【秋華賞】スターズオンアースの牝馬三冠なるか!? スタニングローズ、アートハウス含む有力馬3頭をデータで徹底比較

高橋楓

2022年秋華賞、有力馬3頭データ比較,ⒸSPAIA

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スターズオンアースに2頭が挑む

史上7頭目の牝馬三冠なるか。これが今年の秋華賞での最大の見どころになるだろう。肌寒くなり、牝馬三冠最後の戦いが近づくと一頭の馬を思い出す。それは「ベガ」である。年明けデビューで初戦は2着に敗れるも、武豊騎手とコンビを組んでからは4戦全勝で春の二冠を制覇。しかし、オークス後にアクシデントが重なりぶっつけでの三冠挑戦となった。

当時は秋華賞が創設されておらず、エリザベス女王杯が牝馬三冠最後の役割を担っていた。結果はホクトベガ、ノースフライトに離された3着。「ベガはベガでもホクトベガ」の実況は今でも忘れられない。

さて、今週はスターズオンアースが牝馬三冠をかけて秋華賞に挑む。そこで、当日の上位人気が予想されるオークス2着のスタニングローズ、ローズSの勝ち馬アートハウスの3頭にスポットをあて、データで徹底比較していく。

2022年秋華賞、有力馬3頭の各成績,ⒸSPAIA"


はじめに3頭のここまでの成績を振り返ってみたい。

スターズオンアース[3-3-1-0]
スタニングローズ[4-2-1-2]
アートハウス[3-0-0-2]

スターズオンアースはデビュー戦で2着に敗れるも、次走でしっかりと勝ち上がった。しかしその後は赤松賞3着、フェアリーS、クイーンCを0.1秒差の2着と惜敗が続いた。しかし、桜花賞での川田将雅騎手との初コンビからは気配が一変。右にもたれる癖が緩和され、トップスピードに乗ってからの切れ味が向上、他馬を寄せ付けない闘争心も見せる様になった。今回は両前脚の骨片摘出手術明け。ひと夏越して馬体がどれくらい成長したかを含めて、最終追い切りに注目したい。

次はオークス2着のスタニングローズ。2歳時も重賞で掲示板を確保するなど、しっかりと走れていたが、3歳になってからここまで4戦3勝と成績が伴い始めた。特に前走の紫苑Sは着差こそつかなかったが、終始先頭を見ながら後続を封じ込める強い競馬を見せた。祖母ローズバドは2001年のオークス、秋華賞で2着と涙をのんだ。孫が悲願を達成させたいところだ。

最後にオークス2番人気7着から前哨戦のローズSを勝利して臨むアートハウスにも注目だ。デビュー戦で2020年のセレクトセールで5億1000万円で取引され話題になったシーヴの2019こと、ショウナンアデイブに3馬身差をつけて1着。その後も中距離戦線で結果を残してきた。母パールコードは川田将雅騎手とのコンビで挑んだ2016年秋華賞は2着だった。母の雪辱を果たすべく、最後の一冠獲りに挑む。次に3頭の重賞成績を見てみる。

スターズオンアース[2-2-0-0]
スタニングローズ[2-1-1-2]
アートハウス[1-0-0-1]

全馬、重賞勝ちがあり実績面では問題なし。スタニングローズは2歳時が[0-0-1-2]、ここまでの3歳時が[2-1-0-0]となっている。最後に阪神競馬場での実績を見ておきたい。

スターズオンアース[1-0-0-0]
スタニングローズ[2-0-0-1]
アートハウス[2-0-0-1]

全馬、阪神競馬場の芝レースで勝ち星をあげていて、コース適性も心配無用となっている。

3頭の2000m実績は如何に!?

2022年秋華賞、有力馬3頭の各タイム別成績,ⒸSPAIA"


次に芝2000mのレース実績と持ちタイムを見てみよう。まずは芝2000mのレース実績から。

スターズオンアース[未出走]
スタニングローズ[1-0-0-0] 1分59秒9
アートハウス[3-0-0-1] 1分58秒5

スターズオンアースはオークス以外は1800mが2回、1600mが4回とマイルでの出走歴が多い。前後の兄弟の父はロードカナロアとダイワメジャーとマイルを得意とする種牡馬。また、母の妹の産駒にはソウルスターリング、シェーングランツなどの重賞勝ち馬が並ぶ。ソウルスターリングはオークス馬とは言え、古馬になってからはマイル路線で戦っている。血統面などを考えるとオークスよりも秋華賞向きの可能性が高い。

