【スプリンターズS】絶好枠を引いた馬が波乱を起こす 京大競馬研の本命はジャンダルム

京都大学競馬研究会

スプリンターズSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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枠順からスプリンターズSを考察

10月2日(日)に中山競馬場で行われるスプリンターズS(芝1200m・GⅠ)。昨年は3歳馬ピクシーナイトが快勝したが、3着には10番人気シヴァージが入る波乱の決着となった。今年はその4着馬で、重賞戦線で大活躍を見せているメイケイエール、高松宮記念勝ち馬ナランフレグ、マイル戦線で実績豊富なシュネルマイスターなど充実したメンバー構成となった。過去のレース傾向などを踏まえて予想していく。


過去15年スプリンターズS枠順別成績,ⒸSPAIA


<過去15年のスプリンターズSの枠順別成績(中山開催のみ)>
1枠【1-1-4-22】勝率3.6%/連対率7.1%/複勝率21.4%
2枠【1-3-3-21】勝率3.6%/連対率14.3%/複勝率25.0%
3枠【0-1-3-24】勝率0.0%/連対率3.6%/複勝率14.3%
4枠【5-2-0-21】勝率17.9%/連対率25.0%/複勝率25.0%
5枠【3-2-0-22】勝率11.1%/連対18.5%/複勝率18.5%
6枠【0-1-1-26】勝率0.0%/連対率3.6%/複勝率7.1%
7枠【3-2-2-20】勝率11.1%/連対率18.5%/複勝率25.9%
8枠【1-2-1-24】勝率3.6%/連対率10.7%/複勝率14.3%

2007年以降、中山で開催されたスプリンターズS(14回)における枠順別成績を調べた。上記からは“比較的内有利”といった程度だが、具体的に枠順と成績の関係について考察していく。

まず8枠だが、この枠から勝ったのは2012年ロードカナロア(2人気)、2着は2008年キンシャサノキセキ(2人気)と2016年ミッキーアイル(2人気)、3着は2020年アウィルアウェイ(10人気)。3頭は種牡馬としても活躍するほどのポテンシャルを持ち、アウィルアウェイは展開にかなり恵まれた。数字上は悪くないが、実態は飛び抜けた馬でもない限りなかなか厳しい枠になっている。

最も複勝率が高い7枠から馬券圏内が7頭いるが、全頭4角7番手以内と前につけた馬が結果を出している。好走した中で最も人気がなかったのは2011年3着のエーシンヴァーゴウ(7人気)であり、8枠ほどではないが基本的には地力のある馬でないと勝ち切るのは難しい。

勝率が高い4・5枠について。4角15番手から勝利した2020年のグランアレグリアは例外的としても、2017年のレッドファルクス、2019年のタワーオブロンドン、モズスーパーフレア、2018年のファインニードル、2013年のロードカナロアなど、人気を集めた馬が逃げから中団まで、さまざまな競馬で紛れなく馬券内に入ってきている。また、人気薄でも2010年のウルトラファンタジー、2018年のラブカンプーは先行して穴を開けている。

最後に1~3枠。昨年の勝ち馬ピクシーナイトや2020年2着のダノンスマッシュなどのようにロスなく先行して押し切りを図る競馬、2012年のドリームバレンチノや2010年のサンカルロのような差しなど、人気と脚質問わず好走している。内枠を引いた馬は安易に消すべきではなさそうだ。


内枠の先行馬から勝負

◎ジャンダルム
休み明けでは走らない馬で、前走の敗戦は度外視できる。ただし、間隔が詰まりすぎてもあまり走らないため、昨年(中2週、11着)と異なる北九州記念からのローテはかなりのプラス材料。中山芝1200mは相性のいいコースで、今年のオーシャンSでは高松宮記念勝ち馬ナランフレグに勝利している。出遅れがちではあるが、荻野極騎手騎乗だとゲートを出る馬。メンバー構成的にも今年の高松宮記念やモズスーパーフレアがいた近年のスプリンターズSほどハイペースになることは考えにくいため、先行して展開が向くだろう。1週前、最終追切のどちらをとっても好調ぶりがうかがえ、最大のチャンスが巡ってきた。1枠2番と絶好の内枠で枠の並びもよく、ここは勝ち負けを期待する。トラックバイアスが先週同様ならば、さらにチャンスが広がる。

◯ナムラクレア
前走は外枠も響いてロスの多い競馬になってしまい、最終的には内から伸びてきた馬に敗れ3着。とはいえ、近2走の1200mでのレース内容は悪くなく、比較的メンバーの薄いスプリント戦では地力上位。ここまで調整過程も順調だ。今回は初の中山遠征となるが、1400m~1600mの実績から坂のある1200mでも対応できると判断。好成績を残している5枠で、かつある程度前に行って競馬が出来る。

▲ナランフレグ
高松宮記念勝ち馬で、スプリント戦線での末脚番長。直線が短く、前残りの展開になったオーシャンSでも2着に入ったように展開問わない末脚は魅力。また、安田記念でも0.4秒差の9着とそこまでない差のない敗戦で、ここ最近の走りはまぐれではなく成長によるものだ。しかし中山芝1200mではオーシャンSの競馬が限界で、頭を期待するのは厳しそうなのでこの評価。

△メイケイエール
能力の高さと7枠、先行脚質には好感。ただ、前走からの出走間隔も短く、気持ちの制御も難しくなりそう。(折り合いがついた)前走ほどのハイペースも望みにくく、完勝か大敗かのどちらかと想定。

×ウインマーベル
前走は恵まれた面の多かった2着だが、先行できれば馬券圏内は狙える。

×ダイアトニック
高松宮記念は出遅れが響いた。内から上手く先行できれば。

買い目としては、◎-◯▲×の馬連ワイド、◎△-◎◯▲×-◎◯▲×の3連単で勝負する。

▽スプリンターズS予想印▽
◎ジャンダルム
◯ナムラクレア
▲ナランフレグ
△メイケイエール
×ウインマーベル
×ダイアトニック

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。


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