【ローズS】最後の一冠へ、夏の上がり馬に要警戒　サリエラだけじゃない有力候補

2022/09/11 17:15

勝木淳

ⒸSPAIA

この記事のレース

関西ＴＶローズＳ

GⅡ

9月18日(日)　中京11R

関東の人気馬は買い

西の秋華賞トライアル・ローズステークスは今年も中京芝2000m。昨年の3着以内馬は本番3、4、7着。秋華賞を勝ったアカイトリノムスメはオークスから直行、2着ファインルージュは紫苑S1着。これが最近のトレンドのあらわれ。

今年も三冠をかけるスターズオンアースやオークス3着ナミュールなどは秋華賞直行予定。ローズSには目立った春の実績馬がいない。その分、混戦模様であり、夏に力をつけた馬たちにもチャンスがある。昨年のアンドヴァラナウトも夏の新潟1勝クラスから連勝でここを突破した。勢いを買いたいところだ。データはあえてローテーションを中心に、阪神開催を含めたローズS過去10年間を使用する。

過去10年ローズS人気別成績,ⒸSPAIA

1番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%、2番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%までが安定。3番人気【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%以下は横一線といった印象。10番人気以下も【0-4-3-61】複勝率10.3%と高い。中京の昨年も2着は12番人気エイシンヒテン。今年は頭数が多くないが、その分、下位人気までしっかり検討したい。

過去10年ローズS所属別成績,ⒸSPAIA

関東圏に紫苑Sがあり、本番と合わせて2度の輸送は避けたいという心理からか、関東馬は【1-0-2-12】勝率6.7%、複勝率20.0%と全体数は少なめ。ただ確率的には関西馬【9-10-8-113】勝率6.4%、複勝率19.3%と互角。関東馬の1番人気はこの10年ないが、3番人気以内だと【1-0-2-3】。4番人気以下【0-0-0-9】。サリエラは人気の関東馬。勝てば栗東滞在という奥の手もあるので、2度の西下という心配はないかもしれない。

条件戦組は前走上位人気かつ好走が目安

アートハウスと並び、1番人気候補となるサリエラは2勝目の6月東京戦がポイント。前半1000m通過1.03.8、逃げたテイエムオードリーが2着に残る展開のなか、サリエラは9頭立てで4コーナー7番手から上がり32.9の瞬発力で前を捕まえた。2位の記録が33.6なので、破格。レース上がりは11.0-11.0-11.8。サリエラはこれを軽く上回った。母はご存じサロミナ。上はサラキア、サリオス。血統面も含めスケールを感じる。

過去10年ローズS前走クラス別成績,ⒸSPAIA

サリエラについて掘り下げたところで、ここからは前走データを中心にもう少し候補を探してみたい。上がり馬に話題が集まるレースだが、前走GⅠ【7-3-3-48】勝率11.5%、複勝率21.3%にも注目。今年は候補こそ少ないが、ここも抑えたい。

過去10年ローズS前走オークス組着順別成績,ⒸSPAIA

前走オークスは【7-3-3-38】勝率13.7%、複勝率25.5%。ここはオークス馬【3-1-0-1】勝率60.0%、複勝率80.0%を筆頭に5着以内【6-2-3-6】。しかしオークス馬のローズS出走は16年シンハライト1着が最後であり、近年のトレンドではない。今年も5着以内馬が不在。7着アートハウスが該当する6～9着は【0-0-0-11】、16着パーソナルハイが該当する10着以下は【1-1-0-20】勝率4.5%、複勝率9.1%。

とはいえ、オークスは先行馬に厳しい流れになり、それぞれ敗因も明確。アートハウスは強気な競馬で一旦先頭の見せ場はつくった。休み明けで状態を戻して好走もありうる。またパーソナルハイは2走前に春開催開幕週の東京でGⅡ2着の粘り腰。ここも展開に恵まれる可能性は頭に入れておきたい。

ではサリエラを含め、前走条件戦組はどうか。その着順別成績は前走1着【3-3-3-37】勝率6.5%、複勝率19.6%。ここを突破するには前走条件戦勝利が必須で、サリエラ、ラリュエル、メモリーレゾンなどは心配する必要なし。2、3着候補は前走条件戦2～4着【0-3-3-11】。セントカメリアなども視野に入れたい。

条件戦組の指標は前走時の人気がくっきり。4番人気以内【3-6-7-45】、5番人気以下【0-0-0-18】。未勝利勝ち直後に15番人気2着と大穴を提供した14年タガノエトワールも前走は1番人気。条件戦を人気で突破した馬は狙い。

最後に条件戦からここに来るにあたり、乗り替わりは【1-5-3-37】勝率2.2%、複勝率19.6%、対して継続騎乗は【2-1-4-26】勝率6.1%、複勝率21.2%。条件戦から同じ騎手でここに挑むというのも追い風になる。今年は前走で福永祐一騎手が騎乗した馬が複数。騎手差配にも気を配りたい。

ライタープロフィール
勝木淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬伝説の名勝負』シリーズ全4作（星海社新書）。