次にスタニングローズはデビューから6戦は1600m以下のレースを使い[2-1-1-2]、7戦目以降は1800m以上のレースで[2-1-0-0]という成績。馬が成長したこともあるだろうが、血統的にも中距離の方が合っているだろう。

アートハウスはデビュー以降5戦すべて2000m以上のレースを走り、全3勝を2000mで挙げている。前走の中京で行われたローズSの勝ちタイム1分58秒5は同日に行われた古馬1勝クラスの勝ちタイムよりも0.7秒も速く、前日に行われた古馬OPクラスでも4着に入る好タイムだった。GⅠの成績では2頭に劣るが、この実績は軽視できない。

有力馬3頭を比べた際にポイントになりそうなのが、上がり3Fのベストタイムだ。スターズオンアースは桜花賞とオークスは先頭集団を見ながら直線に入り33秒5と33秒7。上がり3Fベストタイムは新潟の新馬戦で見せた32秒6。切れる末脚が使えることは証明済みだ。

スタニングローズはマイル戦では最速32秒9だったのに対し、距離を伸ばしてからは先頭を見ながら好位でレースを運び、34秒4から35秒0のタイム。前走の紫苑SやフラワーC同様に直線で叩き合いに持ち込み、後続が差してきたときにはすでに大勢が決している様なレース展開に持ち込みたい。

アートハウスも先頭を見ながらだが、勝つ時は33秒9から34秒2をコンスタントに使っている。三冠を狙うスターズオンアースが直線で飛んでくる前に、この2頭が3馬身以上前にいたときは偉業達成に黄色信号が灯る可能性が考えられる。

阪神芝2000m巧者は誰だ!?

2022年秋華賞、有力馬3頭の阪神・芝2000mの各成績,ⒸSPAIA"


最後に有力馬3頭の種牡馬と騎乗予定騎手の阪神・芝2000mの成績を調べてみた。期間は2012年10月1日から2022年10月7日までとする。

スターズオンアース・父ドゥラメンテ[7-7-6-25]
スタニングローズ・父キングカメハメハ[36-26-22-159]
アートハウス・父スクリーンヒーロー[3-1-3-34]

勝ち星のトップはディープインパクト産駒で[71-56-52-279]と抜きんでている。その成績に次ぐのがキングカメハメハ産駒。勝率14.8%、連対率25.5%、複勝率34.6%と好成績だ。

それを上回る率を残しているのが、スターズオンアースの父にあたるドゥラメンテ産駒だ。母数が全く違うので、勝ち星では11位となっているが、勝率15.6%、連対率31.1%、複勝率44.4%はディープインパクト産駒をも上回り、産駒が5勝以上あげている種牡馬の中では全て1位の数字になる。

アートハウスの父スクリーンヒーロー産駒は勝率7.3%、連対率9.8%、複勝率17.1%となっており、上記2頭にはかなり劣る数字となっている。次に騎手の成績を見てみよう。

スターズオンアース・C.ルメール騎手[24-19-5-51]
スタニングローズ・坂井瑠星騎手[5-8-9-45]
アートハウス・川田将雅騎手[52-32-36-79]

騎手部門は当該条件で1位の川田将雅騎手がアートハウス、3位のC.ルメール騎手がスターズオンアースに騎乗予定。特に川田騎手は複勝率60.3%と驚異的なハイアベレージを残している。また、今回はアートハウスに騎乗するが、スターズオンアースではテン乗りで桜花賞を制覇。スタニングローズでは未勝利とフラワーCに騎乗し2戦2勝。2頭の特徴を知っていることが大きなアドバンテージになるだろう。

スタニングローズに騎乗予定の坂井瑠星騎手は、当該条件では3人の中で一番騎乗数が少ない。成績は勝率7.5%、連対率19.4%、複勝率32.8%。複勝率は30%超えも、上記2人に比べると劣る成績になっている。

データ比較は以上になる。休み明けのスターズオンアースが道中、先頭集団から離れない位置で息を入れられるかで、三冠制覇の行方が大きく変わってきそうだ。また、それを阻止すべく川田将雅騎手騎乗のアートハウスが直線に向くまでに、どういった展開をつくるかが鍵になるだろう。忘れな草賞のようなレースができれば、一気に頂点が見えても何ら不思議ない。


2022年秋華賞、有力馬3頭のデータ比較,ⒸSPAIA"


《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレース、競輪の記事を中心に執筆している。

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