【2歳馬ジャッジ】ソールオリエンスとレーベンスティールが一騎打ちでラスト2F連続11秒0 大舞台での再戦なるか
山崎エリカ

ⒸSPAIA
11月2週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は東京の新馬戦でラスト2F連続11.0を記録したソールオリエンス、上位クラスでも通用する指数を記録し、ダートで2連勝目を挙げたペリエールなどが出た、11月12、13日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
11月12日(土)東京5R 優勝馬 ライトクオンタム 指数-5 評価B
大外11番枠からスタートは五分だったものの、行き脚がついて逃げる形となったライトクオンタム。コントロールされたマイペースの逃げで最後の直線を向いても余裕があった。ラスト2Fのハロン棒手前で軽く追い出されると後続を引き離し、結果は2着馬に2馬身半差、3着馬には6馬身差をつけて勝利した。
走破タイムは同日2Rの未勝利戦より遅いが、道中のペースは2Rよりも緩んでおり、結果なかなかの好指数勝ちとなった。ラスト2Fは11秒1-11秒6。余裕の走りには見えたが、そこまで楽勝だったわけではなさそうだ。
新馬戦を逃げ切った馬は次走で内包した瞬発力を生かし、折り合う競馬でグンと上昇する馬と、そこまで上昇せず、逃げ、先行の方がベターな馬に分かれる。次走での走りに注目したい。
11月12日(土) 東京9R 優勝馬 ペリエール 指数-19(ダート) 評価A
8月札幌のダ1700mの新馬戦を古馬2勝クラス通用レベルの指数で勝利したペリエール。今回のメンバーでは指数1位となり、やはり1番人気に支持された。ただダート新馬戦を高指数で勝利した馬は次走で疲れが残って思わぬ凡退をすることもある。また今回は前走から距離が短くなる1400m戦。流れに乗れるかという点もあり、そこまで楽観視できる状況ではなかった。
レースは2番枠から五分のスタートを切り好位直後の内で流れに乗った。最後の直線で外に出されると、横一線の追い比べからしっかり脚を伸ばして、結果は2着に3馬身半差を付けての快勝。
今回記録した指数は前走から上昇し、古馬2勝クラス勝利レベル。今回は緩みない流れのタフなレースになったことで、上位3着までが前走の高指数順に入線している。
現2歳世代JRAダート路線の指数上の序列は、新馬戦勝ちのヤマニンウルスとプラタナス賞を勝利したトレドが横並びで1位。続く3位がペリエールの状況。昨年の2歳ダート路線はこの時期から高指数馬が続出したが、今年は現在まではやや大人しい。さて今後どうなるか。
11月13日(日) 東京3R 優勝馬 トーセンローリエ 指数-7 評価A
7月函館の新馬戦で2着、次走10月東京のトレブランシュが勝利した未勝利戦では3着馬を5馬身引き離し、1クラス上で通用レベルの指数を記録しての2着だったトーセンローリエ。今回はデビュー3戦目、指数上は今回のメンバーでは飛び抜けていた。
レースは9番枠から好発を決め先団馬群の中目。前走は折り合いに専念する競馬だったが、今回は勝ちを意識して早めに動いていった。3~4角で前との差を詰め、4角で2列目まで上がったが、4角ではウィットサンデーに外に張られる不利。しかし、それでも手応え十分に上がっていき直線へ。前を行く馬を早めに潰し、そのまま押し切った。
指数は前走比でややダウンとなったが、レース内容は大幅に良化。着実な成長を感じることができた。次走の昇級戦でも楽しみな馬と言えそうだ。
11月13日(日) 東京5R 優勝馬 ソールオリエンス 指数-5 評価AAA
今回1番人気に支持されたソールオリエンス。5番枠からやや出遅れ、スタート後に内の馬とぶつかったが、そこから上がっていき最初の2角では好位の外に付けた。
