【新潟2歳S】「前走馬体重440キロ以下」は42頭中連対馬なし! 本命は複数の好走データを持つグラニット

門田光生

新潟2歳Sの前走時馬体重別成績(過去10年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

関西馬が6連勝中

2022年8月28日に新潟競馬場で行われる第42回新潟2歳S。右回り時代の新潟競馬場は、いわゆるローカル競馬場らしい形態だったが、2001年の大改修によって、全く違う競馬場に変貌。新潟2歳Sも1400mから外回りのマイルへと変わった。その影響もあってか、クラシックを目指せるような血統馬の参戦も、以前と比べて目に見えて多くなっている。

ところで、JRAの競馬場で左回りといえば東京、中京、そして新潟の3つ。いずれも広く、直線が長いのが特徴。つまり、左回りで小回りの競馬場(新潟の内回りに限れば、小回り平坦コースといえるが)は存在しないことになる。

ネットの売り上げが大半を占めるとはいえ、GⅠなど大レースならまだまだ集客を見込めるので、安全面などを考えると箱は大きい方がいいのだろう。しかし、あまり大きな競馬場ばかりではレースを見る側にとってつまらなくなるし、広いコースを得意とする血統ばかりが繁栄し、血の偏りにもつながっていく。かなり先の話になるだろうが、次に大規模改修がある際は、ぜひ近代的な小回り競馬場も検討していただきたいものである。

話が逸れてしまったが、今回検証する新潟2歳Sにはどのような傾向があるのだろうか。いつも通り過去10年の成績を基にしてデータを調べていきたい。

新潟2歳S出走馬の所属,ⒸSPAIA
新潟2歳S出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆所属と性別
2001年までは1400mで行われており、しかも小倉2歳Sと同日開催。その2001年は出走馬10頭中、栗東所属馬は1頭だけ。今ほど新潟まで遠征する意義がなかったということが分かる。

しかし、今の条件に替わった2002年から、栗東所属馬の参戦が増えている。ここ10年で美浦93頭、栗東59頭。連対数は関東馬が11連対とかろうじて上回っているが、勝利数は関西馬が7勝と大きくリードしている。しかも、2016年から6連勝中。近年の勢いからも、勝ち馬を探すなら栗東所属馬といえる。

性別だが、出走頭数は牡馬・セン馬86頭、牝馬66頭と大きな差はついていない。成績の方はというと、牡馬・セン馬が7勝(15連対)と大きくリード。牝馬の方が完成度は早いと思い込んでいたが、どうやらこのレースに限っては傾向が違うようである。

新潟2歳S出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
2022年の新馬戦がスタートしたのは6月。当然ながらキャリア10戦という馬は存在しない。ここ10年で見ても、最高で3戦となっている。成績がいいのはキャリア1戦の馬で、7勝(14連対)。すべて新馬戦を勝ち上がってのものだ。続いてキャリア2戦の3勝(6連対)で、こちらはすべて未勝利戦を勝っての参戦。キャリア3戦の馬は14頭が該当し、連対馬は1頭もいない。

新潟2歳S出走馬の前走着差(1着馬),ⒸSPAIA


☆前走着差
連対した20頭はすべて前走で1着だった。その勝ちっぷりを比較してみると、秒差なしで勝利した馬は27頭いるが、ここから新潟2歳S優勝馬は出ていない。2着馬との着差が大きいほど勝率が高くなる傾向が出ており、派手な勝ち方をした馬は、ここでも好勝負に持ち込む確率が高いようである。具体的な線引きが難しいのでプラスデータの項目には入れないが、覚えておきたい。

新潟2歳S出走馬の前走人気,ⒸSPAIA
新潟2歳S出走馬の前走距離,ⒸSPAIA


☆前走人気と前走距離
連対馬のうち18頭が前走で3番人気以内に支持されていた。デビュー、または2戦目の時点である程度の評価は必要のようだ。また、今回と同じマイルを勝ち上がってきた馬が8勝。距離経験も重要となってくる。前走から距離延長の馬も2勝(5連対)しているが、距離短縮組は【0-4-1-20】で勝ち馬が出ていない。

