【秋華賞】オークス上位陣が強さを見せる 東大HCの本命はナミュール

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秋華賞の過去10年、オークス出走歴の有無別成績,ⒸSPAIA

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牝馬三冠のフィナーレ

今週は阪神芝2000mを舞台に、牝馬三冠のフィナーレを飾るGⅠ秋華賞が行われる。デアリングタクト以来、史上7頭目の三冠牝馬の称号がかかるスターズオンアースを筆頭に、オークス2着から前哨戦の紫苑Sを快勝したスタニングローズ、同舞台の忘れな草賞を衝撃的なパフォーマンスで制し、ローズSを勝ったアートハウス、阪神JFから高い能力の片鱗を見せていたナミュールなどがラスト一冠をかけて激突する。

春の2戦から夏を越え、既成勢力と上がり馬との比較が重要になる一戦。過去のデータを分析し、馬券戦略を考えていく。

距離が縮まる牝馬三冠、実績馬を順当に評価

過去10年の秋華賞 オークス出走歴別成績,ⒸSPAIA


<過去10年の秋華賞 オークス出走歴別成績>
オークス出走【8-7-5-75】勝率8.4%/連対率15.8%/複勝率21.1%
オークス未出走【2-3-5-70】勝率2.5%/連対率6.3%/複勝率12.5%

牝馬三冠は芝1600m→芝2400m→芝2000mという設定。牡馬三冠は芝2000m→芝2400mから最後に未知の芝3000mが控え、距離適性という新たな課題も生まれるわけだが、それとは趣を異にする。そのため夏の上がり馬がクラシックを経験してきた馬たちに食い込む余地が少なく、特にオークスへ出走歴がある馬は結果を残している。

オークスに出走して上がり3位以内を記録していた馬は【6-3-1-7】複勝率58.8%、このうち秋華賞の前走が4着以内なら【6-3-0-2】連対率81.8%と好走率が非常に高い。今年はスターズオンアースとナミュールがクリアしており、どちらも重視が必要だろう。

一方、オークスの初角を3番手以内で通過した馬は【0-0-0-20】。これまで26回を数える秋華賞全体に広げても、勝ったのは2008年のブラックエンブレムのみ、2着も1997年キョウエイマーチと2007年アサヒライジングしかいない。ブラックエンブレムはオークス4着、キョウエイマーチは桜花賞を勝ち、オークス11着は重馬場に苦しんだ事情があり、アサヒライジングはオークス3着、アメリカンオークス2着があった。オークス先行勢が秋華賞で好走するには相当の実績が必要で、アートハウスは人気を集めそうだが評価を下げたい。

オークスに出走していなかった馬は実績馬の前で厳しい戦いを強いられやすく、馬券圏内に1頭が食い込むのがやっとというケースがほとんど。なお、例外的に2016年はワンツースリーを決めたが、オークス1・2着のシンハライトとチェッキーノがともに不在で、今年とは状況が異なっている。苦戦傾向の中でも強いて選ぶのであれば、近年は前走でトライアル連対、もしくは2勝クラスを圧勝した関西馬が本番でも通用しており、サウンドビバーチェが筆頭格といえそうだ。

最後の一冠は譲れない

◎ナミュール
新馬戦でラスト2F10.8-10.7のラップを刻むなど、2歳時から類まれな脚力を見せてきた馬。赤松賞やチューリップ賞ではワンサイドゲームの勝ちっぷりだったが、阪神JF、桜花賞では間隔が詰まったがゆえにパフォーマンスを落とした。オークスでは3着に敗れたものの、デビュー以来最軽量タイとなる426kg。ベストなコンディションではなかったことを考えれば負けて強しの競馬だろう。そこからぶっつけの臨戦過程を選択しリフレッシュに成功、木曜時点の馬体重は456kgと大幅に成長してきた。最大限のパフォーマンスを発揮できれば二冠馬にも決して引けを取らない。最後の一冠獲りに向けて条件は整った。

◯スタニングローズ
前走の紫苑Sでは+14kgと若干の太め残りながら、スムーズに逃げたサウンドビバーチェを退けての勝利。着差以上に能力の違いを感じさせるレースぶりで、オークス2着がフロックではないことを証明した。中山芝1800mのフラワーCを制した実績があるように、純粋な脚力だけでなくレースセンスも求められる競馬は歓迎で、阪神内回り2000mで大崩れはないだろう。相手筆頭の評価としたい。

▲スターズオンアース
牝馬二冠馬。桜花賞はウォーターナビレラとナムラクレアが馬場バイアスをうまく生かしたレースをするなか、それを差し切っての勝利。距離に対応してのオークス制覇は見事だった。ぶっつけのローテーションはナミュールと同様だが、こちらは剥離骨折というアクシデントによる休養。昨年の勝ち馬ユーバーレーベンはオークスを勝ったのちに屈腱を痛め、復帰戦の秋華賞では13着に敗れた。順調な臨戦過程を踏んでいるナミュールとスタニングローズに比べて不安が残り、馬券圏外に沈むシーンまで想定しておきたい。

以下サウンドビバーチェ、プレサージュリフトに印を回す。馬券は◎から印への馬連とする。

▽秋華賞予想▽
◎ナミュール
◯スタニングローズ
▲スターズオンアース
△サウンドビバーチェ
×プレサージュリフト

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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