ソールオリエンスは内にいた2番人気のレーベンスティールを終始内に閉じ込めるような動きを見せ、最後の直線入口で同馬は外に出せなくなり前が壁となった。ソールオリエンスの作戦勝ちかのように見えたが、レーベンスティールは中目馬群の狭い間を割って抜け出すガッツを見せた。
そこからは上位人気2頭のマッチレース。激しい2頭の叩き合いの中で、後続は大きく離されてしまった。最後はわずかに外のソールオリエンスが前に出てゴール。結果は上位2頭で3着馬に5馬身以上の差をつけた。
驚いたのはラスト2Fの数字、11秒0-11秒0。東京芝の中距離新馬戦でついに出てしまったかという数字。いくら前半5F通過が65秒0の超絶スローペースだったとしても、ラスト1Fで減速せずに11秒0秒は超優秀な数字であることは間違いない。
ただでさえソールオリエンスはスタートでロスがあり、レーベンスティールは最後の直線でややスムーズさを欠くレースぶりであった。今回の上位2頭は来年の東京芝2400mの大舞台で、再度マッチレースを演じているかもしれない。
11月12日(土) 阪神2R 優勝馬 エンペラーワケア 指数-15(ダート) 評価A
芝の新馬戦ではマイペースの逃げから伸びきれずの5着だったエンペラーワケア。今回はデビュー2戦目、初ダート出走となった。今回も前走同様に好発を切って逃げる競馬。ムキになって逃げるのではなく、コントロールされての逃げ。4角ではハクサンパイオニア、ユメハハテシナクに並びかけられたが、直線に入って追い出されるとグングン後続を引き離して行く。結果は10馬身差の圧勝、まさにダートでの一変だった。
エンペラーワケアが今回記録した指数は、古馬2勝クラス通用レベル。芝の新馬戦では伸び切れず、デビュー2戦目の初ダートで折り合いながら逃げて圧勝したロードカナロアの仔と言えば、現在ダートのスプリント路線で大活躍中のレッドルゼルを思い出す。
レッドルゼルは初ダートの未勝利戦で逃げて大差勝ち、エンペラーワケアは10馬身差勝ち。最後の直線でレッドルゼルは余裕たっぷりだったが、エンペラーワケアはけっこう頑張って追われていた。レッドルゼルにはやや劣るかもしれないが、ダートでかなり上まで行きそうだ。
11月12日(土) 阪神3R 優勝馬 セレンディピティ 指数-8 評価B
前走グランヴィノスが勝利した新馬戦では好位でレースを進め、最後の直線で早め先頭に立つ強い内容だったが、最後にキレ負けして2着に敗れた。
今回は10番枠から立ち遅れて後方からの競馬。3角手前から外を回りながら前との差を詰め、4角では大外、直線では外からグングン伸びて4馬身差の圧勝だった。
今回で記録した指数は1クラス上でも通用可能レベルの優秀なもの。かなり長く良い脚を使っており、スタミナは豊富なようだ。今後は長い距離やスタミナを生かせる馬場での活躍が期待できそうなタイプだ。
11月13日(日) 阪神9R 優勝馬 セブンマジシャン 指数-12 評価B
エリザベス女王杯当日のかなりタフな馬場で行われた一戦を勝利したのはセブンマジシャン。同馬は前走中山芝の新馬戦を2番手から最後の直線で早め先頭と、正攻法の競馬で勝利していた。新馬戦を瞬発力まかせに勝利した馬たちが苦しむ中、8番枠から出遅れ、後方2番手から終始外々を回り、4角出口でさらに外に出されると、しぶとく伸びて勝利した。新馬戦でスタミナを生かす競馬をしていたことが今回に繋がったと言え、最後の直線の進路取りも良かった。
2着は前走ダートの未勝利戦を捲って勝利していたビューティーワン。芝のタフな馬場の消耗戦になると、前走でダートを経験していることが好結果に繋がることが多い。まさにそのパターンによる好走だった。
今回の上位2頭は条件が揃っての好走だった面が強く、指数は良くても過大評価はできない。ただ条件が揃えばこの先も激走はあるだろう。エリザベス女王杯で2着と激走したライラック、『2歳馬ジャッジ』の新馬戦時にブラックホールの半妹でスタミナ豊富と綴っていたことをレースが終わってから思い出した。
