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【2歳馬ジャッジ】タッチウッドが稍重を逃げてラスト2F11秒0-11秒2で圧勝 GⅠ通用まで上昇するか楽しみな一頭

2022/11/28 17:00
山崎エリカ
11月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

11月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は稍重馬場を逃げてラスト2F11秒0秒-11秒2を記録したタッチウッド、芝を好内容で勝利したバグラダスなどが出た、11月19、20日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

11月19日(土) 東京2R 優勝馬 スキルヴィング 指数-6 評価A
新馬戦は9番枠からやや出遅れ。中団まで挽回して終始外々から勝ちにいくロスのある競馬、そこから最後の直線は早めに動いてラスト1Fで先頭に立ったところを差されて2着だった。負けて強しの内容だったことから、次走は有力と見ていた。

今回はデビュー2戦目、スタートは前走以上に悪く、7番枠から出遅れて後方馬群の中目からの競馬となった。結果的に無理に前に行かなかったことで、力をためて最後の直線に向かうことができた。直線序盤は前が壁だったが、進路を見つけゴーサインを出されると素晴らしい伸び。一気に突き抜けて3馬身差の勝利だった。

評価できるのはラスト2F11秒7-11秒2のキレ。今回は脚をタメたことで力を出せたが、秘めた瞬発力はかなりのものがありそうだ。このあと中山で勝ちにいく競馬となるとすんなりと結果は出ないかもしれないが、瞬発力を生かせる舞台、距離でいずれ上昇していくだろう。

11月19日(土) 東京4R 優勝馬 グレートサンドシー 指数-10(ダート) 評価B
トップスタートを切ったホロニックパスがダッシュ良く逃げ態勢だったが、内から減量騎手騎乗の馬がハナを主張すると2番手に。それを前に見ながら3番手を追走する形となったのがグレートサンドシー。最後の直線でホロニックパスが逃げ馬を交わして先頭に立つと、本馬は外から並びかけていった。

そこからは2頭のマッチレース。激しい追い比べとなったが、最後は追うものの強みが出てグレートサンドシーがわずかに競り勝った。上位2頭が3着以下に9馬身以上の差をつけてゴール。古馬1勝クラス通用レベルの指数を新馬戦で記録した。ラスト2Fは11秒6-12秒5。さすがに余裕を残せなかったようだが、今回の上位2頭は好指数だったことは確か。勝ったり負けたりしながら上を目指す馬になりそうだ。

11月19日(土) 東京5R 優勝馬 モズメイメイ 指数-3 評価A
牝馬限定の新馬戦。3番枠から五分のスタートだったが二の脚が速く、前にスペースを作って好位の最内を追走したモズメイメイ。3~4角で前のスペースを詰め直線序盤では逃げ馬の直後。外から上がってきたヒラトミッチーに蓋をされたため進路がなくなったが、位置を下げて外に持ち出すと鋭い脚で差し切った。

ラスト2Fは10秒9-11秒1と減速度も少なくなかなか良い数字だ。これが2歳6月時点あたりの新馬戦での数字ならばかなりの高評価だったが、11月の新馬戦だけに割引が必要。それでも本馬はキビキビした良いフットワークをしており、今後なかなか楽しめそうだ。

11月19日(土) 東京6R 優勝馬 バグラダス 指数-12 評価A
福島ダ1150mの新馬戦を勝利し、次走は新潟2歳Sに出走。芝と距離延長に対応し、4着と驚きの走りを見せたバグラダス。今回はデビュー3戦目の芝2戦目となった。ここまでの2戦は逃げての好走だったが、距離が短くなる今回はすんなりと逃げられそうもなく、そこが試金石だった。

レースは新馬戦を逃げ切り勝ちした快速馬トレンディスターが逃げ、同馬は7番枠からまずまずのスタートを切り道中4番手。レースは緩みないペースで流れたこともあり、折り合いもついて、最後の直線ではしっかりと脚を伸ばして快勝。差す競馬にもあっさりと対応して見せた。

今回で記録した指数は、先に行われた京王杯2歳Sと同等となる優秀で、新潟2歳Sを上回った。指数上は新潟2歳Sで先着したライバルたちをここで逆転したことになる。ダートデビューで無理をさせなかったことで、今後も伸びしろは大きそうだ。勝ち負けを繰り返しながら、オープンで活躍していく馬になるだろう。

