【2歳馬ジャッジ】レイベリングが同日最速の上がりで好指数勝ち 欧州最強馬フランケル産駒の今後に大注目
山崎エリカ
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11月4週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は同日最速上がりで勝利したレイベリング、京都2歳Sで指数以上の強さを見せたグリューネグリーンなどが出た、11月26、27日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
11月26日(土) 東京5R 優勝馬 レイベリング 指数-6 評価AA
レイベリングは18頭立ての17番枠から五分のスタートを切ったが、外に行こうとして他馬と接触、位置を取りに行かずに中団に控える競馬となった。この週の東京芝は内と前が有利な馬場状態。やはり外枠だとなかなか内に入ることができず、終始外目を回るロスが生じた。
このレースも前が残りそうな展開だったが、最後の直線で一番外から追い出されると、前脚を大きく掻き込むかつてのスノーフェアリーのような豪快なフットワークで前を捕らえ、最後は2着に3馬身半差をつけてゴールした。
ラスト2Fは11秒1-11秒3と悪くない。もっと光ったのは上がり3Fタイムの33秒1。この数字はこの日の東京芝では古馬を含めナンバー1。翌日の東京芝はさらに高速化していたが、土日含めても本馬が記録した上がり3Fタイムは1位タイ。これはかなり高く評価できる数字だ。今回の走破タイムは芝1600mで1分35秒4と平凡。これなら次走以降にダメージを残す可能性が低く、今後も順調な成長が期待できる点も好感が持てる。
レイベリングの父はヨーロッパ最強と謳われたフランケル。直線でゴーサインが出された時に見せたフットワークが日本の芝馬のようではなかったのは、父の影響かもしれない。時計の掛かる馬場も向いていそうで、今後の活躍が大いに期待できるだろう。
ただ一つ気になる点は、本馬が次走朝日杯FSに登録していること。現2歳世代牡馬芝部門は現段階では混沌としており、朝日杯FSの登録馬を見る限り、本馬は通用してしまう可能性がある。しかしデビュー2戦目でいきなり朝日杯FSのような緩みないペースで激走すると、成長の芽を摘んでしまうことになりやすい。
かつてデビュー2戦目で朝日杯FSを勝利したリオンディーズは、とても高い潜在能力を秘めた馬だった。しかし結局、故障がちになり大成しきれなかった。本馬は朝日杯FS出走なら凡退の方が、将来を考えた場合は良いかもしれない。
11月26日(土) 東京9R 優勝馬 コンティノアール 指数-16(ダート) 評価B
カトレアSはJRA2歳唯一のダートオープン競走で、ダート馬にとっては貴重な一戦。一昨年はデビュー2戦目のレモンポップが古馬3勝クラス勝ちレベルの指数で勝利し驚かされた。昨年の勝ち馬コンシリエーレは平凡な指数での勝利ではあったが、その後は海外でも活躍、復帰初戦となった2勝クラス・アプローズ賞では3勝クラス勝ちレベルの指数を記録し、今後のダート路線での活躍が大いに期待できる存在となっている。
このレースを勝てば、将来的にダートでの活躍がかなり期待できる。今年も良い内容で新馬勝ちした馬が多数出走してきた。結果は前走もちの木賞で2着と着実に上昇してきたコンティノワールが勝利。記録した指数は古馬2勝クラス上位入線レベル。期待されたほど高い指数ではなかった。
昨年のこの時期は2歳ダートで優秀な指数を記録する馬が続出し、超ハイレベル世代になるのではと推測された。やはりと言うか今年のチャンピオンズCで3歳馬クラウンプライド、ハピが活躍。この2頭も世代トップとは言い切れない存在で、今年の3歳世代の層の厚さを感じさせる。
ところが今年の2歳ダート路線は前年と比較すると現時点では低調。しかしこういった年は3歳になって芝からダートに路線転向した馬が一気に上昇することが多い。よって最終的にはそれなりのレベルにはなると推測する。現段階で芝を走っている隠れたダート馬探しも面白そうだ。
