【札幌記念】1番人気が10連敗中の札幌名物GⅡ ブエナビスタ、マツリダゴッホの二強が崩れた2009年

緒方きしん

札幌記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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歴代屈指の好メンバーが集結!

小倉記念はマリアエレーナが2着に5馬身差をつける圧勝。曽祖母は名牝ブロードアピール、叔父はダービー馬ワグネリアンという良血馬が重賞を初制覇した。

さて、今週は札幌記念。今年は歴代屈指の好メンバーが揃った。前年の覇者ソダシ、オークス馬ユーバーレーベン、海外GⅠを制しているグローリーヴェイズやパンサラッサなど実績馬がズラリ。さらにジャックドールやハヤヤッコといった話題の重賞馬も参戦し、目移りするメンバー構成となっている。

過去にはアドマイヤムーンやセイウンスカイ、テイエムオーシャンやエアグルーヴらが制した夏の風物詩。ヘヴンリーロマンスやネオリアリズムなど、ここでの勝利をステップに飛躍した馬も多い。今回は、札幌記念の歴史を振り返る。

なかなか勝ちきれない1番人気馬

札幌記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


1番人気馬は現在10連敗中。ラヴズオンリーユーやフィエールマン、ゴールドシップやロゴタイプといった実力派が敗れてきた。最後に勝利した1番人気馬は2011年のトーセンジョーダンで、その年は2着アクシオン(5番人気)、3着レッドディザイア(2番人気)と平穏決着だった。

ソダシとラヴズオンリーユーで決着した2021年は馬連4.7倍、サングレーザーとマカヒキで決着した2018年は馬連13.3倍など、ここ4年はいずれも馬連配当が30倍に届かない堅実な結果が続いている。しかし2017年は6番人気サクラアンプルールと12番人気ナリタハリケーンのワンツーにより馬連376.7倍の波乱が巻き起こった。2005年は9番人気ヘヴンリーロマンス、12番人気ファストタテヤマ、13番人気コイントスの決着で馬連310.7倍、三連単27595倍となったように、大波乱が巻き起こることも少なくない。

また、ここ5年で3勝と絶好調なのは2番人気馬。ソダシやノームコア、サングレーザーが勝利を収め、敗れた2頭も2019年ワグネリアンが4着、2017年エアスピネルが5着と、掲示板は確保している。過去には2014年ハープスターや2002年テイエムオーシャンといった名牝も2番人気で札幌記念を制している。

ブエナビスタとマツリダゴッホが敗れた2009年札幌記念

そんな絶好調な2番人気馬が掲示板外に敗れたのは、直近でも2009年まで遡る。1番人気は3歳牝馬ブエナビスタで単勝1.5倍。札幌記念から凱旋門賞遠征のプランがあった。2番人気は前年の2着馬マツリダゴッホで、単勝オッズは6.9倍。続く3番人気ミヤビランベリは単勝10.4倍という二強体制となっていた。

圧倒的な人気を集めたブエナビスタだったが、それもそのはず、それまでの彼女の戦績は6戦5勝。新馬戦こそのちの皐月賞馬アンライバルド、のちのダービー2着馬リーチザクラウンを相手に3着と敗れたものの、それ以降は阪神JF、桜花賞、オークスを含む5連勝と、歴代でも上位クラスの実力を持つことは明らかだった。

しかしレースでは、7番人気ヤマニンキングリーが好位から抜け出す競馬を披露。上がり最速タイの末脚で猛追したブエナビスタをクビ差で退けた。ヤマニンキングリーの鞍上は、笠松競馬から移籍した柴山雄一騎手。同じく笠松出身の安藤勝己騎手が騎乗するブエナビスタから大金星を掴み取った。マツリダゴッホは前年2着時に見せた好位からの競馬ではなく後方からマクる競馬を試みたが、9着に敗れたのだった。

ブエナビスタは古馬との初対戦で、マツリダゴッホはもともと札幌では重賞で崩れることもあったのは確かである。しかしそれ以上に、ヤマニンキングリーの強さ、柴山騎手のうまさも光ったレースだった。アグネスデジタル産駒のヤマニンキングリーは、芝・ダート問わず活躍した父を見習うかのように、2年後にはダート重賞シリウスSも制している。

人気馬が上位を独占した2019年札幌記念

今年は二強の2009年と違い、まさに群雄割拠といえるメンバー構成だ。人気が割れたといえば2019年の札幌記念もそのひとつ。1番人気フィエールマン(2.3倍)、2番人気ワグネリアン(3.7倍)、3番人気ブラストワンピース(4.7倍)、4番人気サングレーザー(7.8倍)と、4頭が単勝一桁台の支持を集め、5番人気ペルシアンナイトは17.7倍と離されていた。結果は3→4→1→2→5番人気での決着。クロコスミアやステイフーリッシュ、サクラアンプルールといった実力馬たちを寄せ付けなかった。

1997、1998年のエアグルーヴ以来となる連覇を目指すソダシ。昨年は2番手から早めに仕掛けて勝利をあげたが、今年はジャックドールやパンサラッサといった強力な逃げ馬たちが参戦する。鞍上の吉田隼人騎手は、どういったレースを試みるだろうか。

しばらくぶりの大波乱が巻き起こる可能性はあるのか、それとも人気馬が上位を独占するのか。レース展開も含め、スタート直後から目の離せないレースになりそうだ。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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