11月19日(土) 東京11R 優勝馬 ガストリック 指数-13 評価A
新馬戦は出遅れて道中は最後方追走、直線では大外に出されて前を一気に飲み込む末脚を見せて勝利したガストリック。ラスト2Fは11秒2-11秒4となかなか優秀で、高い素質を感じさせる勝利だった。ただこのような大味な競馬は次走にすんなりとは繋がらないことも多く、今回は半信半疑のところがあった。

レースは前が想定以上に競り合ってペースを引き上げ、緩みない流れ。ガストリックは4番枠から今回も出遅れ、後方の最内と経済コースを追走。4角出口でひとつ外に出され直線でさらに外に出されると、最後までしっかりと伸びて見事に優勝。展開が向いたのは確かだが、新馬戦から内容は大幅に良化。今後も成長が期待できそうだ。

ただ今回の決着指数は先に行われた札幌2歳S、サウジアラビアRC、デイリー杯2歳Sと同等なもの。近年はかなり優秀な指数での決着が多かった東京スポーツ杯2歳Sではあるが、今年は指数上に特筆するレベルではなかった。確たる主役がまだ出現していない今年の2歳芝牡馬路線。まだまだ勢力図が変わりそうだ。

11月20日(日) 阪神4R 優勝馬 タッチウッド 指数-6 評価AA
今年のエプソムCを優勝したノースブリッジの半弟にあたるタッチウッド。今回の新馬戦では1番人気に支持された。レースは大外9番枠から五分のスタートも、じわっと逃げる形の競馬。鞍上はマーク屋のムーア騎手。抑えるつもりなら抑えられた状況だったが、ノースブリッジが逃げで活躍していたことを理解していたのかもしれない。

コントロールしながらのマイペースの逃げ。淡々としたペースを刻みながら最後の直線に向かうと、かつてエリザベス女王杯のスノーフェアリーで見せたムーア騎手の豪快な追いっぷりでグイグイと伸び、最後は完全に独走。結果は2着に6馬身、3着馬には大差をつけてゴールした。

ラスト2Fは11秒0-11秒2、稍重馬場を逃げてということを考慮すると、かなり優秀と評価できる。兄ノースブリッジは新馬戦ではまずまずの指数「-2」での勝利だったが、デビュー2戦目の葉牡丹賞ではかなり優秀な指数「-14」で圧勝した。

タッチウッドが2戦目に兄と同じような上昇度を見せるならば、いきなりGⅠ勝利レベルまで上昇することになるが、果たしてどうか。何にせよ、後々までかなり活躍してくれそうだ。

11月20日(日) 阪神5R 優勝馬 ベラジオオペラ 指数-3 評価A
3番枠から好スタートを決め先手を奪う勢いだったが、外からハナを主張するエアメテオラを行かせ、内から積極的に出してくる馬も行かせ、3番手で折り合う競馬となった本馬。3角で内の馬を交わして2番手にポジションを上げ、3~4角でエアメテオラとの差を詰める。

直線に入ると前を行く同馬を目標に追い出し、外からショウナンバシットも追ってくる。迫力のある叩き合いの末、本馬が前に出たところがゴールだった。ラスト2Fは10秒6-11秒4と減速したが、上がり3Fタイム33秒6はこの時点では稍重だったことを考慮すれば、同日古馬との比較でもなかなか優秀と評価できる。このレースの上位3頭は意外と強そう。長い目で見てなかなか楽しめる馬になりそうだ。

11月19日(土) 福島5R 優勝馬 ドットクルー 指数-2 評価B
7番枠からスタートは五分だったものの、前に行こうとしたドットクルー。しかし、鞍上はそれを抑えながら逃げ馬の外2番手を追走。この日の福島はかなりの強風だったせいか、前をいく各馬が抑えながらのレースになり、前の3頭はみな掛かって頭を持ち上げ、物見をする場面もあった。

そしてレースは3F通過が41秒1、5F通過が69秒2。滅多にお目にかかれない超絶スローペースとなり、向正面の5F地点ではサトノスヴニール、ドットクルー、アスキステソーロの3頭が雁行状態で先頭。隊列は4角までほぼ変わらず、そうなると各馬揃って余力を残したまま直線を迎えることになった。

直線では4角外から出口で先頭を狙ったアスキステソーロに抵抗して、ドットクルーも仕掛け激しい追い比べ。ラスト100m辺りではアスキステソーロが半馬身ほど前に出て、勝負がついたかのように思われたところから、本馬が盛り返して半馬差前に出てゴールイン。ラスト2Fは11秒4-11秒4。超絶スローペースだったのでそこまで過大評価はできないが、悪くはない。意外と面白い活躍をしてくれそうだ。


2022年11月3週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)タッチウッドの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.4秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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