【菊花賞】世代屈指の大器が最後の一冠獲り 東大HCの本命はガイアフォース

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牡馬三冠の総決算

今週は阪神芝3000mを舞台に、牡馬三冠最終戦・GⅠ菊花賞が行われる。65年ぶりに牡馬二冠の連対馬が不在と混戦ムードが漂う中、実績首位の日本ダービー3着馬アスクビクターモア、同馬をセントライト記念で倒した上がり馬ガイアフォース、神戸新聞杯で優先出走権を得たジャスティンパレス、ヤマニンゼスト、ボルドグフーシュ、未完の大器ドゥラドーレスなどが過酷な3000mに挑む。

クラシック路線を戦ってきた馬たちと同様、彼らの走りを1年以上目の当たりにしてきた我々にとっても総決算となるレース。的中を目指して過去のデータを紐解いていく。

レースを左右するディナースタの動き

芝3000m以上レース「マクり」発生時・条件別成績


<芝3000m以上レース 「マクり」発生時・条件別成績>
初角3番手以内【0-0-1-31】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率3.1%
1枠【3-1-2-11】勝率17.6%/連対率23.5%/複勝率35.3%
上がり2位以内【9-7-4-4】勝率37.5%/連対率66.7%/複勝率83.3%
マクった馬【5-0-1-7】勝率38.5%/連対率38.5%/複勝率46.2%
※過去30年・15頭立て以上の10レース

今年のレース展開を左右しそうなのが夏の札幌で芝2600m戦を連勝してきたディナースタ。2戦ともマクりの戦法を取っており、特に前走は稍重馬場で先頭との10馬身以上の差を一気に詰めての押し切りで無尽蔵のスタミナを披露した。長くいい脚を使う持ち味を生かすため、本番でも同様の組み立てが予想される。そこで、「道中で大きな動きが入る長距離戦」という特殊な状況において浮上するのはどの馬か、芝3000m以上・15頭立て以上のレースでマクりが発生した直近10例のデータを確認する。

かなりの不振にあえいでいるのが先行馬で、特に初角を3番手以内で通過した馬は連対がない。息を入れたい中盤でのペースアップは命取りとなりやすく、勝負どころで脱落するケースが多いようだ(唯一馬券になったカレンミロティックは、翌年の天皇賞(春)でキタサンブラックにハナ差まで迫った)。「前走で」初角3番手以内だった馬も【0-0-4-52】で、今回の有力馬ではアスクビクターモアが該当する。

また、スタミナを削られる展開となるとコース取りの重要性が増すようで、最も経済的な進路を取れる1枠の好走率が高い。動きの少ないインの中団でマクりをやり過ごせる利点もあり、最後まで脚を温存できるようだ。

先行勢が苦戦する反面、結果を残しているのは上がり2位以内の馬。5着以下に敗れた馬がおらず、末脚が着順に直結している。当該条件のGⅠレースで上がり2位以内を出した14頭のうち、10頭は重賞で上がり最速を記録した経験があった。ガイアフォース、ボルドグフーシュ、ドゥラドーレスの3頭に食指が動く。

最後にマクりを打った馬自身についても確認。13頭中10頭が掲示板入りし、2002年菊花賞を10番人気で勝ったヒシミラクルなどの活躍で単複回収率はともに黒字域。ディナースタは穴人気が予想されるが、侮れない存在だろう。

骨折の悔しさがエネルギーへと化ける

◎ガイアフォース
新馬戦はのちのダービー馬ドウデュースとクビ差の2着、2走前の国東特別では1分56秒8のレコードタイムを記録。前走のセントライト記念ではアスクビクターモアを見る位置で競馬を進め、ペースが速くなる残り600mから外々を回りながらスムーズに加速して勝利。コース取りやトラックバイアスに頼らない勝利で、世代トップレベルの脚力を証明した。まさかの敗北を喫した3走前の中京・あずさ賞とそれ以外のレースを比べれば右回りへの適性は明確で、阪神芝3000mの舞台は絶好。僥倖の1枠1番を引き当て、骨折でクラシック戦線とは無縁に終わった春の悔しさを爆発させる。

◯ドゥラドーレス
3代母にウインドインハーヘアがいる名血で、血統を裏付けるように3歳春のセントポーリア賞では圧巻の末脚を披露した。続く毎日杯では直線で馬群をさばき切れずまさかの3着に敗れ、こちらも春のクラシック戦線には参加できなかったが、前走の藻岩山特別では狭い馬群を一気に抜けて快勝。過去5戦全てで上がり最速を記録した極上のキレ味はGⅠでも通用する。昨年のタイトルホルダー同様、ドゥラメンテ産駒と大舞台に挑む横山武史騎手の手綱さばきにも注目したい。

▲ボルドグフーシュ
前走の神戸新聞杯では伸びるインを通ったジャスティンパレス、ヤマニンゼストがワンツーを決める中、大外を回して4角16番手から3着に食い込んだ。派手な着差こそついたものの、進路取りの差を考えれば評価を下げる必要はない。阪神芝2000mのデビューから一貫して中距離戦を使い続けてきたローテーションも本番に生きそうで、苦しくなる先行馬を最後方から捉えたい。

以下ディナースタ、ヴェローナシチーに印を回す。馬券は◎から印への馬連とする。

▽菊花賞予想▽
◎ガイアフォース
◯ドゥラドーレス
▲ボルドグフーシュ
△ディナースタ
×ヴェローナシチー

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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