【朝日杯FS】母も制した阪神マイル ドルチェモア無傷で頂点へ

門田光生

朝日杯FSのキャリア別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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2014年から阪神

2022年12月18日に阪神競馬場で行われる第74回朝日杯フューチュリティステークス(朝日杯FS)。先週に行われた阪神JFは「2歳女王決定戦」と書けばよかったのだが、年末に中山競馬場でホープフルS(芝2000m)が、また川崎競馬場では全日本2歳優駿(ダート1600m)が行われるので、朝日杯FSは芝の2歳マイル王者、もしくは短距離王者決定戦と書くべきなのだろうか。悩むところである。

今回も過去15年のデータを検証しようと思うのだが、2017年からホープフルSがGⅠに昇格したことにより、朝日杯FSに出走する馬の傾向も多少は変わっていると思われる。そのため2017年以降の5回の成績も加味しながら検証していくことにしよう。なお、2013年までは中山、2014年以降は阪神で行われているが、ひとまずコースの影響がなさそうなデータはひとくくりにしております。

朝日杯FS出走馬の所属,ⒸSPAIA
朝日杯FS出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属と性別
美浦7勝(13連対)、栗東8勝(17連対)。勝利数、連対数とも栗東所属馬が優勢だが、全体の出走頭数は栗東所蔵馬の方が3倍近く多いこともあり、勝率、連対率ともに美浦所属馬が大きく上回る結果となっている。これは阪神で施行された2014年以降もほぼ同じような傾向となっているが、近2年はいずれも栗東所属馬のワンツースリーだった。また、牝馬はこれまで8頭出走して、2018年グランアレグリアの3着が最高。

朝日杯FS出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
最も多く勝ち馬が出ているのはキャリア2戦の7勝(11連対)。連対した11頭はすべて新馬戦を勝っていた。続いてキャリア3戦の5勝(11連対)。キャリアが6戦を超えると連対馬がいなくなる。経験より素質、といったところか。ただし、キャリア1戦の馬は6頭出走して、馬券に絡んだのは2015年の勝ち馬リオンディーズだけ。

朝日杯FS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
朝日杯FS出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
新馬、未勝利、1勝クラス、オープン、GⅢ、GⅡから勝ち馬が出現。どの路線でもチャンスはあるといえる。

相性のいいステップレースだが、なんと1勝クラス(500万下含む)のベゴニア賞が3勝でトップ(今年は登録なし)。続いて東京スポーツ杯2歳S、サウジアラビアRCの2勝が続く。ホープフルSがGⅠに昇格した2017年以降ではサウジアラビアRCが2勝でトップだが、東スポ杯に関しては【0-1-0-2】と出走が少なく、今年も登録なし。東スポ杯の有力どころは朝日杯FSでなく、ホープフルSへ向かう公算が高いと考えられる。

朝日杯FS出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着順
勝ち馬15頭中、前走が1着だった馬は14頭。2着以下から巻き返したのは2007年のゴスホークケン(東スポ杯4着)だけ。これは15年も前の話なので、前走1着というデータは満たしておきたいところ。2、3、4着馬の勝率は1.5%と一気に低くなり、5着以下から勝ち馬は出ていない。

朝日杯FSにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
朝日杯FSにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていこう。まず生産者だが、勝ち馬の半分以上(8頭)がノーザンファーム生産馬。出走馬も多いのだが、きっちり結果を出しているあたり、さすがトップワンブリーダーである。続いて生まれた月だが、1月生まれの馬がほかの月より成績がいい。早生まれのアドバンテージが生きているようだ。また、前走で1番人気に支持されていた馬も10勝と結果を出している。

連対がないデータは、まず中1週以内で使ってきた馬。20頭が該当し、2010年リベルタスらの3着が最高着順。前走馬体重が440キロ以下だった馬も同様に3着が最高着順。また、前走で1200mを走っていた馬19頭から馬券に絡んだ馬は出ていない。

サウジアラビアRC組が優勢

朝日杯FSのデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「美浦所属馬」B「キャリア2戦で新馬勝ち」C「サウジアラビアRC組」D「前走1着馬」E「ノーザンファーム生産馬」F「1月生まれ」G「前走1番人気」。

勝率、または連対率が下がってしまうのはH「前走5着以下」。連対がないのはI「キャリア6戦以上」J「中1週以内」K「前走馬体重440キロ以下」L「前走1200m」。

阪神JFと同じ2歳限定のGⅠだが、阪神JFに比べると好走・凡走データがたくさん出てきた。プラスデータは6つあるが、今回は3つ該当する馬が最多。コーパスクリスティ、ダノンタッチダウン、ドルチェモア、ドンデンガエシ、バグラダスの5頭。

プラスデータ6つのうち、上記でも満たしておきたいと書いたのがD「前走1着馬」。過去の1着馬15頭中、14頭が該当している強いデータだけに、これに当てはまらないダノンタッチダウンは押さえまで。

残る4頭のうち、注目したいのはサウジアラビアRCを勝ったドルチェモア。サウジアラビアRCがGⅢに昇格した2016年以降、勝ち馬の朝日杯FSでの成績を調べてみると、2016年ブレスジャーニー不出走、2017年ダノンプレミアム1着、2018年グランアレグリア3着、2019年サリオス1着、2020年ステラヴェローチェ2着、2021年コマンドライン不出走。

出走さえしてくれば3着内率100%で、しかも連対する確率がかなり高い。しかも、この4頭はドルチェモアと同じ2戦2勝で朝日杯に挑んでいた。となれば、今年のドルチェモアにも、当然ながら期待がかかる。阪神マイルは母アユサンが桜花賞を制したコースでもある。

過去15年では美浦所属馬が勝率、連対率ともに上回っているが、昨年、一昨年は栗東所属馬が上位を占めるなど、近5年では栗東馬が8連対と優勢。というわけで、栗東所属のコーパスクリスティが2番手。

残ったドンデンガエシとバグラダスで、違いはノーザンファーム生産馬か、1月生まれか。今回の出走予定馬で1月生まれはバグラダスだけで、この項目はぜひ入れておきたいということで、これが3番手。

◎ドルチェモア
◯コーパスクリスティ
▲バグラダス
△ドンデンガエシ
×ダノンタッチダウン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
登録馬に「ウメムスビ」という馬がいますが、馬主さんは「紀州ほそ川飼料」という法人名なので、どうやら和歌山と関係があるみたいです。和歌山県人には激アツです。

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