【天皇賞(秋)】金鯱賞快勝の左回り適性が決め手 東大HCの本命はジャックドール

東大ホースメンクラブ

天皇賞(秋)、1000m通過60秒未満時のデータ,ⒸSPAIA

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秋古馬三冠開幕戦

今週は東京芝2000mを舞台に、秋古馬三冠開幕戦・GⅠ天皇賞(秋)が行われる。春二冠連続2着の悔しさを秋の府中で晴らしたいイクイノックス、ダービー1番人気の素質馬ダノンベルーガ、皐月賞馬ジオグリフの3歳三強を、ドバイを席巻したパンサラッサとシャフリヤール、控える競馬で札幌記念を勝ったジャックドールの古馬勢が迎え撃つ。

昨年は短距離女王グランアレグリア、中長距離GⅠ馬コントレイル、エフフォーリアが参戦するなど、現代競馬において最も層の厚い2000mが舞台とあって例年豪華メンバーとなる一戦。素晴らしい顔ぶれがそろった今年も熱戦に期待したい。我々もいよいよ盛り上がる秋GⅠシリーズを的中で飾るべく、過去のデータを参考に馬券戦略を検討していく。

締まったペースに対応できるのは?

前半5F60秒未満・天皇賞(秋)条件別成績,ⒸSPAIA


<前半5F60秒未満・天皇賞(秋)条件別成績>
同年左回り中央重賞勝ち【4-4-5-28】勝率9.8%/連対率19.5%/複勝率31.7%
ダービー馬【4-0-3-4】勝率36.4%/連対率36.4%/複勝率63.6%
3歳馬【0-2-2-10】勝率0.0%/連対率14.3%/複勝率28.6%
牝馬【3-2-2-6】勝率23.1%/連対率38.5%/複勝率53.8%
※現コースとなった2003年以降

今年のレースのカギを握るのがパンサラッサの存在。逃げのスタイルを確立した昨年のオクトーバーS以降一度もハナを譲らず、いずれも1000m通過60秒を切るペースでレースを組み立てている。出があまり速くなかった前走も二の脚でカバーできており、今回も先頭に立つレース運びになりそうだ。そこで、天皇賞(秋)が前半5F60秒未満だった11レース(現コースでの施行となった2003年以降)についてデータを確認していく。

まず、同年の左回り重賞(※地方、海外除く)勝ち馬から、好走馬が多く出ている。目下の充実度と左回り適性が、厳しい展開になると重要度を増すようだ。特に左回りのGⅠかGⅡを着差0秒3以上で勝っていた馬なら【1-2-2-1】。金鯱賞でこれをクリアしたジャックドールが浮上する。また、3歳限定の左回り重賞勝ち馬は【0-2-2-1】複勝率80.0%で、未勝利だが好走率は高い。こちらの該当馬はダノンベルーガ1頭となる。

適性面という観点からは同じ東京の日本ダービーを制した実績も大きな意味を持つ。複勝率6割超えはさすがの数字で、さらに同年重賞勝ちがあると【3-0-3-0】。シャフリヤールは今年のドバイSCを制しており、大崩れはなさそうだ。ちなみに皐月賞馬は【2-0-0-6】。2006年のダイワメジャーと2007年のメイショウサムソンが制している。

注目点のひとつ、3歳馬は14頭が出走して2着が最高着順。好走馬の内訳は札幌記念で古馬に完勝していたアドマイヤムーン、東京コースの実績があったディープスカイ、ペルーサ、フェノーメノとなっている。前述のダノンベルーガに加え、イクイノックスについても評価は下げない方が良いだろう。

複勝率5割を超える牝馬だが、ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイといったそうそうたる名馬が数字を引き上げていることは留意したい。今年チャンスがありそうなのはマリアエレーナ。前走の小倉記念は1分57秒4の好時計、2着馬に0秒8差をつけた内容はGⅢのレベルを大きく上回っている。偉大な先輩と同等の走りを期待するのは酷かもしれないが、ロスの少ない1枠1番、穴馬として一考の余地がありそうだ。

絶好の舞台で秋の盾を勝ち取る

◎ジャックドール
後半5F57秒2という破格のラップを刻んだ浜名湖特別からGⅠ級の脚力を披露し、重賞初挑戦となった金鯱賞ではGⅠ馬レイパパレとアカイイトを相手にしない楽勝。大阪杯は5着に敗れたものの、中2週のローテーション、2ハロン目に10秒3とスプリント級の厳しいラップ、しまいには落鉄と、大敗でもおかしくない不利が重なっての結果で度外視可能だ。同型パンサラッサとの主導権争いは前走の札幌記念で一つの答えを出しており、番手に控える競馬という引き出しを得たのも好感が持てる。ここまでキャリア11戦全てが2000m戦、昨秋の1勝クラス戦からの5連勝は全て左回りと、明確に秋の盾を最大目標としたローテーションを組んできた。ついにたどり着いた最高の舞台で、強力なライバルたちを従えて先頭でゴール板を駆け抜けてほしい。

◯シャフリヤール
昨年のダービー馬。左回りの中長距離路線では現役トップクラスの実力の持ち主で、日本馬ではハーツクライ、ジェンティルドンナの名馬2頭しか届かなかったドバイSC(※GⅠ昇格後)のタイトルを勝ち取ってみせた。プリンスオブウェールズSは日本馬の適性が全くないといっていいアスコット開催で大敗もやむなしといえる。あくまで最大目標は次走のジャパンCだが、絶対能力の違いで格好をつけるだろう。

▲ダノンベルーガ
キャリア2戦目でのちの皐月賞馬ジオグリフに完勝。スーパールーキーとして挑んだ春二冠はともに4着に敗れたものの、皐月賞は右トモにウィークポイントを抱えたこの馬に不向きの右回り、ダービーは勝負どころで上位3頭に伸び負けたように、2400mの体力勝負に成長が追いつかなかった感のある敗戦。新馬戦で圧巻の走りを見せた東京芝2000mへの距離短縮は明確にプラス材料で、3歳勢では妙味込みで最も評価できそうだ。

以下イクイノックス、マリアエレーナに印を回す。馬券は◎から印への馬連とする。

▽天皇賞(秋)予想▽
◎ジャックドール
◯シャフリヤール
▲ダノンベルーガ
△イクイノックス
×マリアエレーナ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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