【香港国際競走回顧】ウインマリリンが香港ヴァーズV 地元香港勢が3勝と強さ際立つ

ⒸThe Hong Kong Jockey Club
香港ヴァーズ ウインマリリンがGⅠ初制覇
コロナ禍での入国制限等もあり、海外メディアが参加するのは3年ぶりとなった2022年の香港国際競走。連日のPCR検査や抗原検査が求められるなど、厳戒態勢の中での開催となった。
先陣を切って4Rに行われた香港ヴァーズ(GⅠ・芝2400m)はウインマリリンが見事にGⅠ初制覇を飾った。
ドイツから参戦のメンドシーノがゲートから出ないというアクシデントもあったが、セニョールトーバがレースの主導権を握り、1200mの通過が1:15.51とスローペース。ウインマリリンは後方2番手の8番手からレースを進めた。
勝負どころに差し掛かると馬群が凝縮し、一旦は最後方と言ってもいいポジションとなったが、鞍上のレーン騎手は冷静だった。4角で大外を回るロスがありながら、直線で満を持して追い出されると残り150mで先頭へ。最後は流す余裕もありながら1馬身半差をつけた。
2着は2番手でレースを進めたフランスのボタニク。これが引退レースで3度目の香港ヴァーズ制覇を狙ったグローリーヴェイズは6番手からロスなく立ち回ったが、3着という結果に終わった。
香港スプリント 日本勢は5着メイケイエールが最先着
日本時間の15時50分に発走した香港スプリント(GⅠ・芝1200m)は地元香港のウェリントンが勝利。前哨戦のジョッキークラブスプリントでは6着に敗退していたが、この路線の実績馬が見事に巻き返した。
ハナを奪ったのはシンガポールから参戦したリムズコジオスコだったが、ピタッと2番手をマークしていたサイトサクセスが3角で先頭に立つ。
ウェリントンは中団からレースを進め、直線では外へと持ち出されるとラストはメンバー最速の10.50-11.54(22.04)という末脚を繰り出した。

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3/4馬身差の2着にはルメール騎手騎乗のサイトサクセスが粘り、そこから1.1/4馬身差の3着は後方から追い込んだスカイフィールド。JRAのオッズでは3番人気→10番人気→8番人気と波乱の決着となった。
なお1番人気に支持されたラッキースワイニーズは直線で包まれ行き場をなくし6着。日本勢はメイケイエール5着、ナランフレグ10着、ジャンダルム12着、レシステンシアが13着に終わった。
香港マイル 新王者誕生
競馬場や街中の広告、プレスパスなどあらゆるところで”THE PATH TO VICTORY" という勝利への道を意味するキャッチコピーとともに写真が掲げられるなど、今年の香港マイル(GⅠ・芝1600m)には香港国際競走の主役であるゴールデンシックスティが出走した。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
しかし、そのゴールデンシックスティは2着に敗戦。4歳のカリフォルニアスパングルが勝利し、香港マイル路線に新王者が誕生した。
スタートしてすぐにハナに立ったカリフォルニアスパングルだったが、3角でペースが遅いと見たボウマン騎手騎乗のビューティージョイが捲って先頭にたった。
それでもパートン騎手は自分のペースで2番手を追走。直線ではビューティージョイの外に持ち出し、残り300mで抜け出した。道中4番手にいたゴールデンシックスティがジリジリと差を詰めてきたものの、クビ差という着差以上に余裕を持って押し切った。

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ゴールデンシックスティは王者として君臨してきたが、勢いのある4歳馬に引導を渡される形となった。ホー騎手は「私の馬はとても良く走ったが、勝ち馬は展開と馬場を味方につけた」とコメントを残している。敗れはしたものの、これで終わることなく、再び巻き返す姿を見せてくれると期待したい。
日本から参戦した2頭はいずれも出遅れ。ダノンスコーピオンが6着、シュネルマイスターは9着。引退レースの予定だったサリオスは土曜日の調教後に左前脚ハ行との診断を受け無念の出走取り消しとなった。
香港カップ ロマンチックウォリアーが圧勝
メインレースの香港カップは日本から5頭が参戦し、勝利の期待が高まっていたが、その願いは叶わず。地元香港の4歳馬で春のクイーンエリザベス2世Cを制しているロマンチックウォリアーが後続に4馬身半差をつけて圧勝した。
ロマンチックウォリアーは抜群のスタートを切ったが、大方の予想通り逃げたのはパンサラッサ。しかしカーインスターにピッタリとマークされるなど、思ったような展開には持ち込めなかった。
それらを尻目にロマンチックウォリアーのマクドナルド騎手はじっくり構え、直線で外に持ち出すと残り300mで先頭に。最後はビジョンを確認する余裕もあり、右手をあげてガッツポーズ。当面はこの路線のトップとして君臨する存在となるのは間違いなく、日本馬にとって大きな壁となっていくだろう。

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日本馬の最先着は2着のダノンザキッド。後方4番手追走から直線では馬群を捌いて伸びた。その他ジオグリフは直線で内を突いたが6着、ジャックドールは持ち味の先行力を発揮できず7着、3番手からレースを進めたレイパパレは9着、パンサラッサは10着だった。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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