【キーンランドC】グラスワンダー産駒ヴァトレニ、得意の札幌で重賞奪取へ!

勝木淳

キーンランドCインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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例年は上位人気が堅実

函館スプリントS勝者ナムラクレアがこの先のスプリンターズSを見据えてか北九州記念に回り、北海道のサマースプリントシリーズの2戦目・キーンランドCはやや小粒なメンバー構成になった。

かつてはスプリンターズSの裏ローテでもあったが、キーンランドCから中4週で北海道から本州へ移動、本番に向けてトレセンで調整するのは案外難しく、最近は本番との結びつきも弱くなりつつある。その時々でトレンドは変わる。使う側の意図や事情を読むことは馬券戦略においても重要だろう。ここでは13年函館も含め、過去10年間のデータを使用する。


過去10年キーンランドC人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気から。1番人気【2-4-1-3】勝率20.0%、複勝率70.0%で馬券圏内という意味ではまずまず。2番人気【1-3-0-6】勝率10.0%、複勝率40.0%、3番人気【3-0-2-5】勝率30.0%、複勝率50.0%までは信頼度は高い。これ以下は人気順に信頼度が落ちていくが、9番人気【0-1-3-6】複勝率40.0%には注意したい。


過去10年キーンランドC年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢は3歳【2-2-0-21】勝率8.0%、複勝率16.0%、4歳【3-4-3-19】勝率10.3%、複勝率34.5%、5歳【4-3-4-31】勝率9.5%、複勝率26.2%の3世代が好成績。ウインマーベルの3歳も悪くない。またスプリント戦らしく6歳以上は信頼度が落ちる。


レイハリアの巻き返し、ヴァトレニへの期待

上位人気信頼、3~5歳中心といった大まかな傾向をつかんだので、ここからは前走成績に着目し、好走馬を探していく。


過去10年キーンランドC前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まず前走GⅠ【1-1-2-9】勝率7.7%、複勝率30.8%のうちトウシンマカオのNHKマイルCは【1-0-0-3】。16年ブランボヌールがNHKマイルC6着から巻き返した。逃げて8着だったトウシンマカオは父ビッグアーサー。短距離で再出発を飾りたい。エイティーンガールの前走高松宮記念【0-0-2-2】。好走2頭は前走18、8着。過去2年キーンランドC1、2着と好相性のエイティーンガールの高松宮記念はイン絶対優位の馬場状態で後方2番手から大外を追い込むという内容。これで8着はむしろ健闘。休み明け、コンディション次第だろう。

主力は同格の前走GⅢ【5-4-4-44】勝率8.8%、複勝率22.8%に注目したいが、ウインマーベルの前走葵Sは今年からGⅢ格になり、18年から昨年までは重賞格なので、ここに反映されない。オープン特別時代も含め、前走葵Sは【1-0-0-2】。昨年の勝ち馬レイハリアが葵Sとここを連勝。ウインマーベルもこれに続けるか。今年の葵Sは前後半600m33.2-35.0の前傾ラップ。後半600m11.5-11.6-11.9をウインマーベルは中団から差した。その前の1400m橘Sでは好位から押しきるなど、競馬に幅があり、センスは高い。


過去10年キーンランドC前走GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


では前走GⅢの内訳をみる。函館スプリントS【3-2-2-24】勝率9.7%、複勝率22.6%、アイビスSD【2-0-1-15】勝率11.1%、複勝率16.7%、CBC賞【0-2-0-4】複勝率33.3%とサマースプリントシリーズ転戦組ばかり。


過去10年キーンランドC前走函館SS組着順別成績,ⒸSPAIA


函館スプリントSの着順別成績は明暗くっきり。3着以内【2-2-2-7】勝率15.4%、複勝率46.2%、4着以下【0-0-0-16】。好走が条件。今年前走函館スプリントS組は4着レイハリア以下で、手を出しづらい。ただ今年の函館スプリントSは前後半600m32.8-34.4のハイペース。馬場状態がいい開幕週ではあったが、このペースで番手から早め先頭のレイハリアはよく4着に踏みとどまった。昨秋から16、17着と大敗が続いたが、前走4着は復調の証であり、昨年の勝ち馬とあって洋芝巧者。4着でもレイハリアは侮れない。


過去10年キーンランドC前走オープン・リステッド組着順別成績,ⒸSPAIA


次にオパールシャルム、ヴァトレニなどが当てはまる前走オープン・L【3-3-2-55】勝率4.8%、複勝率12.7%について着順別成績を出す。前走1着は【1-2-1-7】勝率9.1%、複勝率36.4%。6~9着に【2-0-1-12】勝率13.3%、複勝率20.0%と穴ゾーンがあるが、2~5着は【0-0-0-23】とさっぱり。今年は前走1着オパールシャルム、ヴァトレニ、ロードマックスがいる。

オパールシャルムの前走福島テレビOPは開催6日目の時計を要しはじめた馬場で前後半600m34.6-34.8のイーブンペース。差し追い込み勢が上位を占めた競馬で番手抜け出しは立派だが、同日2勝クラスより0.2速い記録はやや平凡。北海道は未勝利時代に出走した函館【1-1-1-0】。洋芝適性にかけたい。

ヴァトレニの青函Sは1回函館5日目に行われ、1.08.6。前後半600m34.0-34.6。ヴァトレニは残り400~200m11.2で抜け出しており、1馬身3/4差はそれなりの価値。札幌3勝を含め、北海道は4戦4勝、こちらは文句なしの洋芝巧者。短距離転向でいよいよ最適舞台を見つけた。グラスワンダーの産駒はJRA現役登録頭数6頭とかなり減った。個人的にはもうひと花咲かせてほしいと願う。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


キーンランドCインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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