【菊花賞】「買えないデータ」から頭数を絞り込む 京大競馬研の本命はガイアフォース
京都大学競馬研究会
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力不足の馬を消し
10月23日(日)に阪神競馬場で菊花賞(GⅠ)が行われる。ダービー3着、最後の一冠はなんとしても欲しいアスクビクターモアや、これをセントライト記念で完封したガイアフォース、神戸新聞杯を鮮やかに勝利したジャスティンパレスなど18頭が集まった。
近年はローテーションの多様化で三冠最後のここは軽視されるようになっている。実力差や距離適性が分からない中、確実なプラスデータを用意して印を打つのは難しい。筆者は3年連続で菊花賞の予想記事担当ながら、恥ずかしいことに過去の2年はかすりもしない外れ。そこで予想の戦法を変えて、データ上どうしても買えない馬を消して行くことで頭数を絞っていきたい。
まずは過去10年の前走着順別成績を調べた。前走1着【5-1-6-43】、2着【2-5-2-16】、3着【2-3-0-16】と、ここまでは広く好走馬を輩出。合計して【9-9-8-75】では重視しない訳にはいかない。
一方、前走4着以下から巻き返したのは、阪神の神戸新聞杯で4着のユウキソルジャー(2012年)、5着エアスピネル(2016年)、本番が適性の高い不良馬場となったクリンチャー(2017年・前走セントライト記念9着)、前が詰まって大敗したタイトルホルダー(2021年・前走セントライト記念13着)の4頭いる。ただし敗因が明らかだったタイトルホルダー以外は、菊花賞で好走したとはいっても離された2着争いに何とか食い込んだもので、大逆転は見込めない。紐で買う程度に留めたい。
前走負けすぎの馬も原則消し
次に前走で負けた馬について、その着差別成績を調べた。前走タイム差なしが【1-1-0-5】、前走0.1-0.2秒差【1-2-0-14】、前走0.3-0.5秒差【1-5-2-23】と、僅差であれば割り引く必要はない。しかし前走0.6秒以上負けていると【2-1-2-65】と不振が隠せなくなる。前走0.6秒差以上の負けから巻き返した5頭は、先述の4頭と2019年1着のワールドプレミア。ワールドプレミアは神戸新聞杯では状態が良くなく、菊花賞当日は競馬歴の浅い私でも良化が見て取れた。当日巻き返しを図るためには、素人でもはっきり分かるほどの上積みが必要になると言える。
今年に関しては神戸新聞杯組のほとんどが「負けすぎ」になる。条件馬が上位に来たレースレベルの怪しい1戦だった上に、優先出走権を拾うため馬体を絞ってきっちり仕上げた馬も多く、上積みはあまり期待出来なさそう。ヤマニンゼスト以下全て切ってしまって問題ないだろう。
前走1勝クラスの馬も消すと残ったのは7頭
最後に前走条件戦組について調べた。前走条件戦から格上挑戦した馬の成績が【0-1-5-42】。そのうち2勝クラスを勝って参戦する馬が【0-1-5-30】。つまり前走条件戦から馬券になった馬は全て、2勝クラスを勝ってここに臨んでいることが分かる。それ以外の臨戦過程を踏んだ馬は消しとなる。
上で述べた前走4着以下、前走0.6秒差以上の完敗、2勝しかしていない条件馬を消すと、残ったのは7頭。この7頭で印の上下をつけた。
◎ガイアフォース
セントライト記念では人気のアスクビクターモアを上回る手応えで、外を回して差し切った。稍重ながら走破タイム、坂を登ってからのラップタイムの落ち込み方も悪くない。距離延長も血統面からは問題なさそうだ。現3歳世代のキタサンブラック産駒は中山芝成績が【3-1-1-27】と良くなく、重賞での連対はイクイノックス以来2頭目。不振データを覆した圧倒的な走りには、イクイノックス級の評価を与えたい。人気馬の中では唯一内枠を引いて“勝ってください”と言われたようなものだ。
◯ドゥラドーレス
気性がまだ幼く、毎日杯からの2戦は取りこぼしたが、素質は早くから評価されていた馬。勝った条件戦はどれも圧勝で、能力はここでも通用する。あとは力を出し切れるかどうか。
▲アスクビクターモア
前走はダービー3着の実績からマークされるような形。早め先頭の勝ちパターンに持ち込んだもののガイアフォース相手に抵抗しきれなかった。地力は高く、今回も同じ戦法なら全くダメということはないはず。しかし競馬のうまさを生かすタイプで外枠はまずい。
△ディナースタ
札幌の芝2600m戦で早めマクりを決めて2連勝。今回も同じことが出来るとは思わないが、長距離で不安を見せていない点はプラス。
×セレシオン
新潟の末脚比べで勝利。しっかり溜められたら距離はもつ。騎手の立ち回りに依るところが大きい。
×フェーングロッテン
ラジオNIKKEI賞を上手く立ち回って勝利。外枠はマイナス。
×ジャスティンパレス
神戸新聞杯では圧勝も、ダービー9着は前走のメンバーであれば実績上位だったか。外枠はマイナス、かつ切れる末脚がないため折り合い合戦からの末脚勝負になりやすい距離延長もよろしくない。が、データ上消せなかった。
馬券は三連複◎-◯▲△×の15点で勝負する。紐荒れに期待したい。(文:福山)
菊花賞 予想印
◎ガイアフォース
◯ドゥラドーレス
▲アスクビクターモア
△ディナースタ
×セレシオン
×フェーングロッテン
×ジャスティンパレス
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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