【阪神JF】コスモス賞からの直行もモリアーナが最有力 『2歳馬ジャッジ』でもっとも素質が高いと評価

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アルテミスSの上位馬が有力も…
一昨年はソダシ、昨年はサークルオブライフと過去2年はアルテミスSの勝ち馬が阪神JFを優勝。基本的に同レースはアルテミスS上位馬が有力な一戦だ。3年前のようにファンタジーSの決着指数がアルテミスSを上回ると、ファンタジーS勝ち馬(レシステンシア)が優勝することもあるが、今年はアルテミスSのほうが指数は上だった。
ただアルテミスS上位のラヴェル、リバティアイランドともに出遅れ癖があり、二の脚がひと息という弱点がある。前記2頭は前走逃げ切り勝ちのリバーラやサンティーテソーロらがどこまでペースを引き上げてくれるかという、展開に左右されるところがある。またそういった馬たちが人気になると、前半で無理に脚を使い最後失速というパターンにもなりかねないので、二の脚も速く、決め手もある馬を中心視したい。
能力値1~5位馬に紹介

【能力値1位 ドゥーラ】
ドゥアイズが勝利した新馬戦では4着だったが、次走未勝利戦を好指数勝ちし、そのままの勢いで札幌2歳Sを優勝した馬。前走の札幌2歳Sは12番枠から五分のスタート切り、先行馬が広がっていく中を、中団中目に上手く入れていく形。向正面でドゥアイズが前に入って来たので、同馬をピッタリとマーク。最後の直線序盤で同馬が早めに抜け出したところを目標に差し切った。
前走はドゥアイズが良い目標になったもので、同馬にたいして優勢と評価できる内容ではなかった。今回はそれ以来の休養明けの一戦。どこまで成長しているかがカギとなる。
【能力値2位 ドゥアイズ】
粒揃いの新馬戦を勝利し、前走の札幌2歳Sでは2着。前走は13番枠から五分のスタートを切ったが、内の先行勢が広がったため、中団の外で様子見する形。向正面でじわっと位置を押し上げ、3角から進出。最後の直線序盤で抜け出しを図ったが、本馬を直後からピッタリマークしていたドゥーラに食らいつかれ、最後は1馬身離されての2着だった。外枠が悪かったとしか言いようがないレースだった。
ただ今回有力馬の一頭である対モリアーナとなると、前々走のコスモス賞で完敗。同レースでモリアーナは早めに先頭に立ったため、ラスト1F12秒6と減速したが、それでも差を詰められなかった。今回本馬は札幌2歳Sからの直行。強い馬ではあるが対モリアーナとなるとやや分が悪い。
【能力値3位 ラヴェル】
新馬戦ではかなり出遅れて、そこから位置取りを最低限リカバリーしながらラスト2F11秒7-11秒3で勝利した素質馬。前走のアルテミスSは現2歳世代の重賞では牡、牝含めて最も高い指数で決着したハイレベルかつ、粒揃いだった一戦。そんな前走も出遅れて最後方から道中2番手という競馬だったが、最後の直線での瞬発力は素晴らしかった。
今回の問題は休養明けの前走で走った疲れが残っているかどうか。本馬はゲートが苦手で出遅れ確定のような馬だが、直線一気をするには18番枠は良い枠だろう。
【能力値4位 リバティアイランド】
新馬戦をラスト3F31秒4と優秀な上がりタイムで勝利した馬。ハイレベルだった前走アルテミスSでは2着。断然の1番人気に支持されたが、好位の直後と出遅れた新馬戦より前の位置を取りに行ったことで、3~4角の中目で包まれたまま直線を迎えることになった。
ラスト2Fでようやく外に出して進路を確保すると、ラスト1Fで3馬身はあった3着アリスヴェリテとの差をしっかり差し切り、1着ラヴェルとの差も詰めたが2着惜敗。今回は乗り方をひと工夫すれば逆転があっても不思議はない。
【能力値5位 サンティーテソーロ】
デビュー2戦目の未勝利戦でロケットスタートを決めて逃げ、優秀な指数を記録。前走のサフラン賞もロケットスタートを決めての圧勝だった。今回は多頭数のGⅠ。逃げ切ることは簡単ではないが能力は高い。
穴馬は素質が高いモリアーナ
モリアーナは6月東京の新馬戦で、ラスト2F11秒0-11秒1の強烈なインパクトを残して勝利した馬。次走コスモス賞は大外9番枠からやや出遅れたが、速い二の脚ですぐに2列目の外に付け、3角先頭の早仕掛けで押し切った。時計の掛かる札幌芝ではタブーと言えるレース運びでの勝利だった。対ドゥアイズには決定的な差をつける内容での勝利も、能力を出し切ってのものではない。
問題は今回がコスモス賞からの直行となったこと。馬場が悪くなると不安だが、スタートを決めて脚をタメられれば、東京の新馬戦で見せた瞬発力が炸裂すると見る。また本馬は『2歳馬ジャッジ』で取り上げた馬の中で、もっとも素質が高いと評価した馬だ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ドゥーラの前走指数「-13」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.3秒速い
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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