【スプリンターズS】9番人気以下で馬券に絡む馬が毎年のように出現 カギは乗り替わりと内枠

佐藤永記

スプリンターズSの4番人気以下で3着以内の傾向,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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近年は3番人気以内しか勝っていないGⅠ

近年のスプリンターズSは正直なところ、びっくりするような穴馬が勝つことはない。直近10年でも新潟開催の2014年で13番人気のスノードラゴンが勝った以外はすべて3番人気以内の人気馬が勝利している。

開催時期が9~10月の中山となってから、夏のスプリントシリーズで順調に使ってきた馬と、春の短距離路線からやってきた馬がそれぞれ順調に出走してくることが多い。力関係が整理しやすく、芝の状況も中山では良好な時期でもあるため波乱の要素は少ないといえる。

だが、ヒモ荒れには注意だ。2019年は1~3番人気で上位独占となったが、それ以外の中山開催年では2017年の例外を除けば8年全てで9番人気以下の馬が2、3着に1頭以上入っているのだ。しかも例外の2017年は1着1番人気、2着5番人気、3着7番人気で、おまけに4着が16番人気で3着とはクビ差と逆に2、3番人気が絡んでいない形でヒモ荒れの範疇ではあった。

では、どんな馬がヒモ候補となって波乱が起こるのだろうか。中山開催過去9年分の4番人気以下で馬券圏内となった11頭の傾向を整理してみよう。

穴馬候補は乗り替わりでも臆する必要なし

スプリンターズS直近10年4番人気以下で3着以内の11例


まずは乗り替わりがマイナスではないということだ。近年の中山開催で11頭いる、4番人気以下で馬券圏内となった馬のうち7頭が前走から騎手が乗り替わっている。

直近のスプリンターズSで見ても昨年の10番人気3着のシヴァージが田辺裕信騎手から吉田隼人騎手に、一昨年の10番人気3着のアウィルアウェイも川田将雅騎手から松山弘平騎手に乗り替わっている。さらに2018年では11番人気2着のラブカンプーがM.デムーロ騎手から和田竜二騎手、13番人気3着のラインスピリットが森一馬騎手から武豊騎手に乗り替わっていた。

直近4例がすべて二桁人気なのでこれだけでも「ハマればでかい」傾向であるし、純粋にヒモ穴狙いで乗り替わりを気にする必要がないことがわかる。

圧倒的内枠に絞りたいヒモ穴候補

そしてもう一つ強烈な傾向として、近年の中山開催で11頭いる、4番人気以下で馬券圏内となった馬のうちなんと9頭が「6番以内の内枠」なのである。11頭の位置取りには逃げから追い込みまで全く偏りがないのだが、どう走るにせよ、中山外回り1200mで大きくカーブしつづけて走るコース形態上、内に潜んで距離ロスなく、かつ低人気によってノーマークで走れるという合わせ技が波乱を生んでいるのだろう。

ちなみに例外パターンのひとつである、2020年のアウィルアウェイも強烈だ。大外16番枠で4角最後方から追い込んでの3着だった。大外枠で長いコーナーを振られる不利がありそうでも、最後方に下げての追込勝負ならば関係なかったという事例である。

今年のスプリンターズSで乗り替わりを予定しているのは執筆時点ではエイティーンガール、シュネルマイスター、タイセイビジョン、ヴェントヴォーチェ(除外対象でダイメイフジ、ワールドウインズは騎乗者未定)だ。シュネルマイスターとタイセイビジョンは人気上位なので、今年の穴候補としては秋山真一郎騎手騎乗予定のエイティーンガールと、西村淳也騎手騎乗のヴェントヴォーチェ。あとは枠順で内枠か、あるいは追込のエイティーンガールについては大外でもOKなので期待したいところだ。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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