【2歳馬ジャッジ】初の逃げ切りを決めたチャンスザローゼスは指数以上の強さ バリアントバイオなどは大器の相あり

山崎エリカ

10月4週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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10月4週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は指数以上の強さでアイビーSを勝利したチャンスザローゼス、ラスト1Fで1秒以上の加速を見せたバリアントバイオなどが出た、10月22、23日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

10月22日(土) 東京3R 優勝馬 サスツルギ 指数ー2 評価B
新馬戦は出遅れて後方待機、最後の直線は良い脚で追い込んだのの4着だったが、最速の上がり3Fタイムを記録と、能力の片鱗は見せていたサスツルギ。今回はデビュー2戦目、断然の1番人気に支持された。 今レースは8番枠からまた出遅れ最後方。序盤は後方で待機していたが、向上面では外から徐々に位置を上げ、3角では中団の外。3~4角でも外を回り、直線でさらに外に出されると、そこから一気に伸びるという感じではなく、ジワジワだったが最後は差し切った。

今回は勝利したものの指数は平凡な部類。ただ直線だけの競馬だった新馬戦と比較すると勝ちを意識した競馬はできており、レース内容に進化を感じた。また2戦連続で最速の上がり3Fタイムを記録と、能力のあるところは見せた。またデビューから2戦とも出遅れており、まだ能力を出し切った感がないだけに、次走以降でスタートを決めた時に、能力が判断できそうだ。

10月22日(土) 東京4R 優勝馬 トレブランシュ 指数ー9 評価A
新馬戦は中山芝1600mで不利な15番枠から逃げる競馬で2着だったトレブランシュ。勝ち馬のダノンゴーイチには2馬身半も引き離されたが、3着馬には5馬身差をつけており、負けて強しの競馬だった。

今回はデビュー2戦目で6番枠と枠が前回よりも良かったため、トップスタート&好ダッシュを決め、うまく息を入れながらの逃げができた。最後の直線でも脚色は衰えず、独走態勢。最後は2着のトーセンローリエが良い脚で追い込んできたが、そのまま押し切って勝利した。

3、4着馬には6馬身1/4差をつけており、記録した指数は1クラス上のもの。新馬戦よりもスムーズに逃げられたことが良かったのだろうが、強かった。次走以降も同様の走りができるとは言えないが、すでに1勝クラスは通過できる指数を記録しているだけに、いずれオープン入りするだろう。また今回2着だったトーセンローリエもかなりの好指数を記録。未勝利突破は時間の問題で、その後の活躍も期待できそうだ。

10月22日(土) 東京9R 優勝馬 チャンスザローゼス 指数ー12 評価AA
6月阪神の新馬戦ではカルロヴェローチェの2着、次走の中京未勝利戦では大外8番枠から五分のスタートを切ったが、後方で脚をため、最後の直線で外から一気に突き抜けて好指数勝ちを決めたチャンスザローゼス。今回はデビュー3戦目、断然の1番人気に支持された。

前走はしっかり脚をためることができたため、直線ではよく伸びた。しかし、今回は2番枠に入っての上位人気、積極的に出して勝ちを意識する競馬をせざるを得ないところ。これはやや苦しい戦いになるかもと見ていた。

レースは今回も五分のスタートだったが、行きっぷりが良く抑えきれずに先頭に立ってしまう。戦前に懸念していたとおりの展開になり、これは厳しい戦いに。最後の直線ではいつ失速するのかと見ていたが、脚色は一向に衰えない。結局、2番手から本馬を目標に追い上げたシャンドゥレールの方が苦しくなって2着。逃げ切り勝ちを決めた。

記録した指数は今年の新潟2歳Sを上回り、札幌2歳S、サウジアラビアRCよりやや劣るという数字。自らレースを作って苦しい形になりながら記録した指数で、かなり高く評価できる。かなりのスタミナを秘めていそうだ。次走折り合う競馬でもう一段階上がるか、それとも逃げることが好走条件の馬なのか。どちらにしても今後の成長曲線がかなり楽しみな一頭だ。

10月23日(日) 東京2R 優勝馬 クルゼイロドスル 指数ー8 評価A
前走の新馬戦はリバティアイランドが豪快に伸びた一戦で2着だったクルゼイロドスル。レースは2番手外から最後の直線で先頭に立ち、勝ちにいく競馬での2着と強い内容だった。

今回はデビュー2戦目、大外15番枠から出遅れ、必然的に待機策の競馬となった。潜在能力が低い馬なら敗退のパターンでもある。しかし、本馬は3~4角で外を回りながら直線で伸びる。ひとつ前の位置からアサクサヴィーナスが動いたところで本馬も動き、2頭の一騎打ちになったが、それを1馬身1/4差で制した。

