアラビアRC3着のシルヴァーデュークは勝ち馬との着差は0.6秒差、デイリー杯2歳S4着時は0.4秒差だが、シンプルにデイリー杯2歳Sでは指数を詰めていたことになる。また前走はグラニットがペースを引き上げたことで展開に恵まれた面があったのも確か。今回も前走同様に展開の優位性が欲しいところではある。

【能力値4位 グラニット】
前走のサウジアラビアRCで2着と好走した馬。1番枠からまずまずのスタートを切ってハナを主張し、道中も淡々とリードを奪っていく形。大逃げをしながら、粘り通す強い内容だった。前走で緩みない競馬をしたことがさらなる地力強化に繋がれば、ここも侮れない。

前々走の新潟2歳Sでは、3番枠からトップスタートを切りながらも、外からハナを主張してくるバグラダスなど、外枠の馬に行かせて2列目の内を追走。スムーズにレースの流れに乗れていたが、最後の直線で馬場の悪い内を通ったために勝ち馬キタウイングと0.5秒差の6着に敗れた。

本馬は2列目からの競馬にも対応できるが、上がり勝負には持ち込みたくないタイプの馬。今回は前走で緩い競馬をした馬が多いメンバーだけに、それらが緩みない流れで苦しむようならば、バテない強みを生かせる。

【能力値5位 ダノンタッチダウン】
前走のデイリー杯2歳Sで2着と好走した馬。前走は2番枠からやや出遅れ。そこから押して行ったものの二の脚が甘く後方からの競馬となった。道中も前がある程度ペースを引き上げて行く中で、後方3番手を追走。3角では中団付近まで挽回していたが、4角外から動いたために、直線に向くあたりでは最後方付近まで下がっていた。しかしそこからジリジリ伸びてラスト2Fでは中団、ラスト1Fではグンと伸びて、抜け出していたオールパルフェに半馬身差まで迫っての2着だった。

本馬は長くいい脚が使える長所はあるものの、マイル戦だとテンに置かれて位置取りが悪くなり、外々を回るロスが生じてしまうことから、本質的にマイルでは距離が短いと感じる。新馬戦でも13番枠からまずまずのスタートを切って序盤は好位の外にいたが、直後の2角で内の馬が抵抗したために位置が下がり、中団の外からの競馬となり3~4角で外を回るロスが生じている。その辺りは先週の香港Cで2着と好走した半兄ダノンザキッドそっくりだ。

本馬も距離適性の面ではホープフルSのほうが良いが、朝日杯FSのほうがメンバーは手薄で、能力面の優位性があるという点では好ましい。前走のように前有利の展開になると辛いが、前がペースを引き上げてくれるか、ロスを最小限にとどめた騎乗ならチャンスがあるだろう。

穴馬は中間の成長が窺えるウメムスビ

前走のカンナS時は午前中まで不良馬場でかなりタフな重馬場。7番枠からまずまずのスタートを切って、前半3F33秒8-後半35秒6のかなりのハイペースの2番手から、ラスト1Fで先頭に立ち、後続に並ばせずに勝利した内容は着差以上に強かった。

今回のメンバーにおいてはタフな馬場の厳しいペースを経験していることは強みとなりそう。この中間の追い切りではスピード感あふれる走りを見せており、休養中の約3ヵ月の間に大きく地力強化した感がある。レースの流れに乗って一発の可能性が十分ありそう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)オールパルフェの前走指数「-13」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


《関連記事》
【朝日杯FS】先週のシンリョクカに続け! ハイブリッド式消去法の狙いは「キャリア1戦」の伏兵
【朝日杯FS】Cアナライズからはドルチェモアを推奨! 前走着順や人気など複数の好走データに合致
【朝日杯FS】母も制した阪神マイル ドルチェモア無傷で頂点へ