緒方きしん

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4頭の外国馬が参戦するジャパンC
マイルCSは3歳馬のセリフォスが勝利。天皇賞(秋)のイクイノックスに続き、3歳世代の快進撃が続いている。
今週のジャパンCにも、3歳世代から天皇賞(秋)3着ダノンベルーガのほか、海外勢のオネストやシムカミルなどが集結した。シャフリヤールやヴェラアズールら古馬勢がこれを迎え撃つ構図で、盛り上がる一戦となりそうだ。また、4頭の外国馬が出走を予定しており、レース展開などにも注目が集まる。
過去にはウオッカやブエナビスタ、テイエムオペラオーやスペシャルウィークなどが制したレースで、外国馬もシングスピールやピルサドスキー、ホーリックスやペイザバトラーなど多種多様な馬が勝利を挙げてきた。今回は、そんなジャパンCの歴史を振り返る。
堅い決着続く
ここ5年で1番人気馬は3勝。2017年にキタサンブラックが3着、2019年にレイデオロが11着に敗れたが、アーモンドアイとコントレイルの2頭の三冠馬が1番人気で勝利をあげている。
昨年は1番人気のコントレイルが優勝、2着には3番人気オーソリティ、3着には2番人気シャフリヤールという平穏決着となった。さらに2020年も1着が1番人気アーモンドアイ、続く2着は2番人気コントレイル、3着は3番人気デアリングタクトと、非常に手堅い決着となっている。
ここ5年間で馬券圏内に入った馬のうち、最も人気薄だったのは5番人気。2017年覇者シュヴァルグランと2019年2着カレンブーケドールである。直近の馬連万馬券は2015年、4番人気ショウナンパンドラと7番人気ラストインパクトの101.6倍。二桁人気馬が馬券圏内にきたのは2013年3着のトーセンジョーダン(11番人気)まで遡る。
外国馬のワンツーとなった2002年ジャパンC
ジャパンCで最後に勝利をあげた外国馬は、2005年のアルカセット。最後に外国馬のワンツーとなったのは、ファルブラヴとサラファンで決着した2002年である。
2002年のジャパンCは7頭の外国馬が来日。3歳牝馬ブライトスカイや4歳牡馬ゴーランなどが外国馬の中では人気を集めた。凱旋門賞9着からの挑戦となったファルブラヴは、ミラノ大賞典1着などの実績を持ちながらも9番人気。前走の米GⅢで4着に敗れていたサラファンも、GⅠ実績がありながら11番人気と低評価だった。
絶対的な1番人気に推されたのは、3歳馬シンボリクリスエス。ダービーは2着に敗れたが、秋初戦・神戸新聞杯を制すると、続く天皇賞(秋)ではナリタトップロードら一線級の古馬を相手に勝利を挙げた。鞍上には世界的名手ペリエを迎え、必勝態勢を整えていた。
レースが始まると、それまでシンボリクリスエスとコンビを組んできた岡部幸雄騎手が手綱を握るマグナーテンが牽引する展開。シンボリクリスエスは道中、ポジションを入れ替えながら好位で競馬をしていた。対してファルブラヴはその少し前にポジションを取り、早めに仕掛けると、そのまま押し切った。シンボリクリスエスは上がり3番手の末脚を使うも、上位2頭には及ばず3着までだった。
ファルブラヴは引退後、日本で種牡馬として活躍。ワンカラットやアイムユアーズ、フォーエバーマークといった活躍馬を輩出した。さらに母父としてもハープスターやステルヴィオといったGⅠ馬を輩出している。
2着のサラファン、4着のマグナーテンは騸馬だったため種牡馬となることはなかったが、シンボリクリスエスは名種牡馬エピファネイアを輩出し、その血を広げている。さらに5着のジャングルポケットもまたオウケンブルースリやトーセンジョーダン、トールポピーやアヴェンチュラなどを輩出する名種牡馬となった。
ジャパンCの勝ち馬が名種牡馬となることは当然ながら多く、スクリーンヒーローやスペシャルウィーク、ゼンノロブロイやキタサンブラックなどがその名を連ねる。今年の好走馬からもまた、そうした名種牡馬・名繁殖への階段をかけあがっていく馬が出るに違いない。ぜひ、未来に想いを馳せながら応援していただきたい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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