指数は1クラス上でも通用可レベルの優秀なものを記録。今後の活躍が期待できる。またこのレースの2着馬アサクサヴィーナスも優秀な指数を記録しており、近いうちに未勝利は突破して上を目指す馬になりそうだ。

10月22日(土) 阪神2R 優勝馬 ルーフ 指数ー8 評価B
新馬戦はスタートで外にヨレてバランスを崩してしまう不利がありながら、よく追い込んで3着。次走の未勝利戦は好発を切って一旦先頭に立ったところで、外から競られて緩みない流れを先行、勝ちにいく競馬で結果3着も好指数を記録した。ルーフはここまでの2戦は着順以上の好内容が続いていた。

今回は3番枠からトップスタートを決め、ダッシュ良く逃げる競馬。ペースを落としての逃げに持ち込んだ時点で勝負あり。最後の直線は後続を突き放して独走、4馬身差で勝利した。指数も1クラス上でも通用レベルものを記録。今回はうまくいった面が多く、そこまで過大評価はできない。しかし、デビュー3戦目で好指数を記録したことは確か。上のクラスで戦う馬になっていくだろう。

10月22日(土) 阪神3R 優勝馬 バリアントバイオ 指数ー8(ダート) 評価A
1番枠から出遅れ、行き脚も付かず後方からのレースとなったバリアントバイオ。それでも鞍上は慌てる感じがなく、道中は中団最内の後ろを淡々と走っていた。そして3角過ぎから徐々に気合いを入れて追走、しかし、前との差は詰まらない。4角出口で中目に出され、直線でさらに外に出されたが、序盤は勝つような脚勢には見えなかった。しかし、残り1Fからグングン伸びて一気に8馬身差をつけてゴールイン。

あまりにも一気に後続を突き放したので、相手が弱く脚が上がったようにも見えたが、ラスト2Fの数字は13秒3-12秒2秒。本馬が強すぎたのだ。ラスト1Fで1秒以上も加速することは珍しく、素晴らしい瞬発力の持ち主である。道中は口向きの悪さを見せていたが、これはひょっとすると大器かもしれない。

10月22日(土) 阪神5R 優勝馬 シングザットソング 指数ー3 評価A
9番枠からやや出遅れたこともあり、一列下げて中団後方の中目で折り合う競馬となったシングザットソング。芝のマイル戦としてはかなりゆったりしたペースで流れた。そうなると最後の直線は瞬発力勝負。上位入線馬は全て回転の速いスピード感のある走りをしていたが、内から伸びたセーヌドゥレーヴをわずかに抑えて本馬が勝利した。

ラスト2Fは11秒0-11秒0と素晴らしい数字。これで上位入線馬たちは大きな差がつかずゴールしていることから、このレースの上位馬たちはみな素質が高い馬たちなのだろう。今後の活躍が期待できる馬たちだ。

10月23日(日) 阪神5R 優勝馬 ドクタードリトル 指数ー3 評価A
7番枠から五分のスタートを切ったが、そこから抑えて道中は中団後方の最内を追走したドクタードリトル。ところが4角では進路がなく、最後方まで位置が下がってしまう。直線で前を行く馬は多数、ほぼ絶望的な状況だったが、内回りとの合流地点でポッカリと開いた内をスルスルと抜け前との差を詰めると、ラスト1Fから素晴らしいフットワークで抜け出し勝利した。

ラスト2Fは10秒9-11秒3とマズマズだが、最後に見せた大きなフットワークには非凡なものを感じた。なかなか出世しそうな一頭だ。

10月22日(土) 新潟5R 優勝馬 フォルテース ー8 評価B
ダートでデビューし3着、次走もダートで9着。その後は芝に転じて逃げるスピードを見せて2戦連続3着と好成績を残していたフォルテース。今回はデビュー5戦目、芝は3戦目で直線競馬に出走してきた。

新潟直線1000mで内枠の5番枠は有利とは言えなかったが、素晴らしい加速力で一気に外ラチ沿いに進路を変えて逃げる競馬。そのままスピードで圧倒し、6馬身差の圧勝。走破タイム55秒6は古馬と比較しても優秀。指数は1クラス上で通用するものを記録した。

本馬は芝に路線転向してからのスピードは素晴らしいものがある、ただ新潟直線1000mで2歳時に好指数を記録した馬たちは折り合いに課題を残すこともあり、期待ほど伸びない傾向がある。本馬には前例を覆す活躍を期待したい。

2022年10月4週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)チャンスザローゼスの指数「-12」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.2秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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