【スプリンターズS】高い距離適性と機動力で3歳馬連覇へ 東大HCの本命はナムラクレア
東大ホースメンクラブ
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秋GⅠがついにスタート
今週日曜、中山競馬場を舞台にGⅠスプリンターズSが行われる。稀代の個性派にして重賞6勝馬、悲願のGⅠタイトルに手が掛かるところまできたメイケイエールを筆頭に、快速スプリンター・3歳牝馬ナムラクレア、初経験の6ハロンを秋の始動戦に選んだマイルGⅠ馬シュネルマイスター、高松宮記念を制した豪脚ナランフレグなど、秋GⅠ開幕の号砲を鳴らす電撃の短距離戦に現役屈指のスピード自慢が出揃った。
GⅠの中でも二桁人気馬が馬券圏内に突っ込むケースが多く、一筋縄ではいかないレース。過去のデータを参考に馬券戦略を考えていく。
好走のカギは前走成績にあり
<過去10年のスプリンターズS 前走着順別成績>
4着以内【9-7-5-53】勝率12.2%/連対率21.6%/複勝率28.4%
5着以下【0-2-4-63】勝率0.0%/連対率2.9%/複勝率8.7%
※新潟開催の2014年を除く
馬券検討において一つのカギとなるのが前走着順。過去10年(新潟開催の2014年を除く)の同レースにおいて、連対馬18頭中16頭が「前走4着以内」をクリアしている。
前走5着以下から連対した2頭は2015年2着サクラゴスペル(11番人気)、2017年2着レッツゴードンキ(5番人気)だが、ともに前走がマイルGⅠでの大敗、また前者は同年同コースのオーシャンSを勝利した実績があり、後者は同年の高松宮記念で2着に入っていた。前走5着以下からは好走する素地がある馬を拾えば十分で、今年は前走4着以内組にナランフレグを添えた9頭から軸を探す作業となりそうだ。
前走4着以内だった馬のうち、連対馬16頭全てが前走3番人気以内でもあった。この「前走3番人気以内で4着以内」を満たしつつ、同年にJRAのマイル戦に出走して3着以内の経験があった馬は【5-0-0-1】勝率83.3%を記録している。最高峰のスプリント戦では単純なスピード能力だけではなく、最後のひと押しにつながる一定のスタミナも要求されるようだ。今年はナムラクレアとシュネルマイスターが好走候補となるが、勝ち馬5頭は全て芝1200m重賞の連対歴があり、ナムラクレアが一歩リードとなる。
2年連続の3歳馬制覇へ
◎ナムラクレア
2走前の函館SSはメンバー手薄・斤量50kgとはいえ完勝。前走の北九州記念では4角で進路を探すシーンがあり、残り200mでようやく前があいてから鋭い伸びを見せて3着。スムーズな競馬ができたボンボヤージ、タイセイビジョンに比べて強い内容だった。2歳時から見せてきた高いスプリント適性は古馬相手にも通用する。内枠有利を完璧に活かした桜花賞3着にも見て取れるように高速中山芝1200mで最も求められる機動力を備えた馬。53kgの軽斤量も追い風に、同レース2年連続となる3歳馬の制覇に期待したい。
◯ナランフレグ
今年のオーシャンSでは己のスタイルを曲げず13番手から追い込んでの2着。4角2番手のジャンダルムが勝ち、4角先頭のビアンフェが3着という決着に割り込んでおり、のちの高松宮記念制覇も決してフロックではなかった。果敢にマイルGⅠへ挑戦した前走の安田記念は9着に敗れたものの、勝ち馬ソングラインからは0秒4差にまとめた。マイルのスペシャリスト相手に適性で劣りながらも脚力で格好をつけた形だ。高松宮記念(高松宮杯)が1200mのGⅠになった1996年以降、その勝ち馬が同年スプリンターズS(中山)に出走すると【5-3-1-12】複勝率42.9%。半数以上が着外に敗れているものの、このうち直近1年で中山芝1200m重賞の連対があると【1-2-0-1】。引き続き狙いは立つ。
▲メイケイエール
現役屈指の気性難を抱えながら重賞6勝。特に前走のセントウルSは前半3F32秒5のかなり速い流れを5番手で折り合い、直線では突き放す一方の完勝だった。ハイペースだったことで折り合いがついたという面はあるものの、材料が揃えば現役のスプリンターに敵はいないかもしれない。昨年のスプリンターズSは4着に終わったが、道中でちぐはぐな動きをしつつ大外を回すコースロスを鑑みれば強い内容。ただ右回りでは左に張る面があり、前走と比べれば条件が悪化することは確か。安定した軸とはとてもいえない。
以下タイセイビジョン、シュネルマイスターに印を回す。馬券は◎から印への馬連とする。
▽スプリンターズS予想▽
◎ナムラクレア
◯ナランフレグ
▲メイケイエール
△タイセイビジョン
×シュネルマイスター
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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