【ローズS】中京開催で波乱度アップ ヌーヴォレコルト以来の関東馬Vなるかに注目

緒方きしん

ローズS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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秋華賞に向けた大一番

セントウルSはメイケイエールが快勝。同レースの1番人気の連勝を7に伸ばした。前哨戦で人気の牝馬が勝利したことで、大一番を控えたスプリント界もさらに盛り上がりを見せてきた。

さて、今週はローズS。現在2戦2勝のサリエラ、6戦1勝ながら掲示板を外したことのないロマンシングブルー、忘れな草賞の勝ち馬アートハウスなどが参戦する。

過去にはヒシアマゾンやキョウエイマーチ、アドマイヤグルーヴやダイワスカーレットといった名牝が勝利。2012年の勝ち馬ジェンティルドンナはここから秋華賞、ジャパンCを連勝している。今回は、ローズSの歴史を振り返る。

中京のローズSは波乱傾向

ローズS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年で1番人気馬は1勝のみ。2019年ダノンファンタジーが1着、2021年アールドヴィーヴルが3着で、他3頭は6着以下に敗れている。それ以前では、2016年シンハライト、2013年デニムアンドルビー、2012年ジェンティルドンナ、2011年ホエールキャプチャらが1番人気に応えて勝利している。

直近の2年は京都競馬場の改修による影響で中京芝2000mで開催されているが、どちらも馬連が万馬券となる波乱が起きている。2020年は2着に14番人気ムジカが食い込み299.6倍、2021年は2着に12番人気エイシンヒテンが逃げ粘り151.3倍となった。特に2020年は3着にも11番人気のオーマイダーリンが入ったため、三連単の配当は11390倍の100万馬券となっている。

また、関東馬は出走頭数が少ないということもあって、活躍があまり見られない。2021年にはフローラS勝ち馬のクールキャットが3番人気11着。2019年には2番人気ウィクトーリア、3番人気スイープセレリタス、5番人気シャドウディーヴァと関東馬が上位人気になっていたが、最高着順はウィクトーリアの3着だった。関西馬の分厚い壁を感じるレースとなった。

オークス馬の意地を見せた関東馬ヌーヴォレコルト

そんな中、関東馬として最後に勝利したのが2014年のヌーヴォレコルト。父ハーツクライ、母父スピニングワールドという血統。桜花賞3着、オークス勝利という実績を持ちながらも、阪神JF勝ち馬で桜花賞2着のレッドリヴェールに1番人気を譲っていた。

レースが始まるとヌーヴォレコルトは4番手にポジショニング。ライバルのレッドリヴェールもいつもよりやや前目、7番手から競馬を展開する。ヌーヴォレコルトはレッドリヴェールから見られる形での競馬となったが、4コーナー入口で気合を入れられるとそのまま加速して押し切った。まさに完勝で、オークス馬強しと印象づけるレースとなった。

その後は秋華賞、エリザベス女王杯と連続で1番人気に推されたものの、いずれも2着と惜敗。このままトンネルに入るか……と思いきや、翌年の初戦・中山記念でイスラボニータやロゴタイプ、ステファノスといった一線級の牡馬を相手に勝利。その後は香港やアメリカへ遠征し、2015年香港Cで2着、2016年レッドカーペットHで1着など活躍を続けた。

今年は関東馬の台頭があるか

今年も、ローズSに関東馬が参戦する。ルージュリナージュは父スピルバーグ、母父ルーラーシップ、母母父クロフネという新世代の血統を持っている。エピファネイア産駒のブルトンクールは、血統表にグラスワンダー、スペシャルウィークという現役時代ライバル関係だった2頭がいる面白い存在だ。

そして有力馬の一角として注目されているのが、美浦・国枝栄厩舎のサリエラ。全姉に2020年エリザベス女王杯、有馬記念の2着馬サラキア、半兄に2019年朝日杯FS勝ち馬サリオスなどがいる超良血馬だ。現在2戦2勝という戦績で、この勢いのまま秋華賞を狙う逸材である。サリオスと違い、父がハーツクライからディープインパクトに変わったサリエラ。関東馬としてヌーヴォレコルト以来の勝利を挙げられるか注目したい。

秋華賞に直結する重要な一戦、ローズS。今後の成長の余地も含めて出走各馬を応援していただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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