【アルゼンチン共和国杯】「Roberto」や「ノーザンテースト」など底力に長けた馬が活躍 有力馬の血統解説

坂上明大

アルゼンチン共和国杯の傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説:東京芝2500mは底力がポイント

春の目黒記念と同じく、東京芝2500mを舞台に行われるアルゼンチン共和国杯。日本ダービーやジャパンCより100m長いだけですが、好走馬の血統傾向は大きく異なります。東京芝2500mに強い血統を中心に、アルゼンチン共和国杯のレース傾向を整理していきましょう。

アルゼンチン共和国杯の年齢別成績,ⒸSPAIA



アルゼンチン共和国杯の年齢別成績(過去10年)
年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
3歳 2- 0- 2- 0/ 4 50.0% 50.0% 100.0% 182 227
4歳 5- 4- 4-24/37 13.5% 24.3% 35.1% 47 83
5歳 1- 5- 4-40/50 2.0% 12.0% 20.0% 9 54
6歳 2- 1- 0-31/34 5.9% 8.8% 8.8% 51 23
7歳以上 0- 0- 0-33/33 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

まず、紹介したいデータは年齢別の成績。データの通り若ければ若いほど好走率も回収率も高く、特に3歳馬においては過去10年で4頭出走して、2勝3着2回と馬券圏内を外したことがありません。

これは番組構成上の問題が大きく、古馬、特に5歳以上で現役トップクラスの馬は豊富な選択肢のあるGⅠに出走することが多く、その結果アルゼンチン共和国杯のメンバーレベルは低めになる傾向にあります。その反面、3~4歳馬には賞金が足りなかった素質馬も紛れているため、基本的には3~4歳の遅咲きの素質馬を狙うのがセオリーといえるでしょう。

血統面では、Robertoノーザンテーストに注目。東京芝2400mと東京芝2500mの大きな違いは、スタート直後から上り坂をこなさなければならない点。当然、長い直線で伸び負けない末脚は必須ですが、ダービーやジャパンCよりも「如何に直線までスタミナを残せるか」が末脚の伸びに繋がっている印象です。Robertoやノーザンテーストは底力に長けた血統であり、過去10年でも数多くの好走馬を輩出してきました。

アルゼンチン共和国杯の血統別成績,ⒸSPAIA



アルゼンチン共和国杯の血統別成績(過去10年/単勝オッズ19.9倍以下)
- 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
Roberto 4- 4- 3-12/23 17.4% 34.8% 47.8% 66 103
ノーザンテースト 7- 5- 3-17/32 21.9% 37.5% 46.9% 117 100

データでは単勝オッズ19.9倍以下の馬を対象としていますが、過去10年で単勝オッズ20.0倍以上で好走した3頭のうち、1頭は母父にRoberto系ブライアンズタイムを持つマコトガラハッド(2018年3着)、1頭は母がノーザンテーストを持つサンアップルトン(2020年3着)と、数少ない人気薄の好走馬にもその血を見ることができます。ちなみに、もう1頭はノヴェリスト産駒のラストドラフト(2020年2着)ですから、Robertoやノーザンテーストに限らず底力に長けた血統に注目してみるといいでしょう。

血統解説

・テーオーロイヤル
4代母Courtly Deeに遡る世界的名牝系。Northern Dancerのインブリードがきつい父リオンディーズに対して、Northern Dancerの血を1本も持たない母との組み合わせもバランスがいい血統馬です。母方に本レースと相性のいいRoberto系Kris S.を持つ点も魅力。小顔、かつスマートな体つきで如何にも長丁場が得意なタイプですから、今回もゴール板まで脚いろが鈍ることはないでしょう。

・キラーアビリティ
母キラーグレイシス(2011年ハリウッドスターレットS)は米2歳GⅠの勝ち馬。父ディープインパクトにスピードと早熟性を追加し、母方にBlushing Groomを持つことからも万能型の芝中距離馬といった印象です。3歳馬ではありますが、東京という広いコースも、芝2500mという長い距離もベストの舞台とは言えないでしょう。

・ブレークアップ
2020年2着馬ラストドラフト(6番人気)と同じノヴェリスト産駒で、母方には本レースと相性のいいRobertoの血を持つ血統。さらに、母母ベストタッセルドがNureyev≒Tate Galleryの4×2という欧州の主流血脈を色濃く持ち、底力という点においては今回のメンバーでも上位の一頭です。力をつけてきている4歳馬でもあり、斤量面においてもアドバンテージは非常に大きいでしょう。注目の穴馬です。

2022年アルゼンチン共和国杯の傾向と血統,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。



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