【みやこS】コース傾向を徹底分析  好走ゾーンに一致するハピ、不安あるオメガパフューム

勝木淳

みやこSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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アタマ候補は6番人気以内、1、8枠は不利

みやこSは2010年オープン特別だったトパーズSを重賞に格上げし、誕生した。これは09年にジャパンCダート(現チャンピオンズC)が東京から阪神に移設されたのを機に同じ関西圏のステップレースを設置する目的があった。この新設によって、JRA重賞でひらがな表記は2レースに増えた(1例目はきさらぎ賞)。

13年までの阪神ジャパンCダート時代の前走みやこSは4年間で【2-1-2-16】。これに対し、中京に移り、チャンピオンズCと改称して以降8年間では【0-2-3-25】とやや数字が落ちる。GⅠの前哨戦というより、賞金加算と出走権をかけた戦いといった意味合いが増した。しかし、阪神施行だった昨年はみやこS3着アナザートゥルースが本番14番人気3着と大穴をあけた。今年も引き続き阪神が舞台。急坂経験が本番につながる可能性は頭に入れておきたい。ここでは2012年以降、古馬オープン・重賞の阪神ダート1800m24レースのデータをもとにコース傾向から好走候補を探っていく。


過去10年同条件人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気の傾向から。1番人気は【9-6-2-7】勝率37.5%、複勝率70.8%で強力。24レースで馬券圏外は7頭で3割以下。7割以上は3着以内なので、連軸は1番人気という作戦もこの条件ならありか。23勝は6番人気以内でアタマから大荒れは想定しにくい。穴の定番6番人気も【4-3-2-15】勝率16.7%、複勝率37.5%と好成績なので、中穴想定までは許容できる。


過去10年同条件枠別成績,ⒸSPAIA


阪神ダート1800mはスタートから1コーナーまで約300m、かつ最初のコーナーは角度が急なので、先陣争いで枠の差が出やすい。8枠は【0-3-0-45】複勝率6.3%とかなり悪く、1枠も【1-1-4-40】勝率2.2%、複勝率13.0%と振るわない。大外枠は位置がとれず、最内枠は外から進入されて、揉まれる可能性を頭に入れておきたい。


過去10年同条件上がり3ハロン別成績,ⒸSPAIA


ダート中距離戦といえど、やはり決め手は大事。上がり最速【10-7-3-8】勝率35.7%、複勝率71.4%、2位【10-4-5-11】勝率33.3%、複勝率63.3%が好成績。最後に急坂があっても伸び続ける脚力の有無は見定めたい。3位になると【2-1-2-18】勝率8.7%、複勝率21.7%と確率は下がるので、ポイントの一つになる。


前走1700m組に注目

ここからは前走成績、特に距離に焦点をあて、今年の出走予定馬のなかから阪神ダート1800mで好走できそうな馬を掘り起こしていく。


過去10年同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


その前走距離について。母数の問題はあるが、前走1800mは【7-10-13-134】勝率4.3%、複勝率18.3%。確率が低いのはそれこそ母数が多いからだが、数字の並びが気になる。勝ちきれず、かつ2着より3着が多い。WIN5や単勝、馬単、3連単を買う場合、ここに注意を払いたい。勝率では1800m未満の今回延長が【7-4-4-63】勝率9.0%、複勝率19.2%、逆の短縮は【10-10-7-104】勝率7.6%、複勝率20.6%。それぞれ分析したい。

延長のうち、好成績は前走1700m【3-3-2-22】勝率10.0%、複勝率26.7%。3着以内だと【2-2-0-2】勝率33.3%、複勝率66.7%だが、4着以下は【1-1-2-20】勝率4.2%、複勝率16.7%。今年はエルムSから4着ブラッティーキッド、6着ヒストリーメイカー、8着アイオライトなどが登録しているが、一枚割り引きたい。

短縮は前走1900m【6-3-3-18】勝率20.0%、複勝率40.0%と前走2000m【3-1-0-45】勝率6.1%、複勝率8.2%に注目。まずは1900mについて。ここは4着以内【6-3-2-8】勝率31.6%、複勝率57.9%、5着以下【0-0-1-9】複勝率10.0%とさらに極端。シリウスS2着ハピが好走ゾーンに入る。

2000mはもっとシビアで、1着【3-1-0-5】勝率33.3%、複勝率44.4%、2着以下【0-0-0-40】。1着組はほぼ阪神ダート2000mで【2-1-0-4】勝率28.6%、複勝率42.9%であり、前走大井2000m1着は【1-0-0-0】。22年アンタレスSでオメガパフュームが連勝した。そのオメガパフュームは今回、前走帝王賞3着。このデータを乗り越えられるか。


過去10年同条件前走ダ1800m組競馬場別成績,ⒸSPAIA


最後に2、3着が多い前走ダート1800mについて。ここは競馬場別成績をみる。中京【2-1-4-12】勝率10.5%、複勝率36.8%、阪神【1-4-0-15】勝率5.0%、複勝率25.0%と関西圏の成績がいい。中山は【1-4-7-75】勝率1.1%、複勝率13.8%で、1800m組は2、3着が多いという傾向は前走中山組が影響したものだ。ラジオ日本賞2着ウィリアムバローズの馬券上の取り扱いには注意したい。また新潟は【0-0-1-6】複勝率14.3%。該当するレパードS2着タイセイドレフォンは上位人気候補だけに慎重に考えたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。


みやこSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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