11月27日(日) 東京4R 優勝馬 レヴォルタード 指数-9 評価AA
10月東京のタイセイクラージュが好指数勝ちした新馬戦で2着だったレヴォルタード。タイセイクラージュは新馬戦の疲れが残り、その後は伸び悩みとなっているだけに、本馬が2戦目でどう変わるか注目の一戦だった。
レースは2番枠から五分のスタートを切り、枠の優位性を生かして2番手を追走。しかし、引っ掛かってややチグハグな走り。前を行く馬を壁にして何とか折り合っている場面があったが、ペースが上がると折り合いもついた。最後の直線序盤で逃げ馬に並びかけ、ラスト2F標識過ぎで前を交わして悠々と先頭に立つと、2着馬に3馬身差をつけてゴールした。
記録した指数は1クラス上で通用するもの。ラスト2Fも12秒1-12秒0と減速していない点も評価できる。まだ能力を出し切った走りではないだけに、今後の上昇が期待できそう。使われながら重賞で穴を開けるタイプになりそうな気配を感じる。
11月27日(日) 東京6R 優勝馬 タスティエーラ 指数-5 評価AA
12番枠から五分のスタートを切り、押して押して逃げ馬の外2番手で流れに乗ったタスティエーラ。終始前進気勢を見せながらの走りで、プレッシャーをかけられた逃げ馬は苦しかったことだろう。最後の直線までほぼ隊列は変わらず、ラスト2Fで先頭に立つと、そこからムーア騎手ならではの追いっぷりで最後までしっかりと伸びた。結果は2着に3馬身半差をつけての圧勝だった。
ラスト2Fは11秒1-11秒2とほぼ減速せず。走破タイムは1分47秒2とそれなりに良いタイムで走りながら、好位から最後までほぼ減速しなかったことはとても高く評価できる。騎手が走らせ過ぎたような気がしないでもないが、高い潜在能力を秘めていることは間違いないだろう。かなりの活躍が期待できる馬だ。
11月26日(土) 阪神4R 優勝馬 オーサムリザルト 指数-9(ダート) 評価B
7番枠から好発を決め、好位直後の中目を追走したオーサムリザルト。しかし、このレースは向正面から捲る馬が出たためペースがやや上がり、弱い馬が少しずつ脱落していく流れとなった。そんな中を本馬は少しずつ位置を上げ、3角では好位馬群の内付近。3~4角でさらに位置を押し上げ、4角では2列目の内にいたが、直線で外に出されるとじわじわ伸び、前を捕らえて快勝した。
2着に2馬身半差、3着には9馬身以上の差。それなりに流れたレースだったわりにはラスト2Fが12秒1-12秒3と大きく減速していない。本馬が記録した指数は新馬戦としてはなかなか優秀なもの。それなりに強くなりだ。
11月26日(土) 阪神11R 優勝馬 グリューネグリーン 指数-13 評価A
10月東京のミッキーカプチーノが勝利した新馬戦では3着も、次走未勝利戦を1クラス上の指数で勝利していたグリューネグリーン。前走は2番手からの競馬で確かに強く、好指数勝ちだった。しかし、前が引っ張る流れで能力を出し切ったのではないかという懸念もあり、今回は半信半疑なところもあった。
レースは7番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚の速さで逃げる形。弱い馬なら目標にされて、「はい、お終い」という厳しい競馬を選択した。ところが最後の直線に入っても逃げ脚は衰えず、負かしに来た馬を失速させての逃げ切り勝ち。これは強かった。
記録した指数は今年の2歳重賞の多くと同等なもの。特筆すべきレベルではないが、今回は指数以上に強さを感じた。今後の重賞戦線でも人気にはならなくても、強さを何度か見せてくれそう。馬券的に相性が良くなりたい馬だ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)レイベリングの指数「-6」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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