【札幌記念】ソダシは2000mまで守備範囲 相手は前走ハイレベル戦5着のユーバーレーベンだ

坂上明大

2022年札幌記念の参考レース,ⒸSPAIA

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日欧の強豪が集結したハイレベル戦

サマー2000シリーズ第4戦としてだけでなく、秋の中長距離GⅠを展望する一戦として毎年素質馬が集結する札幌記念。特に今年はGⅠ馬5頭という豪華メンバーが集まり、他にも素質馬が多数登録している。多路線からの参戦だけに、まずは各カテゴリーのレベル感を整理していきたい。

【ドバイシーマクラシック】
日本から、シャフリヤール(2021年日本ダービー)、オーソリティ(2021年ジャパンC2着)、ユーバーレーベン(2021年オークス)、グローリーヴェイズ(2019、21年香港ヴァーズ)、ステラヴェローチェ(2021年皐月賞3着、日本ダービー3着)と現役トップクラスの長距離馬たちが参戦した。

ただ、今年はヨーロッパからもYibir(2021年BCターフ)やPyledriver(2021年コロネーションC)など一線級の実力馬たちが集結していた。後に、4着馬PyledriverがキングジョージⅥ&QESを制し、6着馬AlenquerがタタソールズGCで優勝、7着馬HukumもコロネーションCに勝利していることからも本レースのレベルの高さが窺える。

それに対して、ドバイターフの上位馬でその後にGⅠ勝利を挙げたのは4着馬Saffron Beach(ロートシルト賞)ぐらい。今年はドバイシーマクラシック>ドバイターフと整理するのが妥当だろう。

5着馬ユーバーレーベン、8着馬グローリーヴェイズの巻き返しに期待だ。

敗因はオーバーペース!?

【大阪杯】
Aコース8週目で見た目には内の馬場が傷んで見えたが、内外のトラックバイアスは認められず。レースはジャックドールが先手を主張し、前後半1000m58.8-59.6の前傾0.8秒。昨年ほどではなかったが、2020年以前とは異なる非常にタフな展開となった。

5着馬ジャックドールは序盤で急かした分、前半1000mがオーバーペース気味になり、ラスト300mほどで失速。鞍上の藤岡祐介騎手はレース後のインタビューで「スタートがいつもほど進みが良くなかった」と話しているが、本馬自身はいつも以上に速いラップを記録しており、やはりオーバーペースだった感は否めないか。それでも5着と粘った点は高く評価でき、マイペースで行ければGⅠでも通用する力は十分に備えている。

ただ、次走GⅠ好走馬が4着のヒシイグアス(宝塚記念2着)しかおらず、メンバーレベルには疑問符がつく。

白毛のマイル女王誕生

2022年札幌記念の参考レース,ⒸSPAIA


【ヴィクトリアマイル】
Bコース替わり初週でも内目の馬の好走は多くなく、内外のトラックバイアスはフラットと評価。レースはローザノワールが押してハナを主張したが、前後半3F34.7-34.2のヴィクトリアマイルらしい緩い流れになった。ただ、このペースで縦長の隊列になっており、後方勢にはノーチャンスの展開だったといえるだろう。

1着馬ソダシは4番手のインで脚をタメ、直線は上がり3F33.4の末脚で差し切り。持ち味であるレースセンスの良さを存分に活かした勝ち方だった。上位馬たちの次走を見ても、ソングラインが安田記念1着、ファインルージュが同5着、デアリングタクトが宝塚記念3着とGⅠで結果を出している点からレースレベルも低くはない。GⅠ勝ちはいずれもマイル戦だが、レースセンスの良さから2000mまでは守備範囲だろう。

4歳牝馬2頭に注目

パンサラッサとジャックドールの参戦でハイペースが予想される2022年札幌記念。タフなレース展開となれば、父クロフネの血が騒ぐソダシに流れが向きそうだ。2000mで人気を落とすなら妙味あり。ドバイシーマクラシック5着馬ユーバーレーベンの地力も本物。仕上がりさえ良ければ、ソダシとの逆転までありそうだ。

注目馬:ソダシ、ユーバーレーベン

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。


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