【スワンS】“千四の鬼”ダイアトニックら距離巧者が上位独占 次走注目マテンロウオリオン、ホウオウアマゾン

SPAIA編集部

2022年スワンSのレース結果,ⒸSPAIA

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1400m適性と勝負度が決め手に

スワンステークスはマイルCSの前哨戦でありながら、同時にこのレース自体が1着賞金5900万円のGⅡ競走。中長距離馬と違い、短距離馬はたった200mでも距離が変わることに敏感だ。「1400mはいいが、1600mは長い」というタイプにとってはここと12月の阪神カップが大一番。そういう層と、あくまで前哨戦と割り切って出走する層が混ざるスワンS。今年もまさにそんな色が見られる決着だった。

勝ったのは7歳牡馬のダイアトニック。これで1400m戦は通算【7-2-0-0】となった。スプリンターズS4着が示すように1200mが全くダメというわけではないが、やはりベストはこの距離だ。まして今回は内目の好枠。絶好の条件、めぐってきたチャンスを確実にモノにする走りにはベテランの貫録すら感じる。

ちなみに、1986年以降のJRAで1400m戦を7勝以上した馬はダイアトニックで6頭目。最多はダートで活躍している現役の8歳馬スマートダンディー(9勝)だが、芝に関してはダイアトニックが単独最多となった。また、スワンSを7歳以上の馬が勝利するのは、06年プリサイスマシーン以来で16年ぶり2度目(同じく86年以降)。高齢馬苦戦のレース傾向を、史上最高レベルの距離適性で乗り越えたという見方もできる。

2着、3着のララクリスティーヌ、ルプリュフォールも1400m巧者。新潟芝1400m・朱鷺Sの2着、1着馬だ。4着トゥラヴェスーラも、過去2回重賞で走った1400mはどちらも2着。ここまでキレイに適性が出るのも面白い。上位4頭が次走以降どういった道を歩むのかは分からないが、いずれもマイルCSより阪神カップでこそ狙いたい。実際、スワンSの4着以内馬が続くマイルCSで勝ったのは1997年のタイキシャトルが最後。この200mの適性の差は強く意識する必要がある。

次走注目のマテンロウオリオン

上位4頭の顔ぶれから逆説的に考えると、次走以降で見直したいのはこの距離への適性が低かった、ないし次走以降を見据えてのレースぶりや臨戦過程だった、という馬たち。最後に何頭かピックアップしていく。

7着マテンロウオリオンは最後方から運び、4角は大外まで持ち出して上がり最速で追い込んだ。シンザン記念のレース後に引っかかる面について言及したあとは、追い込むレースを教え込んできた横山典弘騎手。この敗戦も次へ向けた布石と割り切っていい。阪神の内回りであれだけ外を回されては届かないのも仕方なく、能力面にケチがつくものではない。外回りのマイルCSなら面白い。

9着ヴァトレニは1200mがベターの印象。ハナを切っての600m通過34.1秒自体も速いが、その次区間11.1で800m通過45.2秒はかなり厳しいペース。その後も緩めるどころか4角出口で早めに仕掛け、一旦は後続を2馬身ほど離す場面も作った。このスピードがあるなら、距離短縮で重賞を勝つ日は遠くないだろう。

10着ホウオウアマゾンは出遅れが痛かった。形の上では3番手だが、出遅れからハイペースの好位に取りつくのではエネルギーのロスが大きい。出負けした際に促して位置を挽回するのはクリスチャン・デムーロ騎手の騎乗ではよく見る場面だが、今回に関しては裏目だった。

18着スカイグルーヴは8枠17番から終始大外を回され、全く勝負にならず。上位入線馬のほとんどが道中内から2頭目あたりまでにいたことを考えれば、進路取りのロスが大きすぎた。折り合いに難しさがあり、外枠から主張して前め、内めに入れる、といった戦法はとりにくい面もあるのだろうが、それにしても枠なりになってしまった。人気が落ちるようなら次走で狙ってみたい。

2022年スワンSのレース展開,ⒸSPAIA




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