【2歳馬ジャッジ】サンティーテソーロが1勝クラスでも勝ち負けの指数で圧勝
山崎エリカ

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1勝クラスで勝ち負け可能な好指数 9月2週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は未勝利戦で1勝クラスでも通用する指数を出したサンティーテソーロや、スムーズな競馬で危なげなく勝利したチャンスザローゼスなどが出た、9月10日、11日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
9月10日(土) 中山2R 優勝馬 サンティーテソーロ 指数-9 評価A
新馬戦はやや折り合いを欠き気味に逃げ馬の2番手を追走したが、抑えきれない感じで3角手前から先頭に立ってしまった。そのまま4角先頭で押し切りを狙ったが最後は苦しくなり3着。かなり強い内容だった。
今回はデビュー2戦目。2番枠からロケットスタートを決めるとそのまま主導権を握り、道中は前走時よりもスムーズに走れていた。そしてそのまま4角を回り、直線では後続を突き放して5馬身差の圧勝。走破タイムの1分34秒3はなかなか優秀。指数上は同日1勝クラス、アスター賞に出走していたとしても勝利していた計算になる。
現状は能力を発揮させるためには気分よく走れる逃げの手がベターで、気性面の不安を感じる。折り合う競馬で能力を出せるようになれば、もう一段階強くなりそうだ。気性面が成長せず、逃げ、揉まれない競馬しかできないままだとしても1勝クラス通過は時間の問題。オープンでも穴馬として活躍するだろう。
9月10日(土) 中山4R 優勝馬 マーブルマカロン 指数-8(ダート) 評価B
5番枠から芝地点で好ダッシュを決め、そのままダートに入り、逃げる競馬となった。そこに外から終始プレッシャーをかけるスズカコーズ。2頭のマッチレースは続き、3番手以下の馬は引き離されて行く。結果、逃げたマーブルマカロンがそのままスズカコーズを半馬身封じて勝利した。
上位2頭で3着以下には8馬身以上の差。走破タイム、指数も新馬戦としてはなかなか優秀なものとなった。ラスト2Fは11秒9-12秒8。そこまで余裕は残せなかったようだ。
余裕なくダートの新馬戦で好指数勝ちした馬は、その後すんなりとはいかないことも多いが、今回の新馬戦が良い指数だったことは確か。いずれ上昇するだろう。スズカコーズは好指数での2着、近いうちに未勝利クラスは突破するだろう。
9月11日(日) 中山1R 優勝馬 ネバレチュゴー 指数-11(ダート) 評価B
ここまでデビューから3戦、芝で9、7、7着という成績だったネバレチュゴー。ただ成績が悪いながらも前走は新潟1000mで先行するスピードは見せており、見どころのあるレースぶりではあった。そうは言っても今回は初ダートの一戦。どうなるかと見ていた。
4番枠から五分のスタート。このレースはスタート直後から先手争いが激しくなり、すんなりとはいかなかったが、ハナ奪取には成功。そのまま3角過ぎから後続を引き離しはじめ、直線ではさらにグングン伸びて6馬身差で圧勝した。
古馬1勝クラスでも通用するレベルの指数を記録。今回は減量騎手騎乗での好指数だったが、初ダートで記録したことは評価できる。今後は勝ったり負けたりするだろうが、楽しめそうな馬だ。
9月11日(日) 中山2R 優勝馬 ファイナルヒート 指数-3 評価A
ミシシッピテソーロが勝利した新馬戦では出遅れ、後方からよく追い込んで5着。ダノンザタイガーが勝利した未勝利戦ではダッシュが付かず後方からになり、最後の直線では前が壁でスムーズさを欠いた。結果、進路が開いてから追い込んで5着という成績だった。
今回はこれまでよりもスタートが良く、距離が延びたこともあり中団で流れに乗ることができた。3角過ぎから好位に上がって行くと、長く良い脚を使って抜け出し、勝利した。
ラスト2Fは11秒8-11秒3と最後に急加速。これはかなり高く評価できる。デビューからの2戦は能力を出し切れない競馬が続いたが、今回で高い潜在能力の片鱗を見せた。結果的にデビューからの2戦で能力を出せなかったことも、今後の順調な成長に繋がっていきそうだ。
9月11日(日) 中山5R 優勝馬 ダノンゴーイチ 指数-4 評価A