11月12日(土) 阪神11R 優勝馬 オールパルフェ 指数-13 評価A
新馬戦ではノッキングポイントに離されての2着。次走未勝利戦を好指数で勝利し、今回のデビュー3戦目は大外10番枠からまずまずのスタートを切り、行きっぷり良く先頭に立っての逃げから堂々の勝利だった。記録した指数は前に行われた札幌2歳S、サウジアラビアRCと同等なもの。今後もトップレベルの一頭として活躍していきそうだ。
2着はダノンタッチダウン。3着が2番手馬、4着が3番手馬と前が残る流れを大外から追い込んでの2着は価値が高い。新馬戦での内容は超秀逸とまでは言えないが良い内容で、2戦目の内容次第では大物の可能性があると見ていた。どうやらかなりの潜在能力の持ち主のようだ。さすが半兄にダノンザキッド、ミッキーブリランテなど活躍馬のいる良血馬。今後は目の離せない馬だろう。
今回の結果からもやはりノッキングポイントが強いことは明らか。ただ前走のサウジアラビアRCのレース内容は悪かっただけに、立て直しもそう簡単ではなさそう。それでも波に乗れば一気に上昇してくるだろう。
現2歳世代牡馬芝部門の指数トップは、野路菊S勝ちのファントムシーフ。他の重賞勝ち馬たちの指数は、それよりも劣るという異例の展開となっている。まだまだ勢力図は変わっていきそうな気配がする。
11月12日(土) 福島5R 優勝馬 ボーンイングランデ 指数-3 評価B
9番枠から五分のスタートを決め、外から前を主張してくる馬を行かせて、中団馬群の後方中目に控える競馬となったボーンイングランデ。向正面で外に出されるとスルスルと上がっていき、3角では捲りきって先頭に立ってしまった。4角を迎えてもまだ先頭、いつ失速するかと思われる無茶なレースぶりではあったが、直線に入っても脚色衰えず、結果は2着馬に2馬身半差、3着馬に5馬身差をつけて圧勝した。
驚きはこれだけ長く脚を使って、ラスト2Fは11秒9-11秒8と加速してゴールしたことだ。かなりのスタミナを持っている馬と見る。条件は選びそうだが、面白い存在となりそうだ。
11月13日(日) 福島9R 優勝馬 ビッグシーザー 指数-13 評価A
前走のデビュー3戦目となった中京未勝利戦を逃げてレコード勝ち。指数は1クラス上で通用するレベルの優秀なものを記録していたビッグシーザー。今回は1番人気に支持されていたが、福島芝はタフな差し優勢の馬場になってきており、そこまで楽観視できる状況ではなかった。
レースは4番枠からスタートを斜めに出てややバランスを崩したこともあり、前に行けずに中団中目で折り合う競馬。しかし、結果的にはこれがスタミナ温存に繋がり、4角で勢いをつけて大外に出されると、そこからグングン伸びて快勝。展開や最後の直線で通った進路が良かったこともあるが強かった。
本馬が記録した指数はデイリー杯2歳Sをはじめとする今年の2歳重賞と同等なもの。福島2歳Sの指数としてはかなり優秀なものとなった。逃げ、差し自在なタイプであることが分かったことも大きい。勝ち負けを繰り返しながら、重賞戦線でも楽しめる馬になるだろう。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ソールオリエンスの指数「-5」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.5秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
《関連記事》
・【2歳馬ジャッジ】上がり3Fタイム31秒4を記録したリバティアイランドを高評価 次走どこまで弾けるか楽しみな逸材
・【2歳馬ジャッジ】ドゥーラが現2歳世代芝部門の最高指数を記録 モリアーナの強さも再認識
・【2歳馬ジャッジ】評判馬フェイトが5馬身差圧勝で好指数マーク OP勝ちミシシッピテソーロ、重賞戦線で期待
おすすめ記事