【天皇賞(秋)】シンプルな消し条件を整理 難しい海外からの帰国初戦、東京芝未経験
佐藤永記
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国内外のGⅠ馬に3歳馬、多彩な顔ぶれで比較が難しい
今年の天皇賞(秋)は多彩で豪華だ。なにせ春のクラシック戦線で主役だった2頭、ジオグリフとイクイノックスが菊花賞ではなくこちらに参戦。また、ユーバーレーベン、ポタジェ、パンサラッサ、シャフリヤールといった国内外のGⅠ馬に夏の上がり馬など、比較の大変なメンバーである。
いつもならば買い条件を探すようにしているのだが、今回の多彩なメンバーであれば、「消し」の条件から洗ってみようと思う。「あまり良い条件じゃないな」と感じるパターンについて過去の事例を見て、実際に良くない傾向があれば、素直にそれに従って狙い馬を絞る。ということで、シンプルな「消し条件」を整理しよう。
好走例の少ない帰国初戦
まずは海外からの帰国初戦組。今年はシャフリヤールが該当するが、このパターンはあまり例が多くない。海外遠征といえばやはり秋の凱旋門賞を目指すことが多く、この天皇賞(秋)が帰国初戦になるというのは、直近10年で3例しかない。
うち2例が春の香港・クイーンエリザベス2世Cから。2017年にネオリアリズムが同レースを制して天皇賞(秋)に出走したが、8番人気13着。2014年はエピファネイアが4着から出走し、4番人気6着だった。
シャフリヤールと同じプリンスオブウェールズSからの出走となった2016年のエイシンヒカリは、同レース6着から天皇賞(秋)で2番人気12着と大敗。3例の結果は【0-0-0-3】で掲示板入りもできなかった。人気が8、4、2番人気と比較的上位だったことを考えると、なんとも評価しづらいし、美味しくない感じだ。
一応、2005年まで遡ればゼンノロブロイがインターナショナルS2着から、中10週で天皇賞(秋)に出走し2着となった例がある。しかし、1986年まで調べてもこれが馬券絡み唯一の事例で、難しい条件であるということに変わりはないだろう。
さすがに1度は経験しておきたい東京芝
今年は東京芝コースを走ったことのない馬がなんと2頭も登録している。バビットとマリアエレーナだ。数多くのGⅠの舞台となり、日本を代表する東京芝コース。これを未経験で天皇賞(秋)に出走するというのは特殊なパターンは、対応できるものなのだろうか。
正直、答えは厳しいと言わざるを得ない。同様の例は過去10年で5例あったが【0-0-0-5】とこちらも馬券には絡めていない。そのうえ、この5頭すべてが2桁着順の大敗である。特徴的なのはミッキーロケット。東京芝未経験で挑み12着と大敗した翌年に5着としており、やはり経験があったほうがよかったんじゃないか、と思わせる結果である。ちなみに昨年該当していたモズベッロも13着だった。
前走4着以下なら……
最後に前走着順別成績を見ると、当たり前だが前走3着以上だった馬に良績が集中。前走4着以下から天皇賞(秋)で馬券に絡むことができた馬の前走は、宝塚記念、安田記念、毎日王冠のいずれかだった。言い換えれば、「前走がGⅠか東京芝重賞以外で4着以下」だった馬は過去10年で【0-0-0-31】となってしまう。この条件に引っかかるのがカデナ、バビット、ユーバーレーベン、レッドガランだ。
今年は手広く狙わないと難しい多彩なメンバーとなった天皇賞(秋)だが、絞り込む際の一助になれば幸いだ。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
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