【札幌記念】C.ルメール騎手とオルフェーヴル産駒が高い勝率を残す 東大HCが札幌芝2000mを徹底分析

東大ホースメンクラブ

札幌芝2000mコース図,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は札幌芝2000mを舞台に、札幌記念が行われる。今年はジャックドール、シャフリヤール、ウインマリリンのGⅠ馬3頭を筆頭に、プログノーシスやダノンベルーガ、ヒシイグアスらの重賞ウィナーたちが脇を固める超豪華メンバーとなった。

札幌芝2000mが舞台の重賞は札幌記念のみだが、条件戦を中心に施行回数が多い。ここではコースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは特記がない限り2018年8月18日~2023年8月13日)。

まずはコース紹介。正面奥のポケット地点をスタートし、1コーナーまでの約400mでポジション争いが繰り広げられる。ローカルのイメージと違いコーナー全てが大回り、かつ高低差がほぼなく、スピードが大きく落ちない中での持続力勝負になりやすい。

Cコース×8枠は鬼門

札幌芝2000m・枠別成績,ⒸSPAIA


<札幌芝2000m・過去5年の枠別成績>
1枠【11-11-15-112】勝率7.4%/連対率14.8%/複勝率24.8%
2枠【12-10-11-125】勝率7.6%/連対率13.9%/複勝率20.9%
3枠【13-12-11-131】勝率7.8%/連対率15.0%/複勝率21.6%
4枠【10-17-19-133】勝率5.6%/連対率15.1%/複勝率25.7%
5枠【17-16-16-137】勝率9.1%/連対率17.7%/複勝率26.3%
6枠【18-10-16-147】勝率9.4%/連対率14.7%/複勝率23.0%
7枠【13-20-10-151】勝率6.7%/連対率17.0%/複勝率22.2%
8枠【14-10-9-162】勝率7.2%/連対率12.3%/複勝率16.9%

枠別成績では内~中枠の好走率が高く、大回りコースとあって外を延々と回る形になりやすい8枠は複勝率が大きく下がる。札幌芝は今週からCコース替わりとなるが、Cコース限定では1枠【8-4-5-60】複勝率22.1%に対し、8枠は【4-3-7-74】複勝率15.9%。21年の札幌記念は8枠13番のソダシが勝ったものの、このレースはAコースでの施行だった。札幌記念史上、Cコース施行で8枠の馬は勝利がない。

Cコースというくくりでは1枠の馬が札幌記念でも好成績で、2017年以降では【4-0-0-3】で勝率57.1%を記録。2017年~2020年は1枠の馬が4連勝しており、白帽を引ければ単系馬券のターゲットになりそうだ。

札幌芝2000m・脚質別成績,ⒸSPAIA


<札幌芝2000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【18-11-3-84】勝率15.5%/連対率25.0%/複勝率27.6%
先行【50-51-45-230】勝率13.3%/連対率26.9%/複勝率38.8%
差し【29-33-41-367】勝率6.2%/連対率13.2%/複勝率21.9%
追込【4-3-13-397】勝率1.0%/連対率1.7%/複勝率4.8%
捲り【7-8-5-18】勝率18.4%/連対率39.5%/複勝率52.6%

脚質別成績では先行馬が有利。胸のすく逃げ切りが決まるケースもあるが、スケールの大きい競馬場とあって、簡単には行った行ったとならないのが実情だ。また、大回りコースとあってコーナーが緩く、捲りが決まりやすいのもポイントだ。

札幌記念に限ると、逃げ【1-1-0-5】、先行【1-1-3-12】、差し【3-2-1-18】、追込【0-1-1-19】。ハイレベルなレースとあってペースが緩みにくく、先行集団のひとつ後ろのポジションで脚をためた馬たちいい傾向にある。なお、芝で行われた札幌記念で4角10番手以下から勝った馬はいない。


オルフェーヴル産駒とルメール騎手が抜けて好成績

札幌芝2000m・種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<札幌芝2000m・過去5年の種牡馬別成績>
ハービンジャー【9-9-16-76】勝率8.2%/連対率16.4%/複勝率30.9%
ディープインパクト【8-12-6-67】勝率8.6%/連対率21.5%/複勝率28.0%
オルフェーヴル【8-5-2-30】勝率17.8%/連対率28.9%/複勝率33.3%
ハーツクライ【6-6-5-73】勝率6.7%/連対率13.3%/複勝率18.9%

種牡馬別成績では、ハービンジャーが9勝を挙げてトップ。前走より人気が上の場合、【6-5-6-20】で勝率16.2%、単勝回収率141%と好成績だ。

それに続くのが8勝2着12回のディープインパクト。距離延長だと【5-4-3-32】で勝率11.4%とまずまずの成績。また、前走が東京コースだと【3-3-0-7】勝率23.1%、連対率46.2%で高い信頼度を誇っている。メンバーレベルの高くなりやすい府中でのレース経験が、札幌コースでも生きるのだろう。

3位は8勝2着5回のオルフェーヴル。勝率17.8%、単勝回収率149%は上位4頭の中で抜群に優秀だ。前走も札幌コースだった馬の信頼度が高く【5-0-1-7】で勝率38.5%、単勝回収率156%。コース巧者の激走に注目である。

4位は6勝でハーツクライ。1勝クラスでは【4-2-1-9】で勝率25.0%、単勝回収率283%。下級条件では積極的に狙っていきたい。一方、3勝クラス以上では馬券に絡んだ例がなく、買い控えるのが賢明だろう。

今年の札幌記念では、プログノーシス、シャフリヤールがディープインパクト産駒に該当。ソーヴァリアントはオルフェーヴル産駒に該当する。ハーツクライ産駒は、ダノンベルーガ、ヒシイグアス、マテンロウレオの3頭だ。ジャックドールやラーグルフといったモーリス産駒は【4-3-2-17】で勝率15.4%となかなかの好成績を残している。

札幌芝2000m・騎手別成績,ⒸSPAIA


<札幌芝2000m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【15-12-7-33】勝率22.4%/連対率40.3%/複勝率50.7%
横山武史【9-8-7-50】勝率12.2%/連対率23.0%/複勝率32.4%
藤岡佑介【6-10-4-40】勝率10.0%/連対率26.7%/複勝率33.3%
丹内祐次【6-9-5-59】勝率7.6%/連対率19.0%/複勝率25.3%

騎手別成績ではC.ルメール騎手がズバ抜けて好成績。平均騎乗馬人気1.6という事情はあるものの信頼度はやはり高い。それに続くのは2年連続で札幌リーディングを獲得している横山武史騎手。3位は、昨年の札幌記念をジャックドールで制した藤岡佑介騎手、4位は、こちらも北海道開催での活躍が目立つ丹内祐次騎手である。

今年の札幌記念では、ルメール騎手はソーヴァリアント、横山武史騎手はシャフリヤールに騎乗予定。ジャックドールに騎乗予定の武豊騎手は【5-2-4-24】で勝率14.3%、複勝率31.4%とまずまず。プログノーシスに騎乗予定の川田将雅騎手は【3-1-1-3】で勝率37.5%、複勝率62.5%と、騎乗数が少ないながらも好成績を残している。その他、松岡正海騎手(ウインマリリン)は【1-0-1-10】、J.モレイラ騎手(ダノンベルーガ)は【3-0-0-3】、浜中俊騎手(ヒシイグアス)は【4-1-3-13】となっている。

札幌芝2000mのコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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