3番枠からトップスタートを決めたダノンゴーイチ。そこから抑えて、好位直後の最内で折り合う競馬となった。3角過ぎで前の馬が急に下がってきたが大して不利にならず、うまく外に捌いて再び最内に入れコースロスなく直線へ。あとは前を目標に追い出して勝利した。
ラスト2Fは11秒8-11秒7と最後までしっかりと伸びている。3着以下は弱かっただけかもしれないが、2着に2馬身半差、3着以下には7馬身以上の差をつけたのはかなり高く評価できる。今後の活躍がかなり期待できそうだ。
9月10日(土) 中京1R 優勝馬 エミサキホコル 指数-7(ダート) 評価B
前走で5着以内に入っていた馬が3頭しかおらず、そして多くの馬が今回初ダートだった一戦。かなり低レベル決着になりそうな気配だった。勝利したエミサキホコルは、芝の新馬戦で5着、オープンのフェニックス賞で7着だった馬だ。
今回は7番枠からトップスタートを切り、芝の地点で好ダッシュを決めると内からハナを主張する馬に行かせて2番手の外。最後の直線序盤で先頭に立ち、外から迫ってきたストリンジェンドの追撃を抑えきって勝利した。
3着に5馬身半差、4着に9馬身半の差をつけての勝利。ラスト2Fは12秒3-12秒5。確かに対戦相手のレベルが低い一戦ではあったが、初ダートながら2番手でレースを進め、最後まで大きく減速しなかったことは評価できる。ダートで期待できそうだ。
9月10日(土) 中京2R 優勝馬 チャンスザローゼス 指数-6 評価A
素質馬揃いの6月阪神の新馬戦で、カルロヴェローチェの2着となったチャンスザローゼス。今回は2戦目で単勝オッズ1.2倍の断然の支持を受けた。前走は1番枠から出遅れ中団からの競馬だったが、今回は大外8番枠から出して行く気配もなく、後方待機策をとった。
揉まれることなくスムーズな競馬で最後の直線へ。外に出されると、前を一気に飲み込んで先頭に立ち、そこから突き放して2着に3馬身半差をつけてゴールした。
今回で記録した指数はこの時期の未勝利クラスとしては優秀なもの。ただ欲を言うなら、今回はかなり理想的かつスムーズな競馬ができただけに、もっと突き放せても良かったと思っている。次走の昇級戦でどの程度やれるかで、潜在能力を見極めたい。
9月11日(日) 中京1R 優勝馬 ビューティーワン 指数-4(ダート) 評価B
6月東京のモリアーナが勝利した芝の新馬戦では3着、次走の未勝利戦でも3着。どちらも出遅れ、二の脚も遅く、後方からになっていたが、エンジンが掛かってからはしぶとい競馬をしていた。
今回はデビュー3戦目で初ダートの一戦。ここでは6番枠からまずまずのスタートを決め、中団中目の直後からと今までよりも前の位置でレースを進めることができた。3~4角の中目からポジションを上げ、直線では前を目標にしっかり脚を伸ばし、2着に3馬身半差をつけて勝利。
指数はそこまで優秀とは言えないが、初ダートで勝利したことや芝の2戦よりも前の位置でレースができたことに進歩を感じる。意外と面白い馬になりそうだ。
9月11日(日) 中京5R 優勝馬 オープンファイア 指数-1 評価B
セレクトセールで3億円以上で取引され、注目を集めたオープンファイア。今回は単勝オッズ1.3倍と断然の支持を集めた。レースは1番枠からスタートでアオってかなりの出遅れ。道中は後方から2番手のポジションとなった。
このレースは前半5Fが1分06秒6と遅く、前を行く馬たちに余力があり、最後の直線に入っても前との差が詰まらなかった。ラスト1Fでは完全に届かないと思われる脚勢だったが、最後の最後に前が止まったこともあって、差し切り勝ちを決めた。
このレースのラスト2Fは10秒8-11秒6。あまり高い評価をできるものではない。指数も優秀とは言えないが、致命的な出遅れをリカバーして勝利したことには価値がある。今回の一戦はほぼノーカウントと考えて、次走で真価を問いたい。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)サンティーテソーロの指数「-9」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.9秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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