新潟2歳Sにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
新潟2歳Sにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていく。まず誕生月。2月生まれの馬が【5-3-2-28】で、ほかの誕生月を大きく上回る成績を残している。2歳戦だから早生まれが好成績を残しているのは納得のいくところだが、なぜか1月生まれからは勝ち馬が出ていない。また、前走馬体重が440キロ以下だった42頭中、馬券に絡んだのは2018年の3着馬スティルネスだけ。平坦コースとはいえ、外回りで長い直線を乗り越えるには、ある程度の馬格が必要ということなのだろう。

グラニットを連軸に指名

新潟2歳のデータをまとめていこう。まず勝率、好走率が上がるのはA「栗東所属馬」B「牡馬・セン馬」C「前走1~3番人気」D「2月生まれ」。

勝率が下がってしまうのはE「前走から距離短縮」で、連対馬がないデータはF「キャリア3戦」G「前走馬体重440キロ以下」。

今年は未勝利馬のピンクジンが登録しているが、ここ10年で馬券に絡んだ30頭中、29頭が前走1着。例外は2015年の3着馬マコトルーメンだけだが、この馬も新馬勝ちを収めている。よって未勝利馬が馬券に絡んだことはないので消しとする。また、連対データが存在しないG「キャリア3戦」H「前走馬体重440キロ以下」に当てはまる馬も、軽視していいだろう。

今回、最もプラスデータを持つ馬(3つ)はアイスグリーン、グラニット、ロードディフィートの3頭。ただ、ロードディフィートはG「前走馬体重440キロ以下」に該当するので、今回は消し。またアイスグリーンとグラニットは、ともにマイナスデータであるE「前走から距離短縮」に該当する。しかし【0-4-1-20】と勝ち馬こそ出ていないが、連対率は16%とそこまで悪くない。連軸として考えるなら全く問題がないだろう。

アイスグリーンとグラニットはほぼ同じような成績だが、アイスグリーンに該当する前走小倉組は過去10年で【0-0-0-6】。サンプルが少ないとはいえ連対馬が出ていない。対するグラニットは前走福島組で【0-2-2-20】。威張れる成績ではないが、連対馬が出ているだけまだマシなので、今回は◎グラニット、◯アイスグリーンの順番にする。

今回はマイナスデータを抱える馬が多く、プラスデータのみというのは、スタンレー、タマモブラックタイ、そしてバグラダスの3頭。この中ではスタンレーに注目。前例のない前走地方組で相手関係もあるだろうが、この3頭の中では2着馬に2.4秒差と最も大きい着差をつけて勝っているので、これを3番手とする。

残ったタマモブラックタイとバグラダスの2頭を比較すると、連対馬20頭中18頭が該当する強データC「前走1~3番人気」を持つバグラダスの方を上に取りたい。スタンレーと同じくバグラダスもダートでの勝ち上がりだが、2012年の2着馬ノウレッジもダートの短距離を勝っての参戦だったので問題はない。

◎グラニット
◯アイスグリーン
▲スタンレー
△バグラダス
×タマモブラックタイ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。 とあるトラブルで足を負傷したのですが、これが結構長引きそうな予感が。若いころから風邪などが治りづらい体質でしたが、年を取ってよりそれが顕著に。医者にもらった薬が抜群に効くことを祈っています。

《関連記事》
【キーンランドC】グラスワンダー産駒ヴァトレニ、得意の札幌で重賞奪取へ!
【新潟2歳S】今年はデータ上まれに見る大混戦 シーウィザード、アイスグリーンなど候補多数
【キーンランドC】ハイブリッド式消去法で浮上したのは4頭! ウインマーベルは内枠なら消し

おすすめ記事