門田光生

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中心は前走ダービー組
2022年9月19日に行われる第76回セントライト記念。神戸新聞杯と同様、3着までに菊花賞への優先出走権が与えられる。昨年は3着オーソクレースが菊花賞で2着と好走し、1番人気で13着と大敗してしまったタイトルホルダーは、本番で巻き返して菊花賞馬となった。優先出走権をとった馬はもちろん、ここを叩いて菊花賞へと向かう実績馬もチェックが必要だ。
秋に行われるトライアルは、ここから始動する実績馬に対して、夏に力をつけた上がり馬がどこまで通用するのかが注目点。今回も過去10年の傾向を振り返りながらデータを分析していきたい。なお、当日で1番人気に支持された馬は【4-3-0-3】で、連対確率は7割。昨年のタイトルホルダーは大敗してしまったが、基本的に1番人気の信頼度は高いレースとなっている。
☆所属
次週に同じトライアルの神戸新聞杯が西エリアで行われることもあり、出走頭数は関西馬56頭に対し関東馬が91頭と倍近く多い。成績は美浦7勝(13連対)、栗東3勝(7連対)。連対率はほぼ五分だが、勝率ではやや関東馬有利となっている。なお、牝馬の出走はここ10年で1頭もいない。
☆前走クラスと前走
条件戦を経由してセントライト記念を制したのは2頭。2013年のユールシンギング(500万下、現1勝クラス)と、2017年ミッキースワロー(1000万下、現2勝クラス)。75頭が出走して2勝だから威張れるような勝率ではないが、格上相手ということを考えれば、こんなものかもしれない。
主力は8勝している重賞組。特に前走GⅠ組は【6-5-5-24】で、勝利数、勝率、そして連対率もトップ。連対した11頭はすべてダービー組で、2頭以上馬券に絡んだ年がここ8年で6回もある。今年もダービー組が活躍する確率はかなり高いとみていいだろう。
GⅢ組は3頭の連対馬を出していて、いずれもラジオNIKKEI賞組。前走オープン、GⅡ組から連対馬は出ていない(今年は該当なし)。
☆前走着順と前走着差
前走1~3着に該当した馬は80頭いて、成績は6勝、2着3回。連対馬の半分程度を占めていることになるが、ほかの重賞と比べると好走確率はそこまで高くない。前走4~10着という真ん中の着順だと、48頭が該当して勝ち馬はなし(2着5回)。前走11着以下の大敗組は23頭で、4勝、2着2回。前走大敗組の方が好走確率は高い。こういうデータが出るのは極めて珍しい。
連対した6頭の内訳だが、昨年1着のアサマノイタズラ(ラジオNIKKEI賞12着)以外、すべてダービー出走馬だった。今年もダービー大敗馬が出走してくれば、格好の狙い目となる。
今年の登録馬13頭中6頭が前走を勝っているということで、勝ちっぷりについて調べてみた。前走1着馬はここ10年で2勝。この2頭は前走でコンマ4秒以上の差をつけて勝っていた。一方、コンマ3秒以内で勝ち上がってきた馬は0勝。2着は2回あるが、連対率が5%台と、数字上ではもうひとつの結果となっている。
☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていく。まず前走人気だが、3番人気に支持されていた馬は15頭いて、最高着順は3着。また、2、4番人気だった馬も未勝利となっている。ほかにも「前走馬体重450キロ以下」「前走2200m」「キャリア10戦以上」というマイナスデータも用意していたのだが、今回は該当馬がいなかったので、いつもより少ないデータを使って検証してみる。
大敗後でも心配なし
セントライト記念のデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるデータはA「前走がダービー、もしくはラジオNIKKEI賞」B「前走コンマ4秒以上の差をつけて1着」。
勝率、連対率がよくないデータはC「前走4~10着馬」D「前走2、4番人気」。ここ10年で連対例がないのはE「前走3番人気」。
好相性の前走ダービー組が軸と考えていいだろう。今回はアスクビクターモア(3着)、オニャンコポン(8着)、セイウンハーデス(11着)の3頭が登録。ここ10年で前走ダービー出走馬は11頭が連対しているが、これらのダービー着順は11、15、17、16、5、3、14、10、2、5、2着。二桁着順が半分以上を占めている。掲示板を確保した馬の好走率も高いが、中途半端な着順だった馬はあまり成績がよくないようだ。
人気的な妙味を合わせて考えると、今年の3頭の中では前走11着のセイウンハーデスが狙い目となる。近いところでは2020年の2着馬サトノフラッグがダービー11着からセントライト記念2着となっており、これに続くことを期待しよう。
ラジオNIKKEI賞組も3頭登録しているが、マイナスデータのD「前走2、4番人気」に該当するベジャールは軽視する。残ったのはショウナンマグマ(2着)とボーンディスウェイ(6着)。過去にラジオNIKKEI賞を経由して連対したのは3頭で、これらの着順は12、1、1着。こちらもダービーと同じく、好走か大敗の馬が結果を出している。というわけで、この組からはショウナンマグマを選択する。
残るひと枠は前走1着馬で、コンマ4秒以上の差をつけて勝った馬から選択。ガイアフォース、マテンロウスカイ、ローシャムパークの3頭が該当するが、このうちガイアフォースとローシャムパークは1秒以上の差をつけての圧勝だった。
ただ、過去に前走1秒以上の圧勝をしてきた唯一の馬バンデは、4番人気6着と人気ほど走れていない。またガイアフォースもローシャムパークも前走圧勝ということで妙味も薄そうだ。というわけで、ここは1勝クラスをコンマ4秒差で勝ったマテンロウスカイに期待。ちなみに、バンデが出走した2013年の勝ち馬ユールシンギングは、500万以下(現1勝クラス)をコンマ4秒差で勝っての参戦だった。
◎セイウンハーデス
◯アスクビクターモア
▲オニャンコポン
△ショウナンマグマ
×マテンロウスカイ
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
秋競馬が開幕。JRAではGⅠに向けてトライアルが行われて徐々に盛り上がっていきますが、園田競馬場でも毎週のように重賞が組まれており、目が離せません。
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